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転生先は愛されヒロイン役なのに、まったく愛されませんっ!?〜三奇人に纏わりつかれて〜  作者: 葵ゆきこ


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いざヴェスニッツ学園へ

校門をくぐり、レンガ造りのアプローチを真っ直ぐ進んでいくと、各学年ごとの新クラスを発表する大きな掲示板が立っていた。


えーっと、私のクラスは……あっ、あった!


全部で5クラスに分かれており、私の名前は1-Dクラスの欄に載っていた。


私はゲームにハマっていた時の、推しの名前を探した。


いた!3-Aクラス、ジルヴェスター・アーベライン。


私の推しであるジルヴェスター=通称ジル様は、このベルヴァルト王国の王太子レオン・ベルヴァルトの幼馴染で、この学園の生徒会長でもある。


サラサラストレートな黒髪に紫の瞳が特徴的で、その見た目とクールな性格からついたあだ名は"漆黒のナイト"。


王道な爽やか王子様である"純白の王子"ことレオン王子と並ぶ姿はまさに光と影!


その二人の存在が、私が後にBlack&Whiteに夢中になる一因になったことは間違いない。


私は昔から、黒ポジションのキャラにハマる傾向がある。


常に明るく笑顔を振りまくよりも、本当に心を許した相手にだけ見せる穏やかな笑みが堪らない…!


ジル様も例外なくその類いだ。


推しに会うためにはまず順序として、レオン王子と知り合わなければならない。


そのためにはまず、このゲームのタイトルにもある通り婚約破棄をされないことには始まらないのだ。


ユリアーネにはイグナーツ・ブラームスという婚約者がいる。


彼が新しい恋人を連れて婚約破棄を切り出してくるのは、入学して初めてのヴェスニッツ学園主催の舞踏会の場だ。


そこで皆の大注目を浴びながら、公開処刑のような婚約破棄をされる様子を見ていたレオン王子が、ユリアーネのことを気にかけ時々話しかけてくれるようになる。


その流れで、知り合っていくようになるのがジル様だ。


最初の印象は最悪で、レオン王子に近づく女性はみな害虫扱いだと酷い待遇を受けるのだが、次第に打ち解けていくと何だかんだで優しいのだ。


スタート時からドン底だけに、優しくされた時の好感度は爆上がりする。


一部の人達にはジル様沼にハマったが最後、他のキャラクター達にいくら甘く囁かれても、全くときめかなくなってしまったという悲劇が起きたほどだ。


私もそんなジル様の魅力に沼ってしまったうちの一人である。


もちろん他のキャラクター達にも魅力は感じるが、推しという存在は唯一無二なのだ。


そんな推しへの第一歩である舞踏会は、明日の夜に開催される。


あ〜!早くリアルなジル様の姿を見たいっ!!


そんなうわの空な気持ちで、校舎へと向かう道を歩いていると突然何かに躓き、私は転んだ。


いつの間にか道を外れて草むらに来ていたらしい。


痛った〜…何が落ちて…………!?


人だった。


モジャモジャ頭にぐるぐるメガネをして、白衣を着た男子生徒が横たわって倒れていた。


「えっ、ちょっと…大丈夫ですか!?」


私は反応があるかどうか、揺さぶってみた。


……動かない。


体調が悪くなって倒れていたとしたら大変だ。


「ど、どうしよう…早く、お医者さんを呼んでこないとっ!

でも、ここに置いておくわけにも…

しょうがない……よいっ…しょ!!」


白衣の生徒を背負い、ズルズルと引きずりながら校舎へと向かおうとしたその時…


「ううん…僕の眠りを妨げるのは…誰?むにゃむにゃ…」


「寝てただけかいっ!!紛らわしい!」


私は白衣の生徒を地面に降ろした。


白衣の生徒はムクッと起き上がり、大きく伸びをした。


「あれぇ〜?君、誰?

もしかして君が起こしたの?

久々の大実験が成功して、やっと気持ちよく寝ていたところだったのに…」


「それはそれは、起こしてしまって悪かったですね!

でもあんなところで横たわっていたら、具合が悪くて倒れているのかと心配に思うでしょっ!?」


「心配してくれたんだね〜ありがとう。

紛らわしくてゴメンね!

僕は実験に夢中になっていると、寝るのも忘れてしまって……終わった瞬間に電池が切れたように、どこでも構わず寝ちゃうんだよねぇ〜

ここの生徒は皆もう慣れているのか、それとも僕と関わらないようにしているのか、ほとんどスルーされるんだけど……君、転校生?」


「いや、新入生ですけど。

私には関係ないことですが、何だか大変そうな体質ですね。

とりあえず無事なら良かったです。それじゃあ」


その場を去ろうとすると、手を掴まれて止められた。


「ちょっと待って!君、名前は?

僕はクラウス・レーヴェン」


クラウス…そんなキャラは登場してきた覚えがない。


ということは、モブキャラ的な?


「ユリアーネ・エーレンフェストです」


「ユリアーネ…うん、覚えた!

じゃあまたね、ユリアーネ!」


「……はぁ。では失礼します」


私はブンブンと大きく手を振るクラウスに見送られ、校舎へと入った。


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