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従者の、カルロと申します

後半は、タイトル通り、カルロさん視点にしてみました。

気を取り直しまして。

教会へ到着しました。


どの街も同じように、教会と隣接して孤児院があります。

そして神父様にご挨拶をして、孤児院の方へ入らせていただきます。

既に数回、奉仕活動をさせていただいていますので、神父様ともシスターさん達とも顔見知りになっていますので、簡単なやり取りだけで入らせていただけるのです。


「……あら?」

「シシィ? …あ、」


教会から孤児院へ向かう途中、シシィが立ち止まりました。

どうかしたのかとシシィの見ている方へ視線を向ければ、学園の制服を着た方が、教会の一番後ろのベンチに座っていました。

シシィに聞けば、先ほど見掛けたクラスメイトの方だそうです。


ピンクブロンドのふわりとした髪に、シシィよりも日に焼けた肌。

座っていて良くは判りませんが、多分シシィと同じくらいの身長だと思います。


「カイン、先に行っていてくださいな。私、少しお話ししてきますわ」

「…分かりました。ではカルロさん、お願いします」

「はい。カイン様も、何か御座いましたらお声掛け下さい」


俯いているリリーナ様 (確か、そういったお名前ですよね)の表情は見えませんが、シシィは何かを考えて、僕と離れました。

カルロさんも居ますし、教会で変な行動をする人はよほどいないでしょう。


ヒロインさんなのでしょうけれど……。

気にならないと言えば嘘になりますが、僕はヒロインさんと面識がありませんし、何か気落ちされている様子なので、先ずはシシィに任せましょう。

女の子同士の方が、話せることもありますでしょうしね。





~ side.カルロ ~


カイン様と別れたシシィ様は、教会の一番端に向かわれました。

シシィ様の視線の先に見えられる、リリーナ様とおっしゃられるお嬢様は俯き、両手を膝の上で組んで祈られておいでです。


「あの、リリーナ様、ですわよね?」

「っ! ……ぇ、あの…」


シシィ様がお声を掛けますと、リリーナ様はビクリと肩を震わせ勢いよく顔を上げられました。

しかし、シシィ様を見て、首を傾げられました。


「驚かせてしまいましたわね。私、貴女と同じクラスのシシィ・フォン・サルグリッドと申しますわ」

「サルグ……! し、失礼しました!」


名乗られたシシィ様に、リリーナ様は慌てて立ち上がり名乗りと礼を取りました。

貴族間では、貴族位の下の者が先に名乗るのが礼儀となります。

下位が上位に先に名乗らせることは侮辱とも取られ、最悪その下位貴族は没落、一族郎党奴隷堕ち、なんて事例も。


ですがシシィ様はそのような、身分を笠に着るようなことはいたしません。

リリーナ様ににこりと微笑まれ、座られるよう促しておいでです。


「落ち着いてください、リリーナ様。お祈りの邪魔をしてしまったのはこちらですもの。さ、お掛けになって」

「はぅ、ぁ…あうぅ……」


お隣に腰かけられたシシィさまに、リリーナ様は混乱されておいでです。

無理もありません。シシィ様はお綺麗ですし、微笑みは女神のごとく清らかで清廉ですから。


シシィ様はあわあわと慌てるリリーナ様を、落ち着くまで微笑みながらお待ちになられました。

それから、少しですが落ち着きを見せたリリーナ様に、シシィ様はゆったりとお話を始めました。


「リリーナ様は、休日はいつも此方においでなのですか?」

「ぁ、いえ……その、今日が初めて、です…」

「そうなのですか。私は、毎週末とはいきませんが、時折此方で奉仕活動をさせていただいているのですわ」

「ほうし、かつどう…?」

「ええ。とは申しましても、孤児院の清掃や畑の水やり、あとは、薬師様の雑用位しか出来ないのですけれど…」


シシィ様はそうおっしゃって、苦笑されました。

リリーナ様の緊張をほどこうとされているのでしょう。リリーナ様ではなく、教会の正面、女神像へ視線を向けられたままです。


暫くの間、シシィ様の声のみがゆったりと聞こえておりましたが、ふと、リリーナ様が口を開かれました。


「…あの、サルグリッド様は…魔法の、適性は………」

「適性ですか? 私は、火と光になりますわ。……ぁ、もしかして、」


リリーナ様の問いに答えられたシシィ様は、途中でリリーナ様を窺うように見られます。

リリーナ様はシシィ様の視線を受け止められ、小さく頷かれました。ですが、すぐに下を向かれてしまいます。


「毎日、魔力制御が出来るように頑張っては、いるんですが……」


ポツリポツリと、リリーナ様は話されます。その間、リリーナ様の顔は伏せられ、声もとても小さいものでした。


リリーナ様は、毎日座学の後の自習時間に、個人訓練所 ‐ 所謂魔法用の自習広場です ‐ で魔法の制御について試行錯誤されているそうです。

ですが、元々魔力制御というのは教会での儀式で得る方が大半のため、制御の方法というものを説明出来る方はおりません。

リリーナ様は学園の図書塔へ魔法学の書物を探しに行かれたそうですが、魔力制御という文言は一行程でさらりと流されてしまっている書物ばかりだったそうです。


「…図書塔や、訓練所で、その……私の特訓を、見ていてくださる方もいるんですが……説明があまり、その……要領を、得なくて………」


図書塔では、塔に入り浸って…コホン、熱心に書物を読まれているサイナス・カンツァー様が。訓練所では、魔法ばk…コホン、魔法研究に熱心なケビン・マクヴェル様が、リリーナ様の魔力制御を邪魔…コホンコホン。お手伝い下さっておられるようですね。


まぁ、ケビン・マクヴェル様は何となく理解が出来る方です。

あの方はお父君が王宮筆頭魔術師であらせられるので、幼い頃から御子息のケビン様ご本人も魔法の研究をなされたいと熱心におっしゃられていたとか。

そんな方にとっては、儀式を受けずに魔力制御を成されようとされているリリーナ様は良いカモ…コホン、良い実験だi…コホン、研究対象なのでしょう。


しかし、サイナス・カンツァー様は……判りませんね。判断材料が足りません。


「そうでしたの。……ええと、サイナス・カンツァー様とケビン・マクヴェル様のことは、とりあえず横に置いておきましょう。それで、魔力制御の方法、でしたわね」

「はい。……聞いた所によりますと、体内の魔力をグッとしてギュッ。とすれば良いと……」

「……リリーナ様、それだけの説明で? ……」

「…はい……」


………オノマトペ甚だしい説明ですね。

それだけの説明しかしないお二人もある意味凄いですが、その説明で実践しようとなされるリリーナ様は、なんというか……。


シシィ様は一つ息を吐かれると、リリーナ様に明日の授業後の約束を取り付けられました。


……カルロさんのアレがあまりにもアレなのは、仕様です (笑)

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