44話 尊、行商人ドラッグの対抗策を考える①
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朝の人だかりが居なくなると、ハードウッドさんも俺達のいる部屋に入ってきた。
「尊様、メイプル様、ミュート様、おはようございます。詳しい話はビーチから、聞いて頂けたでしょうか。」
ハードウッドさんに質問に、俺とメイプルとミュートは頷いた。そしてこれまで4人で話していたことを、ハードウッドさんにも聞いて貰った。
「なるほど、私も尊様の予想通りだと思います。色々と不可解な部分もありましたが、尊様の話を聞いたら全て納得できましたよ。」
疲れた声を出しながら、ハードウッドさんも椅子に座る。俺は、ハードウッドさんに今後どうするのか聞いてみた。
「ハードウッド様、疲れている所申し訳ありませんが。今後どうするおつもりでしょうか。」
「そうですね、情けない話ですが完全に手詰まりです。獣人達を全て奴隷にしたことも、イーストウッド村で商売を始める計画もかなり前から準備していたのでしょう。こちらが付け入るスキが、見つかりません。」
ハードウッドさんの言葉に、部屋にいる全員が暗くなってしまう。そんな中でナツメさんが、口を開いた。
「皆様、今更ですが朝食はお済ですか。お腹が減っていたら、いい考えも浮かびませんよ。」
ナツメさんのそんな一言に、今更ながらお腹が減っていることに気が付く。そういえば急いで出て来たから、朝から何も食べていないことに気が付いた。
「そうだな。ナツメの言う通り朝の対応で。何も口にしていなかったな。どうですかな、尊様もご一緒に。」
「そうですね。メイプル、ミュート、俺達もハードウッドさんのお言葉に甘えさせて貰おう。」
メイプルとミュートは、ナツメさんに”お手伝い致します”とティーさんと一緒にナツメさんについて行った。
残された俺とビーチさんとハードウッドさんは、それぞれ知っていることを共有することにした。
「私の方は朝起きる外が騒がしいので、外に出てみると村の人が酒場に向かっている途中でした。そこで獣人達が全て捕まったと聞いて、メイプルとミュートを連れて酒場へきたんです。」
「僕の方は朝食の材料を買いに市場に行ってみると、キャラバンの人達が沢山の獣人を馬車で運んでいました。
近くへ行ってみるとキャラバンの方が、獣人の被害は無くなると言うことと。行商人ドラッグが獣人達を働かせて、この村の市場に安価な商品の提供を約束するという内容でした。」
「私の方はクエストカウンターの準備をしていると、酒場のドアを何度も叩く音に気が付きました。急いでドアを開けてみると多くの市場で店を出している村人がおり、行商にドラッグに交渉するようにと詰め寄られていました。」
俺はビーチさんとハードウッドさんの話を聞いて、簡単に頭の中でまとめてみた。
・近くに住んでいる獣人は、行商人ドラッグに全て奴隷にされていた。
・行商にドラッグは、獣人達を働かせて安価な商品市場で提供すると言っていた。
・これまで市場で商売をしていた村人は、安価な商品を卸さないようにハードウッドさんに頼みに来ていた。
話しをまとめてみると、こちら側の不利な状況しか見えてこずに俺達3人は大きなため息を吐いた。すると奥からティーさんが、”朝食の準備が出来ました”と呼びに来てくれた。
俺達が酒場のテーブルに行くと、そこには普通の朝食とは別に沢山のデザートが並んでいた。
「メイプル、ミュート。なんというか、沢山作ったな・・・。」
「申し訳ございません、尊様。ナツメ様とティー様より普段食べている物を聞かれた所、作り過ぎてしまいました。」
「それでも明らかにデザートの数が、多すぎる気がするが・・。」
「ナツメ様とティー様に、美味しいお菓子で食べてほしい物を上げた所こうなりました。」
ナツメさんから、”尊様。私が我儘言ったのが原因だから、怒らないであげて”と言われたので何も言わなかった。俺を始めとする男性陣は普通の朝食だけで満腹になったが、女性陣は楽しそうにお喋りをしながらデザートを食べている。
