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諸君、狂いたまえ   作者: カイザーソゼ
第9章 赤き血のイチゾク
86/136

9-10

 夕方、ホテルの大広間で、財団主催の婚約記念パーティが開かれた。

 会場は大理石の床と鏡の壁を持つ、ホテルで一番のフロアだった。ここに夜会服姿の大貴族が集まって、道長とナポレオン三世を合体させた怪人の機嫌を取っていた。山崎は大変な上機嫌で、子爵の肩を叩いたり、社長のお酌を受けたりしていた。殿下と女官の姿はなかった。

 ホテルの女子トイレの前に、シルバと刑事数名が立っていた。シルバはトイレの中の秋水に、長谷川の素性を言い聞かせた。


「本名、セルゲイモストボイ。尊王院大学史料編纂所の元所員。九年前に入国して以降、所在が掴めませんでした。今礼状を用意してますが、思った以上にバックが強くて、上がビビりまくってます。最悪、長谷川だけを逮捕して終わり、って事にもなりかねません」


 秋水はトイレの鏡台で化粧をチェックしていた。


「なら自首させればいい。三十分以内に護送車を用意してください」

「水神さん。あなた違うと言うかもしれないが、今のあなた冷静じゃないよ。犯人をサンドバック代わりに殴ってスッキリするのは止めてくれ。刑事のする事じゃない」

「常に余裕と緊張を保ち、最良の選択をしています」

「一人で突っ走るなって事です!サポートさせてください。嫌って言っても無理矢理手助けしますよ。困った人の助けるのは、お巡りさんの仕事でしょ?」


 女子トイレから、ドレス姿の秋水が出てきた。刑事は全員後ずさって道を開けた。誰も彼に付いていこうとしなかった。秋水は立ち止まり、背中を向けたまま命じた。


「サポート!」


 刑事は思い切り頭を下げて叫んだ。


「はいっ!喜んでえええ!」

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