「19!」
じゃあ、それぞれでそれぞれのステータスを見てみようと日記帳を念じると。
《[????]以外のそれぞれの攻略者が出てきた場合、又はその人物との“永遠の絆”を手に入れた場合、ステータスが全てオープンされます》
この文章が出てきてしまった上に、トーマス殿下以外の方の数値は全て[??]となっていて、全く分からない。
[????]以外のそれぞれの攻略者。とは。一体誰の事を指しているのか。そういった事が分からない限り細かいステータスのチェックは諦めた方が良さそうだと判断し、日記帳を閉じた。
エリサとも相談したかったが、今日はすでに侍女寮に戻ってもらっており、明日相談するために全てを日記帳に書き出す。
明日の予定まず朝は、ルイ・アントンを探し出して姉様の化粧水の購入。そしてお昼頃に姉様を誘ってクッキー作り。一応お菓子を作ったことがあるというエリサにお願いしてあるので、キッチンは予約した。
万が一姉様に予定があっても、一回作っておくのも悪くないだろう。
明後日は、例のトーマス殿下達との集まりがあるらしい。私はそこで、早急に姉様をその軍に入れてほしいと訴えるつもりだ。
何故なら、姉様に変な心配をかけたくないから。
あんな団体に私がポツリ加わっていたら、姉様は心配するに違いない。さらに、殿下と何かあったのではないか、という心配もするはずだ。
その為の予防策として、軍に入ってもらうのだ。
よし、計画はばっちり。でも、最近計画を立てても全く進まない。
そもそも、変な現象が起きたことに対応しているのがおかしいのかもしれないけれど、面白そうなのだからしかたがない。
そう思いながら夢の中へ落ちていった。
※ ※ ※
「ルイ・アントン様、おはようございます。殿下にこちらにいらっしゃると聞き、馳せ存じた次第でございまして……」
「リテーリアちゃん」
「……はい」
「今、何時かな」
「朝の7時です」
「…………抱き枕にするよ?」
「いえ、私はこの後たくさんの予定でいっぱいなので抱き枕になれる時間はありません」
「ああ、そう……はぁ……なんの用事?」
朝6時に起きた私は、早急に身支度を済ませたのち、男子寮の前に立った。
その時に、朝の6時はとても早いことや。男性寮には女は入ってはいけない事を思い出して落胆するのだった。
姉様との約束までに材料なども揃えておきたいのだが、早くにルイ・アントンから化粧水を買って安心したい。その気持ちだけで来てしまった自分を呪いたい。
そう思いながら帰ろうとすると
『アネモアの妹君じゃないか、朝早くからどうしたんだい?』
殿下から声をかけられたのだった。
「という事で、化粧水を購入しにまいりました。ください」
「はぁ…………なに、化粧水のために俺は早く起こされたの?」
「それはもうとても大切な用事ですね」
「…………」
「いひゃひゃ」
ここは化学室。殿下に、あいつはそこに居るだろうと言われて来てみると、簡易なソファに寝ている彼を見つけて起こしたのだ。
怒られるのは承知している。
黙って私の頬をつねるのを無抵抗のまま受け入れるのは全て化粧水のため。
「痛いです。ルイ・アントン様」
訝しげに私を見つめながら、彼は話しかけて来た。
「ねぇ、なんでフルネームで呼ぶの?」
「響きが気に入っております」
「……は?」
「響きが……」
「いや、聞いたよ、聞こえないんじゃないから」
「それと、ルイ・アントン様は私をリテーリアちゃんとよびます」
「あ、うん」
「……ルイくん?」
「…………」
「ほら、何やら変な顔をなさるではないですか!」
ルイくんと呼んだ瞬間の、びっくりするような顔は一生忘れないのではないかと思ったほど細めの目が開いた。
フルネームで呼んでいるのは本当に響きが好きだからに他ならないのだが。
「はぁ……化粧水、何欲しいの?」
「わーい!ありがとうございます!ルイ・アントン様」
「…………結局フルネームだし、全く、困った子が来たものだなぁ」
そうルイ・アントン様が呟いたのは、私は聞き取ることができませんでした。
お読みいただきありがとうございます




