共存部 12
「能力部に入ってくれないか!!水瀬くん!!!!」
「この前は馬鹿にしてごめんね!!!だから能力部に入って!!」
「捕食者階級Aは能力部でも本当に少ないんだ、頼むよ」
放課後の教室ではまずにその言葉が飛び込んできた。正確には教室に水瀬薗が飛び込んできたせいなのだが。
「い~や~で~す~、あたしは共存部に入ったから能力部には入らないの~」
「掛け持ちだっていいんだ!」
「そうよっ、週に1回顔をだしてくれるだけでもいいの!」
「月に1回でも構わないから」
「だから~……」
水瀬は唐突に巡の腕を取ると体を密着させた、近くにいた宮前が机の足にすねをぶつけたようでうずくまる。
「あたしはメグルと一緒に部活動するのがいいの~、それ以外は興味ナシっ! わかったら諦めてくれないかなぁ」
「……では今日のところは失礼しよう、また勧誘に来るからその時を楽しみにしておいてくれ!!」
「いやだから諦めてよぉ」
去っていく男子生徒に面倒くさそうに返答するもののその声は届いていなさそうだ。
「また来るからね! その時は私達に応えてくれるよねっ、それじゃ!」
「いやだからぁ……いっちゃったし」
「おいだからお前らは片山爆破しろとか思わないの? 馬鹿なの? ……聞こえてないし。じゃあまた来るから、失礼するよ」
「お願いだからもう来ないで~」
「薗はさっさと離れようか」
「そう、です……離れて、くだ……」
「あれれ~アヤったらダンゴ虫ごっこ好きなの?あたしも小さいころよくやったよ~」
「何だそれ」
「んーと、ただ丸まって遊ぶだけだよ? 悲しいことに今じゃ胸が邪魔でできないんだよね~」
「しに…、…たい……」
(いやほんとコイツすげぇな)
「オーイおめェらさっさと部室来いや」
そこに姿勢を屈ませないと教室に入れない大男の声が廊下から三人に投げられる。宮前はしばらくうずくまっていたものの少しの時間を置いて全員が共存部の部室へと集合した。能力審査が終わった次の木曜日、正式な部活動となった共存部初のミーティングとなる日だった。未だ長机しかない部室で誕生日席に宮前、長辺に座る浩仁の向かいに巡、その隣に水瀬といった具合に座ってみると案外部活動っぽい感じが出てきて、思わず浩仁が「第一回!共存部ミーティングぅぅぅぅぅぅぅ!」と叫ぶや否や拍手が巻き起こった。
「本日のお題は! ズバリ共存意識を高める方法!」
「おおお~~~~」
「いいですね」
確かに共存部の活動一回目にはふさわしいタイトルだと巡は納得しつつ「で、具体的には何をやるんですか」と問いかけた。
「それを皆で考えるんだろう」
その通りだった。部活はもちろんミーティングすらロクにしたことがない巡には新鮮でありながら難しいお題かもしれない。
「はいはーい! クッキーを作って校内に配るとかっ」
1分もせずに手を上げたのは共存部の明るい担当こと水瀬薗だった。
「う~ん、地味じゃねェか? 手に入れる者と人が一緒に作りました~っていって配っても嬉しいけどそれ以上の効果はえられそうにないな」
「えーそれじゃあハデなものを作る??」
「なるほど、確かにクッキーっていうのがダメなのかもしれない。もっと達成感のあるものとかを協力して作ったとなれば効果は見られるかもな」
発案するよりも誰かの案を広げていくほうが向いていたりするのかもしれない。そう思いながら巡は「さっすがメグル~」という水瀬の言葉にまんざら嫌な気持ちを抱かずに次の言葉を待った。
「カレーとか!」
「クッキーよか難しいかもしれないが、量的に無理があるだろ」
「え~カレーはちょー凄いのに……」
「カレーが超すげェのは認めるが、そうだなァ……食い物から離れてハデなモンいってみねーか?」
「工作とかってことでしょうか」
「悪くないね、工作で達成感の感じる派手なものか」
「校内を全て使ったドミノ」
「いや凄すぎだろ、達成感凄すぎて共存意識どころじゃないわ」
「じゃあ1フロアドミノは~?」
「ドミノに思い出でもあんのかよ、悪くは無いけど」
「人間ドミノ」
「いだ駄目だろ。なんなんだよさっきから、ドミノに思い出ってか恨みでもあんのか」
「みんなで並べるならまだしもな、オレ達だけでやって成功したといってもそれまでの過程が迷惑行為過ぎる」
「確かに……」
「逆に製作途中のドミノを『好きに倒してください』とか言いふらしたら盛り上がりそうじゃない~?」
「うわなにそれ倒す側に回りたい」
「ふたりともひどいです……」
宮前が部長席でへにゃへにゃと崩れ落ちる。
「あたしは食べ物って結構クリティカルだと思うんだけどな~。でも難しいとなるとここはセンセー頼りカモ?」
ピクッとでかい筋肉が身体を震わす。その表情はいかにも待ってましたと言わんばかりの自信に満ち溢れた顔だった。考えがあるならさっさと言えよと思わなくもなかった巡だが……。
「オレの案が知りたいかァ……?」
あかん、これはダメな流れだ。
彼が口を開く前に何かしらの発案をして未然に防ぐべきだった。とはいえ、悲しいことに何も思い浮かばなかったのが現実だ。
「ズバリ、バトルだろ!!!!」
というアホみたいな提案をさせてしまい、しかしあまりにもアホ過ぎるのでこんな案は通らないかと胸をなでおろしかかった巡に、予期せぬ方向へと会話が続く。
「誰れがバトルするの~?」
「そりャあもちろんお前だろ」




