姿なき君へ
「茜を妊娠させて上で捨てたただのチンピラかと思ったぞ」
自分は川崎茜、龍神との混血の女だ。目の前のこの男は私の分身、クローンの川崎工、色褪せた私と夫の宅間大智の古い写真に向かって暴言を吐いた。まぁ顔を見たことも話したことも無い人物にそういう感情を持ってしまうのも無理はない。けどそれは違うと教えなけらば。
「それは違うよ」
「違うって何がだ?家に居ないって事はそういうことだろ?」
「彼の事悪く言わないで!今の言葉睡蓮が聞いたら幻滅するよ!」
「あいつの名前を言えば俺の考えが変わるとでも思ってんのか!?俺も馬鹿にするんじゃねえ!」
「馬鹿にはしてないでしょ!」
「桜(女)は別の予定が入ってるから先に自分達で楽しんでくれって言ってましたよ」
「予定?男いるんだったけ」
「分かった分かった、気分が悪ぃな...」
「ごめん、言い過ぎた」
「俺、帰るわ、元気でな」
「......気を付けてね」
「ところで茜はいつから俺の母親になったんだ?」
「なったつもりは無いけど、そう思われても仕方ないかもね」
「桜の奴に会居に行っても良いか?」
「駄目、昨日忙しかったから夕方頃だったらいいよ」
そうして、手短に準備を済ませた工は家を出て行った。流石に言い過ぎたかなぁと反省している。だけど間違ってることは間違ってると言わないと本人は勘違いしたまま生きていくことになる。年頃の息子ってあんな感じなのかなぁ?。見た目はチャラ男?風だけど自分の芯は持っているようだ。その時遠くの方から何かが聞こえた。音の発生源を見ると一台の深緑のジープがこちらに向かっているのが見えた。車両の中に見覚えのある『食材』が居た。そして私の目の前で止まった。そしてハードボイルドな奴が居りてきた。
「川崎茜さん元気かい?」
「『大根』?それに何その恰好」
「勿論、大根だぁどうですかイケてるでしょう?」
「自分で言っちゃうんだ。ところで内に戻ってくるつもりはないの?」
「俺は貴方に迷惑をかけた。それに一人旅も悪かぁないと思っます」
「しばらくここに泊まっていきなよ」
「ノンノン、私は孤独な旅人人様の家にお世話になるのははしたなないことだ。だだから気持ちだけで十分です」
「その話し方どうにかならないの?」
「それは無理です、『熊』や『鳥』に宜しくお願いします。達者で」
そして家の前の広大な荒野を土煙を沸かしながら太陽の光を浴びて走り去っていった。迷惑をかけたって言ってたけど自覚あるんだ。また、雇いなおそうそうとしたら。カッコつけて孤独に消えて行ってしまった。




