春の桜のように
「もう、結婚記念日かぁ...早いなぁ」
桜の花びらが散り始めている。この時期になると毎年憂鬱になる。何故なら、私の亡くなった夫の宅間大智結婚記念日が近づいているからだ。それこそ最初の二年間は目から涙がナイアガラの滝の如く溢れるくらい。それは大袈裟すぎるか。それはそれで寂しさと悲しみが混じった感じだった。一〇〇〇年近く経つとその気持ちも風化してくる。今は彼の軍服と時代遅れの家訓が残っているだけだ。
「お花見すれば気分も晴れるかな?」
私は川崎茜龍神と神樹【ユグドラシル】の混血だ、窓の度とから見える桜吹雪を眺めている女だ。何てことを考えていると、楽しそうに会話している二人の姿が見えた。
「今年も満開ですねぇ」
「いや本当に、浅霧さん何歌うか決まってる?」
「いや、まだです。そういう葵さんは決まってるんですか?」
今年は家で花見するとか言ってたな。早速カラオケの準備とかしないと...それより晴れててよかった。去年は雨が降ってたのでできなかったけど今回は天気に恵まれている。赤いロングヘアの拳法女の霞神楽も今日は張り切っている。
「茜、月島さん今年来ないの?」
「桜(女)は別の予定が入ってるから先に自分達で楽しんでくれって言ってましたよ」
「予定?男いるんだったけ」
「まぁ、そういう事ですよ」
「じゃあ来るの?」
「いや、そこまではちょっと...」
「そっかぁ、それだけ?」
「また連絡来ると思うので待ってみましょう」
「ん、分かった」
この人は葛城彩音さんで、妹である葵さんの姉である。今日は。花見の準備で忙しいので悩みぬいた末渋々来てもらった。前に私と一緒に住んでいた時に何を思ったか全裸に剥いたことが有るので手伝いに来てもらおうかどうか迷っていた。結局最後は出て行ってもらった。
「睡蓮は?」
「まだ来てないよ」
彼女浅霧睡蓮、さっき葵さんと並んで歩いていた私と同じショートカットヘア(真似した訳ではない)の白銀の女だ。今は海が見える元々は戦争で使う城を減築した旅館を一人で経営している。後は庭の手入れや家政婦もどきの仕事もやっている。無理矢理誘ったわけではないけど。忙しい中わざわざ来てくれたんじゃないかぁと思ってる。
「今年は控えめで...」
「そう言って去年もどんちゃん騒ぎだったじゃん」
さあ、宴の準備は整った。後はいっぱい会食べて歌う第まくるだけだ!私は彩音さん協力して桜にこの下に青色のビニール的を敷いた。風で飛ばされない様にと神楽がどこから持ってきたのか分からない巨岩を右手と左手の掌に載せ、往復しなが ら涼しい表情で運んでいた。そしてそれを一つずつ四隅に恐ろしい程丁寧かつ慎重に置いた。




