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第19話 とりあえず右に行こう!

右に行くか左に行くか理論って、どっちが正しいんですかね?

 ゴブリンを圧倒的な実力で倒したシュヴァル。

 その勇ましい姿に千鳥は感動したが、何も出さなかった自分を不甲斐ないと感じた。


「情けないね。私、何もできなかった」

「ん? 何言ってるの、千鳥は情けなくなんかないよ」

「そ、そうかな?」

「そうだよ。だって千鳥は躱すの専門でしょ? わざわざ真っ向から戦う必要なんてないじゃんかー」


 シュヴァルは楽観的だった。

 千鳥は勝手に悩んでいたけれど少し心が軽くなる。

 ふと納得した千鳥は、追い討ちの如くシュヴァルにスマホを見せつけられる。


「ほらほら、コメントでも投げ銭付きで来てるよ!」

「な、投げ銭!?」


 スマホを凝視すると、コメントが確かに来ていた。

 みんなプロコメントが多くて、批判的なものはほとんどない。あっても受け流して気にしないよう努めた。


“回避特化の人が無理に戦う必要は何処にもないと思いますよ。無理に戦っても前回の二の舞を喰らうだけだと思うので、積極的に避けて避けて相手を疲れさせて隙を突く方が千鳥さんには向いていると思います。参考までにと投げ銭を送っておきます。今後も無理せず頑張ってください”(1,700円)


「あ、ありがとう」


 千鳥は嬉しくなった。

 ポワッと心が温まると、応援してくれる人がいたのでありがたくて感謝した。


「でしょ? と言うわけで先に行ってみよう!」

「えっ、ちょっと待ってよ!」


 シュヴァルは先へ行こうとした。

 千鳥は置いていかれないように慌てて追いかけるものの、友達思いのシュヴァルが置いていくわけないとこの時には気が付いていた。

 案の定足並みは緩やかで、お互いにすぐに隣り合った。


「シュヴァル、さっきは如何してあんなに速く移動できたの?」


 千鳥は気になることが生まれた。

 洞窟になっているダンジョンの中を歩きながら、凸凹に足を取られないよう注意して進んだ。

 その中でシュヴァルの常軌を逸した動きを思い出して疑問を呈したのだ。


「ん、あれ?」

「うん、あれ。あれも能力なんだよね?」

「そうだよ。あれが私の能力!」

「やっぱり……」


 千鳥の予想は当たっていた。

 だけどどんな能力なのかは分からなかった。

 早速どんな能力なのか聞こうとしたが、シュヴァルは立ち止まった。背中にぶつかりそうになるも、ピタリと間隔を取って止まった。


「如何したのシュヴァル?」

「分かれ道」

「分かれ道? 本当だ。しかも三つ……いや、五つもあるよ!」


 シュヴァルの視線の先を目で追った。

 すると五つの穴が空いていて、どれも先に進めそうな雰囲気だった。


 そのうちの三つは同じくらい大きさ。人が余裕で通れる。

 残りの二つは少しだけ特殊。一つは下向きに伸びていて、更に下層へと繋がってていた。明らかに不気味で行く気にならなかった。

 もう一つは真っ直ぐ続いていたけれど、妙に穴が小さくて蟹さんみたいに歩かないと駄目そうで、胸が大きい人は通るのも大変そうだった。残念ながら、二人には縁遠い話なのでスルーした。

 

「どれ進む?」

「どれって言われても……こう言う時、パターンってないの?」


 流石に間違えたらヤバそうだった。

 シュヴァルに尋ねられたので、質問を質問で返す駄目プレイを敢行した。


「パターン? うーん、とりあえず手当たり次第に入ってみるしかないかな?」

「RPGでアイテムを取り逃がさないようにするなら分かるけど、今はそう言うことじゃなくて……」

「分かってるよ。うーん、まあ左じゃない?」


 シュヴァルはそう答えた。

 何で左なのかは分からないけれど、千鳥はこっちじゃない気がした。


「何で左なの?」

「大抵左向きに曲がるから?」

「それは右足が軸の人の考えだよね? 大抵そうだけど……うーん、私は右かな?」

「右? じゃあそれで行こう!」

「えっ?」


 千鳥はドン引きした。

 まさか自分の意見をすぐさま捨てて来るとは思わなかったのだが、シュヴァルは全く気にしておらず、右の道へと進もうとするので、千鳥は「待って!」とパーカーの袖を掴んだ。


「待ってよシュヴァル。そんな簡単に決めていいの?」

「いいよいいよ」


 シュヴァルさ親指を立てた。本気で千鳥一人の意見に従うつもりだ。

 嬉しいけれど自信はない。もしもの時は責任が取れないので、千鳥はオドオドした。


「何で私の意見に従うの?」

「従うわけじゃないよ。千鳥はこの手に関しては信頼度MAXでしょ?」

「は、はい?」


 千鳥にはさっぱり伝わらない。

 だけだシュヴァルには絶大な信頼があるので、千鳥のこの手の意見にはほぼ迷わなかった。

 だけどシュヴァルはもしかしたらと思い、千鳥に尋ねた。


「ちなみに何で右?」

「えっ、なんとなくだけど」

「なんとなくなんだ。じゃあオッケーだね!」

「それって如何言うこと! 怒っていいよね、私が右利きだから右って思ったけど怒っていいよね!」

「あはは、千鳥は本気で怒った時しか怖くないでしょ?」


 シュヴァルは笑っていた。

 千鳥は頬をプクっと膨らませたが、腕をブンブン振り回す。ポコポコとシュヴァルを叩いたけれど、全く痛そうに見えないので千鳥は不服そうだった。

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