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臆病で、卑怯で

分岐点の続きです。

 空達に、感情を消すかどうか、尋ねられた時。

 消したときの感覚が怖くて、私は消さないことを選んだ。

 それは、こんなことを、予想してたからじゃない。むしろ、全く予想してなかった。

 目の前にいる、彼を見る。彼が私に、そういう感情を抱いてるなんて、思わなかったんだ。だって、私なんかに、惹かれる人なんて。もう現れないと、確信してたから。だから私は、消さないという道を選んだんだ。今まで通りの関係のまま、何年も経てば、特に何も起こらず、消えると思ったから。

 なのに、何で。何で。

 せめて、この気持ちが消えていたなら、これほど苦しまずに済んだのに。

 ······冗談なんて、思っちゃいない。貴方の目が、本気だと言ってるから。

 でもね、信じられないんだ。貴方が、これから一生、私だけを見てくれるかなんて、分からないでしょう?


「ごめんなさい」


 私は最初の恋人を、私が死ぬまで愛し続けたいし、愛され続けたい。私も努力はするけど、それでもやっぱり、私だけを見るなんて、ひどく難しいこと。

 浮気=私を好きじゃなくなるってワケじゃない。でも、私と恋愛関係を持っていながら、他の誰かとそういう関係になってほしくない。他の誰かに愛を囁いた口で、私に『好き』なんて言ってほしくない。他の誰かを見つめた目で、私を見てほしくない。

 もちろん、それが貴方からじゃなくて、相手から無理矢理されただけだとしても、貴方の反応次第では、私は、きっと。

 貴方を殺してしまう。

 そんなの嫌だし、色々面倒なことが起こる。最期まで見届けた後、貴方はどうする? 空達にも迷惑がかからないように、私がやったとバレちゃあいけない。どう工作する? 貴方が私を裏切って死んでも、死んだ貴方を愛し続ける? それとも、感情は消してしまって、いつか新しい恋をする?

 考えすぎだって、夢を見すぎだって、分かってる。好きでいる間は交際して、相手の気持ちが離れたら、別れればいい。それも分かってる。でも、無理なんだ。

 そんなことは、相手には言わない。言うようなことでもない。

 だから私は、貴方を想っていないような口振りで、伝える。

 今までの関係が一番楽しい。今までの関係を、保ちたい。私のことを好いてくれて、ありがとう。

 こういうときにどう言えばいいのか、私には分からない。私を本気で好く人なんて、もう現れないと思っていたから。

 私自身、誰かに告白をしたことなんてない。そもそも誰かに恋愛感情を抱いた数自体が少ない。

 好きになったところで、その人と親密な関係になりたいと、強くは思わないし。

 いつもいつも、私の面倒くさがりな性分が、相手を受け入れたがらない臆病さに、拍車をかける。誰かと『友達』になるときは、拒まれても良いと思えるから、大胆になれる。だけど、貴方には、拒まれたくないから。

 先に、こちらから拒む。


「······気持ちに応えられなくて、ごめんなさい」


 臆病なのは、死んでも治らない。




   ──────BAD END?「Coward」

······いやぁ······本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁッ!

バッドエンドなので、エピローグはありません。

エンド後予想は、お相手によって違うので、各ルートにて。

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