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「30!」

ブックマークや評価ありがとうございます

 

「ルータス様ー!」


「な!お、おお、なんだリテーリア嬢か」


「先程から呼んでいましたが反応が無かったのでルータス様とお呼びしてしまいましたが、大丈夫でしたか?」


「ああ、むしろそちらで呼んでほしい。その方が呼ばれ慣れている」



 学園の庭にあるベンチにサスライド様改めルータス様が居るのを確認した私は、色々聞きたい事もあったので声をかけることにした。

 2.3度声をかけたものの全く反応が無く、目の前で手を振ってもこちらを向いてくれなかったので、ルータス様と呼ばせてもらったのだった。


 それにしても、目を閉じたまま固まっているルータス様は怖かった。彫刻になってしまったのかと思った。


 何かを考えていたようだったので邪魔かとも思ったが、念願叶って見つける事ができたのでこのチャンスを逃すまいと来てしまった。まさか待ち合わせをしてたんじゃないだろうか。


「ルータス様、待ち合わせとかしてました?」


「ああ、少ししたらマリーが来ると思う」


「あらら、じゃあ私はお邪魔になってしまいますね」


「いや?リテーリア嬢なら大丈夫だろう」


「分かりました。では、質問だけしてそそくさと退散いたしましょう」


「質問?」


「はい、ルータス様とマリーは幼馴染なのですか?」


「唐突にどうしたんだ。まぁそうだなぁ、私が6歳、マリーが4歳の時からの幼馴染だ」


「他に幼馴染の人は?」


「他か?他には、ユリ……」


 ルータス様が誰かの名前を呼ぼうとした時、とある少女が庭に駆け込んできた。


「ルータス様!!!」


「ユリエスタ!?どうしたんだ?どうしてここに?」


「な、こ、こんのー!ルータス様のばかやろぉー!!!」


「!?」


「浮気者ー!!姉さまという者がありながら!!!」


「!?」


「こんなきれい可愛い子と2人きりで何してくさってんですか!」


「まて!そんな言葉使いはしてはいけない、じゃなくて、彼女はリテーリア嬢と言って」


「こーんな怪しい場所に2人きりで居ながら何が『まて!』なんですか!」




 あ、この子「!」があるなーと思いながら私はここには居ない存在として空気と同化することに努め始めた。

 これは会話に入ってはいけない、寧ろ、入りたくない。

 私は空気、私は空気。私は……



「ちょっとそこの子!何か言いなさいよ!」


 ちっバレちまったか。仕方ない。


「私は、リテーリア・クロスウィリムと言います、ルータス様とは赤の他人です」


「あ、赤の他人……」


 少し悲しそうな顔をするルータスは置いておいて、現れた美少女を観察する。

 淡いピンク色が混じったようなプラチナブランドの髪、タレ目がちでエメラルドの様な瞳、すらっとした鼻、唇はピンク色で、配置も素敵、うん。とても美少女。


「赤の他人がこんな場所でルータス様と2人きりなはずないじゃない!」


「うーん」


 しかし、面倒になってきたな、ここで何言ってもこの子は引かなそうだし。

 ていうか、「姉さまというものがありながら」とか言ってたな。つまりマリーの妹?

 もしかして[????]の正体?


 ひとまずここは、ルータス様に一肌脱いでもらうことにしよう。


「ルータス様ほら、早く」


「な、なんだ」


「早くマリーへ愛を叫んでください」


「な!?なぜ今ここで!」


「そしたらここから回避できますから」


「な、そ、そうか?」


「はい、ほら、早くしてください!」


「わ、分かった!」


 そう言うと、ルータス様は意を決して立ち上がり、美少女の方へ向き直った。

 そして高らかにこう唱える。


「私は、ずっと前からマリーの事が好きなんだ!マリーだけを愛してきた。やっと婚約の許しを得れたのだ……だから浮気なんて絶対にしない!マリーと添い遂げる!」


 ルータス様がそう叫んだ時、私の後ろで何かがバサバサバサーっと落ちる音がしたので振り返る。



 あっ。



「マリー!?!!!」



 そこには顔を真っ赤にしたマリーが立って居た。



お読みいただきありがとうございます!

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