「私おばさんだけど、この前食べたプリンに年甲斐もなくときめいたの。でもダメね、今食べているデザート達に浮気しちゃいそうだもの。」
「ナツメ様、私も同じです。このクレープに挟んであるホイップクリームとカスタードクリーム、そして甘酸っぱい果物を一緒に食べることに。私も、夢中になりそうです。」
「ナツメ様、ティー様。こちらのクッキーとクラッカーも、美味しいですよ。こちらはポーション作りをしている私のために、尊様が差し入れに作ってくださったお菓子なんです。」
「メイプルさん、それだとメイプルさんだけ特別みたいじゃないですか。尊様は、メイプルさんと私のために作ってくださったんですよ。」
ナツメさんが、”あら、あなた達羨ましいわ。私も旦那がいなかったら、尊様に恋しちゃいそうだもの。”というセリフは聞こえなかったことにしたい。
俺はビーチさんとハードウッドさんに話しかけた。
「女性陣達は本当に、お菓子がお気に入りみたいですね。」
「そうですね。母はともかくとして、ティーは最近暗い顔をしていたので笑ってくれるのは嬉しいです。」
「ビーチの言う通りです。しかし、尊様の作られる食べ物は凄いですな。ここで食事をしていく村人や行商人からも大絶賛なのですよ、何しろ”食事をすることが待ち遠しい”なんて言葉は初めて聞きましたから。」
ハードウッドさんの話だと、ここで食事をしていく行商人がレシピを売ってくれと催促しない者はいないらしい。
「尊様のおかげでイーストウッド村の特産になりつつあったのに、このようなことになってしまい本当に残念に思います。」
「メイプル様とミュート様には言いにくいですが。獣人達の問題が解決して治安が良くなれば、行商人以外の人達も沢山来るだろうって村でも噂になっていたんですよ。」
ハードウッドさんとビーチさんの話を聞きながら、再び女性陣の話に耳を傾ける。
「尊様の料理には何度も驚かされるけど、このクッキーやクラッカーは凄いね。食事って言えばテーブルの上でする物なのに、こいつは小腹が空いた時にどこでも食べられそうだよ。」
「本当ですね。私も受付嬢の仕事の休憩に、簡単に食べられそうです。」
「ナツメ様とティー様の言う通りです、私も初めてクッキーとクラッカーを食べた時は、フォークやスプーンを使わずに手で食べられること驚きましたから。」
「クッキーやクラッカーなら、お外でも休憩しても手軽の食べられますから便利だと思います。」
俺はこの和やかな時間が、もしかしたら無くなるのではと思うと悲しくなった。もしこの幸せを維持しようと思うと、最低でもクエストカウンターの存続もしくは行商人ドラッグに勝利することが必要になってくる。
経営資源の基本は、ヒト、モノ、お金、情報である。これらを使って行商人ドラッグに勝利するためには、何を生産するのかが重要になってくる。
単純に考えれば、食材を加工して美味しいという付加価値をつけて生産する料理があるだろう。
それだと現状維持での最低ラインであるため、行商人ドラッグに勝つことは難しい状態になる。最低でも、行商人ドラッグの収益を奪う形に持って行く必要がある。
「行商人ドラッグより安価な食材を提供できれば、収益を奪うことは出来る。だが、それだとこちらの収益を放棄することになってしまう。
この2つを両立しようとすれば、片方で収益を上げて片方で行商人ドラッグの収益を奪う必要がある。」
俺は女性陣の中で話している、メイプルとミュートの方を見る。2人は俺から見ても魅力的な女性で、2人共それぞれスキル”薬品作成”とスキル”服飾作成”を最高Lvで持っている。
俺は前世の記憶とメイプルとミュートのスキルを組み合わせて、ある価値観を付加して生産することを思いついた。
申し訳ありません、ストックが無くなりました。
2~3日ぐらいの間隔で書いて参りますので、引き続きよろしくお願い致します。




