第十二話
誘われるがままに黙々とプランコの隣を武は歩いていた。
目的地はビューテの部屋で、ビューテと子どもに会うらしい。
正直、武は困惑していた。
なんかノリで偉そうにしちゃったけど、えっ、今から自分の子どもに会うの? いや~、それキツイわぁ。どんな顔したらいいわけ? パパですよ~ってか? そりゃねーわ。自分の親父の顔もろくに覚えてないのに、親父とかねぇわ。ってか、中一から中二のときに出来たってことでしょ? 裕也たちに何て説明すればいいわけ? あっ、今、俺カエンダーだわ。よかった、女神マジ最高! ……で、俺はどうしたらいいんだ? く、口調とか変えたほうがいいのかな。うぉっほん、みたいな。いや、だめだろう。というか赤ちゃんって何歳からしゃべるの? おっぱい飲んでるの? ビューテのおっぱいは見たいけど、いや、だめだろ。でもビューテかぁ。ちょっとトラウマってんだよなぁ。トイレ普通に一緒に入ってきてたし、私はかまいませんって、俺がかまうんだよなぁ。出なくなることも多かったし。あー、でも変わったっぽいんだよなぁ。三年ってでかいな。いや、それもそうだけど姫ってのにも問題あるだろ。どうして王族に手を出した、俺。魔王幹部倒したひゃっほい、で盛り上がって一発って、若い頃の俺をぶん殴りたいわ! 後先考えろよ。何が出していいよね、だ。ダメに決まってんだろうが! ビューテとヤッたのってあのときだけだから、一発的中? なんて確率だよ。いや、それ以上に出すなよ。その前にホイホイと女に手を出してんじゃねーよ。あー、くそっ。つまり、俺はどうしたいいの?
「ふふっ。お悩みのようですね」
あ、笑いやがった。プランコめ。あの幹部と戦ってるときにお漏らししてたこと、知ってるんだぞ!
「あ、いえ、不快にさせてすみません。ただ、魔王と戦うときよりも緊張されてらっしゃるように思えましたので」
「そりゃもう足は恐怖でガクガクよ。とりあえず謝る以外に何したらいいかさっぱりわからん」
「そうですねぇ。普段通り、堂々とされたらいいんですよ」
「え、そうなの? そんなもん?」
「えぇ、いつものようにされたらいいのです」
そっか、いつものように……って、それもわかんないから悩んでんだよ!
武はパニックで崩壊寸前だ。
「タケシ様。まずは深呼吸をされてください」
深呼吸?
おけおけ。深呼吸ね。
「タケシ様。単純なことです。笑顔の若い男女がいる。その間に赤ん坊がいる。幸せですか?」
笑顔の若い男女ね。
ふんふん。
で、その二人に赤ちゃんが。
なんだこれ、めっちゃすごいやん!
「幸せですね。では、もう少し時間をもどします。その二人の間に子どもが生まれました。では、そのとき男性は笑顔でなんと言いますか?」
ふむふむ。
そのカップルに子どもが生まれたときね。
女の人から赤ちゃんおぎゃあ、「でかした!」ってとこかな。
「つまりはそういうことです」
なるほどね!
めちゃくちゃ幸せってことね!
「ありがとう! さすがはプランコだ!」
「いいえ、全てはタケシ様のためです」
ツッコミ役がいないというのは、ある意味幸せなことなのかもしれない。




