表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に精通している私は目の前に異世界生物が現れても動じない②  作者: さえ
第六章 雄真の受難再び?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/49

1-1

 車のエンジンをかけエアコンが良い感じに効き始めた頃、ユエを連れた千歳がやって来た。昨日と同じようにユエをチャイルドシートに収め、準備が整うと車を発信させて千歳の店に向かう。店に着くと車を降りる前に千歳が包みを差し出して来た。


「これ、良かったら」

「何だよ?」

「おにぎりとお茶。運転しながらでも食べられるでしょ?二日間もユエのこと雄真だけにお願いしちゃってるから悪い、じゃなくて、助かってるからそのお礼!」


 悪いとか思わなくて良いと言った俺の言葉を思い出したのか、後半は言い方を変えて勢いに任せる様に言った。


「本当律儀だよな、気にすんなって言ってるのに。でもま、ありがとな。昼飯はどうするかなって悩んでたから助かったよ」


 今日行く施設には食事処もあるが昨日と違って甘酒は無さそうだった。ユエは気にしないだろうがそこで俺だけ飯を食ってユエがただ座っているのはどうかとも思っていたから助かったのは本当だ。だから礼は言えるのに、包みを受け取りながら照れもあって余計な事も言ってしまう。


「もちろん、胃薬も入れてくれてんだよな?」

「もう!嫌なら食べなくて良いわよ!じゃあね!」


 そう言って千歳は盛大に機嫌を悪くして車を降りて行ってしまった。


「ただの冗談だろうが」

『まったく、仕方のない子らよ』


 ぼそっと呟く俺に、ユエは大袈裟なため息をついた。


 見事に晴れ渡る空の下、車を走らせるのは最高だ。ユエも車窓を流れる景色を楽しそうに眺めていた。大抵の日本人にとってお盆休み期間の最終日に当たる今日は車も多く、幾度か進みが鈍くなることもあったが大渋滞に巻き込まれる程ではなく順調に進むことが出来た。


 ビルが立ち並ぶ地元とは違って、進むにつれて長閑な田園風景が多くなる。民家も密集しておらず集合住宅のギスギスとした窮屈感もなく、眺めているだけで気分も穏やかなものになる。


『人にとっては広大過ぎるはずだのに、それを簡単に駆けようとこんな箱を生み出して、こうして少しの時間で多くの距離を移動する。何でも実現しよる。本にようここまでになれたものよ。そしてまだ歩みを止めぬ。お主らは本に凄いの』


 気持ちよく走っているとユエが感傷に浸る様な思考を投げてきた。


「どうした急に?」

『いや、なに。少し打ちのめされてただけだ。ここを手本とし、ここと同じ位置を我は目指しておるのに、道のりは果てしないと思ってな。雄真のように小さき者がこうしてかなりの距離を簡単に駆け抜けるのを見てると、この世と我の世の差をまざまざと見せられている感じがしたのだ』


 小さいと言われると複雑だが、ユエのように神とか世界からしたらそうなのだろうから気にしないでおく。別に人間の器の大きさの話じゃないのだろうし。


「別に俺が凄いんじゃない。研究者が居て、技術者がいて、そういう凄い奴らのおかげで俺らは便利さを手に出来てるだけだ。ユエの世界にもすぐそんな奴らが生まれるよ。もう人もいるんだろ?人は貪欲に便利を追い求めるからな。そうなると発展も早いさ」

『千歳も同じように思考しておったな。他者を見れるその思考の育つまでが、果てしない時間がいるのだよ。そうなるまでは己の事のみで、争い他者を踏み躙るのみ。そしてまた不浄が世を覆う。あとどれほどそれを繰り返せば我はここに到達出来るのか』

「ユエは神様も見えるんだろ?せっかく地球に来てるんだから、直接どうやったんですか?どれくらいかかったんですか?って聞いてみたらいいんじゃないか?」

『だからこうして雄真と話しておるのだろうが』

「いや、だから俺じゃなくて神様とかこの世界って奴と話せよ」


 俺の言葉にやれやれと言った様子でユエは頭を振る。


『まったく、千歳もそうだが雄真も聡いようで鈍いの』

「何がだよ」

『昨日は神社で我を諭しておったのにのお。神と人の対話は己との対話に等しいと言っておったであろうが』

「それはユエがユエの世界の命がユエ自身だって言ったからだろ」


 ユエを連呼しすぎて混乱しそうになるな。


『ここはそうじゃないと思っておるのか?』

「ユエが言ってる事はたまに訳がわからん。ユエの世界と同じだってのか?それじゃあまるで俺達が世界そのものって言ってるようにしか聞こえない」

『そう言っておるのだよ。雄真達が世界だ。だからこうして我は道を知ろうと話を聞いておる』

「意味が分からん。俺は俺だ」

『そうだな。しかし元は世界であり、皆一つだったのだよ。覚えてはおらぬだろうがな。雄真や千歳の言う凄い者らも元は世界だ。つまり雄真達が凄いと言う事だ』


 ユエの話は本当に訳が分からない。だが、聞いてやりたいとも思うし理解してやりたいとも思う。ユエは俺と話すことを望んでるって事は分かるから。だが、運転しながら聞ける単純な話では無さそうだったから運転を諦めて話に集中する事にした。丁度パーキングエリアが目に入ったためそこで一休みしつつ、千歳のおにぎりで脳に栄養も与えよう。


「悪い、ちょっと頭が混乱して来た。少し車止めるぞ」


 一言断りを入れ俺は駐車場に侵入した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