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★第14話ー2

 だんだん遠ざかって小さくなっていくルルカのドラゴンを見ていると突然、後ろからドン! と衝撃が走り更に僕の体がフワリと浮き上がる。


「俺の愛おしいアレティーシア! おかえり!」

「ヴァレリー!?」


 僕をギュウギュウと、力いっぱい抱きしめ頬擦りをしまくる。


「アレティーシア、そんな他人のような呼びかたじゃなくて兄と呼んで欲しいな」

「う……うん! それより兄さん苦しいよ!」


 スリスリグリグリが続く。


「フギャン!」


 僕の胸元で寝ていた天音が、僕とヴァレリーに挟まれ押しつぶされ驚いて目を覚まし飛び出した。そしてヴァレリーの端正な顔を目掛けて、爪をシャキッと出し前足を勢いよく振り下ろす。


「甘いね!」


 僕を抱っこしたまま、ヒラリと交わし口元ににニィと笑みを浮かべる。


「フシャァ!!」


 ヴァレリーの余裕な感じに、腹を立てた天音は羽ばたきつつ全身の毛を逆立て威嚇する。睨み合い今にも戦いが始まりそうだ。


 そんな2人の様子を、ハラハラしながら見ていると。


「ヴァレリー。何をしてるのですか? 大人気無いですよ」


 少し遅れて母さんが中庭に現れてヴァレリーを嗜めてくれた。が、しかしヴァレリーは僕を放す気は無いようで、今度はリュカを睨みつける。


「リュカデリク。お前は、さっさとミュルアークに帰った方がいいんじゃないかい?」

「リデアーナ様に旅の報告をしたら、ミュルアークにも報告する為に一旦帰るつもりだ」

「ヴァレリーいい加減になさい。そのような事ではハルルに愛想尽かされますよ」


 溜息混じりに母さんが、ハルルの名前を出した途端にヴァレリーがピシッと固まった。


 そしてゆっくりとした動作で僕を芝生の上に下ろした。


「そ……そうだね。ハルルの夫になるのだからね」

「そうですよ。しっかりしなくてはいけませんよ」


 え!? 何? 今、凄い爆弾発言聞いた気がするんだけど? と、思ってリュカを見ると驚きのあまり動きが固まって口がポカンとあいている。ヴァレリーとハルルの婚約は、リュカも知らなかったみたいだ。


「いつの間にそんな事に?」


 たしかに2人は、なんだか妙に良い雰囲気ではあったけどさ。


「うん……なんて言うか……一緒に旅をするうちに色々あってね……まぁ……そうなったんだよね……」


 ヴァレリーは、ほんのり赤くなりながら照れ隠しに頭をガリガリ掻き、何やらゴニョゴニョブツブツ言っている。


「本気なんだね」

「もちろんだよ。突然にも関わらず、俺からのプロポーズも受けてくれたからね」

 

 兄さんの初恋なのかもしれないと思うと応援したくなる。でも相変わらずシスコンは治らないみたいだけどね。


「日も暮れて冷えてきました。そろそろ部屋に戻りましょう」


 辺りは既に真っ暗になっていた。灯りを言えば、城の窓から漏れるかすかな光が見えるだけだ。


「うん。寒くなってきたね」

「俺のマントをかけてあげよう」


 ヴァレリーは自らが着ていたマントを脱いで、僕の肩にフワリとかけてくれた。分厚いうえに今までヴァレリーが羽織っていたので暖かい。裾が長くて引きずってしまうけど、この暖かさは手放せなくて借りることにした。


「このまま食堂に行きましょう。リュカデリク報告は食事をしながら聞きしましょう」

「分かりました。リデアーナ様」


 中庭から城に入る入り口には、父さんとメイドのアイリが待っていた。


「父さん、母さん、兄さん、アイリただいま」

「よく無事に戻ったな」

「おかえりアレティーシア」

「あぁ〜! 可愛い妹アレティーシアおかえり!」

「おかえりなさいませ」


 父さんが駆け寄ってきて僕を抱きしめてくれる。その懐かしい匂いと優しい温もりに、やっぱり我が家が一番落ち着くし好きだなと思ってしまった。


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