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★第9話ー1、強い想いは力を強くする。しかしその魔力は強大すぎたようだ。

 緩く旋回しながらドラゴンは、アデルの森の端に舞い降りた。ルルカはドラゴンの背から飛び降りると、ドラゴンの足に括り付けていた麻袋から、骨付きの大きな肉の塊を出して「礼じゃ!」と、言って食べさせた。すると嬉しそうに「ぐるるる」と唸って飛び立っていった。


「ここからは歩きなのじゃ」

「アデルギィの街に直接降りるのは危険だから、その方がいいだろうな」

「ギィ婆さんの所で、おかしな動きは出来ないとは思うけど用心した方がいいからね」


 移動にドラゴンを使うのはよくあるけど、あまり街の近くに降りるとティルティポーに悟られる恐れがある。どこにスパイが潜んでいるか、分からないって事なんだと思う。


 周囲を警戒しながら森の中を進んでいく。


 歩きながら、ふとリュカと出会ったのもアデルの森だったなぁ! なんて思った。しかも初対面の時の事を思い出すとなんだかニヤニヤ顔が緩んでしまう。


「タキ? 何を笑っておるのじゃ?」

「えっ!? あはは! リュカと出会ったのも、ここだったから色々思い出してたんだよ」

「それは興味があるのじゃ!」

「わっ私も、きっ! 聞きたい……です」

「俺も知りたいな」

「にゃん!」


 ルルカと、ハルルと、ヴァレリーと、天音にせがまれ話始めると、リュカは頭を押さえ溜息をついた。最初はリュカを人攫いに間違えたなんて言ったから、皆んなが大爆笑したからだと思う。特にヴァレリーとルルカは「いい気味だな」と腹を抱えて笑っていた。


 話しながら歩いているうちにアデルギィの街が見えてきた。


「変身術は全員、使えるな?」


 リュカの問いに一斉に頷く。


「俺たちの変装は昨日の一件でばれている。そして多分、ティルティポーの手の者たちに人相書きが出回っているだろう」

「なるほどね! 今までとは違う変装をしようって言いたいんだね?」

「あぁ。アデルギィで仕掛けてくる事は無いだろうが一応な」

 

 そんな感じのリュカとヴァレリーの言葉があって、僕たちはイメージチェンジすることとなった。

 僕はセミロングの黒髪にブルーの眼帯、長袖の薄いブルーの裾の長いワンピース。もうティルティポーの奴らに男装はバレているので、それならいっそ裏の裏をかいてみよう作戦で女の子の姿のままにしてみた。

 ルルカとハルルは、角は消せるけど髪色と耳は変えられないので、双子エルフの女の子って事になったみたいだ。黄色のワンピースが2人共似合っていてとても可愛い。

 ヴァレリーは髪色を茶色に変えて、商人風の白いワイシャツに茶色のズボンに着替えていた。

 リュカは濃いめの茶髪に変えて、冒険者風の生成りのシャツに深緑のズボンにしたようだ。


「うん! なかなか良いね! 特にアレティーシア! さすが俺の妹! たまらなく可愛いよ!」


 着替え終わって、お披露目したらヴァレリーが僕に抱きついてきて頬擦りをする。リュカたちは、この短期間で慣れてしまったのか僕たちの事は放置だ。


 ヴァレリーのシスコン暴走が治まってから街に入ったんだけど、直ぐに異変に気がついた。


「リュカ、これって僕たちだよね?」

「あぁ」


 街の至る所に張り紙がしてあるのだ。


【尋ね人】の大きな文字と、しっかり特徴を押さえ描かれている似顔絵が4人分。アレティーシアとリュカとハルルとヴァレリーだ。ルルカは顔を見られてないから似顔絵は描かれていなかった。


「姿を変えておいて良かったぁ……」


 思わず呟くと全員が頷く。


「ギィ婆さんがいるのに何故こんなものが?」

「もしかして何かあったのかな?」


 なんとなくだけど、街に活気が無いように感じる。と言うのも以前は、露店が並んで賑わって子供たちが遊んだりしていたのに今は人もまばらなのだ。


「ますば無事を確認しないとね」


 ヴァレリーが、ギィ婆さんの館に向かって走りだした。僕たちもその後を追う。


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