RPGという退屈と混乱
映像が終わり、全く何もない空間に光が戻った。
花火をみるように映像を眺めていた4人は絶句していた。
へくっち、ちーん、へくっち、ちーんとウラメンのくしゃみと鼻をかむ音に場に満たされる。
「俺、可哀想すぎるだろ!おい、マキア、少しは躊躇えよ!」
「ご、ごめん、なさい、リフ。私、その、裏切るつもりは・・・あるんだけと、その、何て言ったらいいのか」
リフェンテはマキアに詰め寄る。マキアは繰り返し謝るが、4回目には、しつこい!とリフェンテを蹴りあげた。
メルティーナはぐずぐずと泣いている。
「うわぁ」
まさしく言語を失ったリクトは頭をかかえる。
「どうしたもので、へくっち、でしょうね」
メルティーナに負けないくらい目と鼻をはらしたウラメンのズボンのポケットは使用済みのティッシュのせいですでにパンパンの膨らんでいる。涙と鼻水の理由がメルティーナの対極にあることは想像に難くない。
「とりあえず、全員呼びましょうか」
ウラメンは抱えていたボックスティッシュをメルティーナに渡し、あいた両手を軽く叩く。すると魔王と六魔将軍が現れた。
「あ、お疲れさまです」
「あ、お疲れさまです」
魔王が会釈をし、リクトも同じように返す。
「さて、減乳さんを除いた六魔将軍からいきましょうか」
ウラメンは6人のまわりをゆっくりと歩き、彼らを値踏みする。
「まず、数が微妙ですね、えいっ」
ウラメンが胸からペンを取り出し軽く振ると5人が消えた。
「アイン!イアン!ウラン!エラン!オラン!」
残った一人の魔将軍が仲間の名前を叫ぶ。
「ふぅ、すっきりしました。それで、残ったあなた、ふむ」
「・・・」
残った魔将軍は拳を握りしめる。黒髪の整った顔立ちをした青年だった。自分一人でも魔王陛下は守り抜く、そう消えた仲間に誓う。それを知ってか知らずかウラメンは微笑む。
「あなたは、魔王さんと絡んでいただきます、性的に」
「アイン!イアン!ウラン!エラン!オラン!俺も連れていってくれ!」
「いやいや、カラン、お前もいなくなったら俺ひとりぼっちだからね」
魔王は床に頭を打ち付けている部下の肩を叩く。
「そうそう、その調子で仲良くしてください」
ウラメンはパチパチと嬉しそうに拍手をしている。
「・・・敵ながら不憫になってきたぞ」
世界で一番不幸な俺と、先ほどまで蹴られながら唄っていたリフェンテが青い顔をしてその様子をみている。マキアは同僚達が消えた空間を目を丸くしてみつめるが、リフェンテを蹴る足は止まらない。メルティーナはティッシュがなくなったとさらに激しくしゃくりあげるように泣いている。
リクトは思いだした。ウラメンはこの世界のあらすじをなぞる前になんと言っていたか。
この世界、面白くしてさしあげましょう
冷たい汗が背中を流れる。
面白い、とは誰にとってだろうか




