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いつきとかいと

あるアパート


いつきはノートに何かをかいている。

ずっとかいている。

ご飯を食べ、風呂も入り終わり、布団の上でいつきは何かをかいている。


かいとは、声をかける。


「何かいてるんだ?」


いつきは冷静に答える。


「字」


「…」


かいとは一度黙ったがもう一度聞く。


「何の字をかいてるんだ?」


「いろんな字」


「…小説だろ?読んだぞ」


いつきは、急に顔を赤くさせる。


「何!何を読んだって?え、?え?」


いつきはあわてている。

でも、シャーペンもノートも離さない。


「ど、どれを!?」


「え、ダーク系のファンタジーとか」


「そっちかあ、じゃあいいや」


「色々読んだぞ」


「何で読んでるの!?」


「いや、気になって、絵もかいてるんだな」


「い、いつから読んでたの?」


「え、前から」


いつきは布団の中へと飛び込むように隠れた。


「何恥ずかしがってんだよ」


かいとは静かにいう。


「だってえ!?え、ほんとに?読んでないよね?」


「よくわからないが、ダーク?だった」


「…そ、そう…」


「ああ」


いつきが前から小説のようなものをかいていたのは知っていたが、見るのはと思ったが気になったのだ。


「いいんじゃないか?趣味とか人それぞれだし」


いつきはそれでも何かをいう。


「見なかったことにして?ね、?兄さん」


「見たから見たと言う!」


いつきは布団の中から出てくる。

もういいやという顔をして、いつきは正座をする。


「読めばいいでしょう」


いつきは続ける。


「何が恥ずかしいのか」


「色々なのかいてたんだな、旅系とか、バトルとか、あと…ファンタジー」


「恥ずかしくはないでしょう、恥ずかしくないでしょう恥ずかしくないでしょうはずかし…」


いつきは同じことを言い続けた。

かいとはにこりとする。


「勝手に見てごめんな」


「気にしてないでしょう」


「いや、ごめんな」


「怒ってないでしょう、ただ…私の趣味は、おかしいでしょうか」


かいとは一瞬考える。

でも、妹であるいつきだ。

何がおかしいのか。


「悪くはないと思う」


でも、かいとは続ける。


「いつきのかくやつって、なんというかダークファンタジー多いな、しかも悲しいやつ」


「幸せな話を書こうとしたのに、絶望になってしまうのです、例えば、最初は恋愛をかこうとしたら、絶望系になってたり…どうしてでしょう」


いつきは悲しい顔をする。


「私は優しい幸せな話がかいてみたいんです、でも、だめなんです」


「別に、趣味だし、誰にも見せてないだろう?」


「はい、見せてません」


「一人でかいてるやつは、どんな話になっててもいいだろ?」


「うん…」


「好きにかいてればいいと思う」


「うん…」


いつきはこくこくとする。

かいとは、にかっとする。


「ちなみに俺は、現代ものを今かいてる!」


「え、兄さんも?」


「物語が好きだからな、俺も」


「どんなの?」


「バトル?系だな、好きで」


「見せて」


いつきはかいとの目を見る。

暗い目をしてる。

こわい。


「兄さんも見たんだよね、見せて」


「え、俺はいいだろ?」


「み・せ・て」


「い、いや、恥ずかしいし」


「じゃあ、さがす!」


いつきは部屋を出ていく。


かいとは手を伸ばす。


「まってくれ!いつき、ごめん!まじでごめん!まて、いや、ほんとまってくれええ」


その後いつきはかいとのノートを見つけた。

かいとは顔が赤くなり、布団の中へと入り、もう何も言えなくなった。



いつきは暗い部屋の中で布団にはいって天井を見つめる。


いつきは小さくつぶやく。


「物語が好きすぎて困る…な」

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