第七話 疑惑
どうにかして城に侵入した僕らは、城の案内人に案内され、廊下を歩いていた。…どうでもいいけど、廊下長すぎじゃないかなぁ。 イーラリ広場の商店街の2,78倍あるな、これ。
僕らはそんな長すぎる廊下を案内人と歩いていると、その案内人に質問されてしまった。
「リコマス様は本日どのような御用件ですか」
「え、あぁ、都主様に臨時の通達をすることになっております」
「…失礼を承知で御質問致しますが、どのような内容で?」
「え…いや…」
僕は隣のディアを見た…って、無関心そうに親指立ててんじゃねえよ…。
「えっと…今日は、岩顔魚の貿易についてです、かね…」
「えー、岩顔魚ってのは…あぁ、あのグロテスクな顔の深海魚ですか! …あれ、グロス港って周りは浅瀬ばっかりですよね。深海魚も獲るんですか?」
「え…えーっと…」
「…ん? あなたまさか…!」
マズい、疑われてる! でももうこれ以上言い訳が思いつかない…どうしよう…。
不安になる僕の目の前で、案内人の男は大声でまくし立て始めた。
「貴様達、偽者だな! 今援護の者を呼んだ! 痛い目に遭いたくなければ抵抗はす…」
次の瞬間、案内人はバッタリと倒れた。
僕は一瞬何が起こっているのか分からなかったが、次のディアの言葉で分かった。
「やれやれ、全く二回も手間掛けさせやがって…」
「…バカ! これじゃあ僕らがやったことが確定しちゃうじゃないか!」
「ん? …あぁ、此奴は死んでいない。ただ眠っているだけだ」
「…え? あ、本当だ…」
マジでこの人が死んだと思ったじゃないか! 全く、心臓に悪い…。
「ついでに、軽い記憶消失効果も付けた。仮に此奴が今此処で起きたとしても、俺達の事は一切覚えていないだろう」
それなら安心だ。
…あれ? さっきディアは『二度も手間掛けさせやがって』って言ったよな…
「なぁ、僕は一体どこで手間かけさせたんだ?」
「…門番との時だ」
あぁ… あのときも魔術使わせてたのか…。…ん? だったらもう最初っから魔法で突破すればよかったのに…。
結果、門番の男は酒に酔って眠ってしまった設定で、自分が呼んだ援護の者たちに連れていかれた。
この後はきっと解雇だな…。
その後僕らは援護の男の一人に先導され、都主の部屋の前まで来た。
ようやく来れたのか、ここまで。
僕は、目の前の扉を開けた。