バタフライ・イーター 8
「こんなの、あの人にやるつもりだっの……?」
「まさか、やっても直撃させたりはしないよ」
膨大な食われるモノの質量と氷が地に叩きつけられ轟音が鳴り響く。食われるモノは、信じられないことに、本当に動かない。宮前も浩仁も自分の中で復唱してしまう、絶命したのだと、あの一瞬で。
「それにしてもレベル3がここに出てくるなんて驚いた。しかも二人で戦うなんて無理をするね」
「ふたり……じゃない――」
あまりにも強烈過ぎた巡の攻撃に呆けてしまっていた宮前が、弾かれたように立ち上がり校舎へ走って行く。
「うわもしかして、非難終わってなかったの」
巡の額に冷や汗が流れる。しかし校内への配慮は出来る限り行ったつもりだった。万が一人がいたとしても影響へしないようになるだけ食われるモノへの直接攻撃も試みたし、唯一心配なのは短時間ではあるが近辺の気温が急激にさがったことだ。
(うーん……でもちょっと、誰かを心配してる余裕はないかな)
巡の視界が歪む。タクシーを降りた時から既に限界を感じていたのだ、しかしスマホの速報を目にしてそんな弱音は吐いていられなくなった。レベル3となると、浩仁を超える主力がいなければ勝敗に不安が残ると巡は感じた、〈多角大量変換〉で圧縮した属素を僅かに使用し傷口を塞いでいた巡にはある意味都合のいい話でもあった。そして練り上げた属素を使い切った今、巡の傷を塞いでいた能力も解除され、改めて発動する気力も体力も彼には残されていなかった。
「ォイ……てめェ、一体何に巻き込まれて来たンだ」
浩仁の視界には、再度巡の身体を伝う大量の流血が映っていた。
「あー…………………… ……」
(薗に、聴いてください)
ほとんどうめき声のような音を漏らし、浩仁の質問に一切答えられないまま巡は荒れた校庭に倒れた。
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