「36!」
ブックマークや評価ありがとうございます!
急展開で分かりにくいという意見がありましたので文章を少し追加しております。
内容には全く変化はありません。
「リテーリア・クロスウィリム!へぇ……あなたが!思ったよりとっても普通の顔!まぁ、私に付けるなんて光栄に思って?」
「…………はい」
ついにサラサ様が学園にやってきた。
案内役の私はすぐにその場に駆けつけて挨拶をしたらこれである。
もっと言うことあるだろうがよ!という気持ちは押し込め、私はニッコリと笑顔を貼り付けて返事をした。
相手は学園内とはいえ皇女様だ。
先週実家に帰っておいて良かった。この人もしかしたら休日にも呼び出してくる可能性がありそうだ。
というより、本当に身体弱いの?
「なに?」
「いえ、お身体が弱いと聞いております。何か注意点はありますか?」
「なにその言い方。私の身体弱くないって思ってるのかしら?」
「…………そんなことはありませんが」
「ふん、まぁいいわ。あなた以外にトーマスとかルイが近くに居てくれると思うし、あなた早く礼儀を覚えなさいね」
「……かしこまりました」
っああー!!!!!
なんだこいつー!
普通に聞いただけだろうがーい!
という内面の思いをものすごく頑張って隠しながら学校内を案内していった。
トーマス殿下からの指示はこの、サラサ様と友達になれということ。
曰く、「早めに社交界の勉強をしておくといいよ(にっこり)」という事だったが。
いやー。むりー。
一生家に閉じこもっててもいい……。
普通に考えてずっと失礼な事しか言われていない。
皇女様だから許されていたのか、身体が弱かったから甘やかされたのか分からないが、これでは誰とも付き合って行くのは無理だろう。
せいぜい権力に引き寄せられた者くらい。
早くトーマス殿下に引き取ってもらいたいもんだ。
「リテーリア、あなた年齢いくつなの?」
「10歳ですが」
「…………ねぇ、あなた、本当は10歳じゃないとかない?」
「は……?」
「10歳の対応には見えないわ」
「いいえ、私はまだ10年と数ヶ月しかここで生を全うしておりません」
「その対応で?」
「申し訳ありませんが……」
「まぁ、いいわ!これから、この私の下で働いてもらうのですもの。これくらい当たり前ね?」
「…………」
え?下で働くなんて聞いていないのだけど。そう思っているとトーマス殿下が走ってくるのが見えた。
「サラサ!全く、動かないでじっとしていろとあれほど……」
「あらトーマス。御機嫌よう?だって早くリテーリアに私の下を覚えてもらおうと思ったんだもの」
「リテーリアをサラサの下で働かせるつもりはない、ここの生徒なんだ。生徒達と対等な立場で過ごすことがここに来る条件だっただろう!」
こんなに声を荒げているトーマス殿下を見るのは初めてだった。
いつもにこにことしている印象だったのに、珍しい。
年齢的にサラサの方が上のようだが、これを見ただけではトーマス殿下の方が上でサラサ様の世話を焼いているようにしか見えない。
「あら、いいじゃない、彼女も望んでいるはずよ」
「…………」
「リテーリアが望む訳ないだろう、今回も私が無理矢理ここにつけただけだ。他の令嬢達も希望は無かった。自身がわがままな自覚を持ってくれ」
おおー。いいじゃないですか。
いけいけー!もっと言うんだー!
「トーマスが言ったことはほとんどが嘘だもの、ねぇ、あなた、本当は私の下を望むでしょう?」
「サラサ……」
「あらいやだ、トーマスは黙っててちょうだい、私は彼女に聞いているのよ」
「はぁ、全く」
そう言ってトーマス殿下がこちらを見てきた。
なるほど、こうなったらもう無理ということですね。
「…………トーマス殿下。ここは学園内という認識で合っておりますでしょうか?」
「ああ」
「では……お言葉ですが、皇女殿下。私は貴方様の下を望みません。望む訳がない」
「なに?」
「上に立つべき人間は、地位の価値と意味を理解している方を望みます。今の貴方様からそれを感じ取ることはできない」
「…………」
「よって、貴方様が私を下に望むのであれば、その様な方になって下さいませ」
そこまで言って一息つく。
どうですか、ここで怒って早く私を解放してください。
という気持ちを込めて見ると、開いていた扇を閉じて私をじっと見つめてきた。先程まで偉そうにハタハタさせていた動きは止まっていた。あれ、さっきまでの私を見下すような雰囲気がない……?
「あなた、やはり10歳じゃないでしょう」
「10歳です」
「……ふふ。あっはははは」
「!!」
「あー面白い。なるほど!気に入ったわ!トーマス、貴方の言う通り適任ね!」
「え?」
急に態度が変わったサラサ様に違和感を覚える。
何か私が間違った事を言ってしまった様な、そんな……。
「じゃあ、貴方の望む上だったら……下についてくれるということ……よね?」
「ああ、ちゃんとそう言っていたな」
「え?殿下!?」
まてまてまて。どういうこと!さっきの頭悪そうな皇女様はどこ!
「ちょっと殿下、あ、ト、ト、トーマス殿下の方です!ちょっと、さっきのは?」
「さっき、とは?」
「な!!」
ああー!出た、その貼り付けた様な笑み!うわぁぁ、嵌められた!さっきの怒ってるのも演技だったんだ!
また騙された!皇族恐ろしい!
そう思っているとサラサ様が近づいてきて耳元で囁いてくる。
「逃げるという選択肢は、ないわよ?リテーリア」
「…………はい」
これにて、私は研究長の部下となったのでした。
お読みいただきありがとうございます。




