18話 尊、スキル”料理”をする
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メイプルとミュートが、部屋に入って来て扉を閉める。そして俺のベッドで座っている俺の近くに来ると、2人共自分の服に手をかけて脱ぎ始める。俺は咄嗟に下を向いてしまい、メイプルとミュートから視線を外してしまう。
「尊様、緊張なさらずとも大丈夫ですよ。私達も初めてなのですから。」
「大丈夫ですよ、尊様。私もメイプルさんも、望んでここにいるんですから。」
思わず2人の方を見ると、上半身裸で手で胸を隠しているメイプルとミュートが立っていた。メイプルの大きめの柔らかそうな胸と、ミュートのメロンのような形のいい大きな胸に釘付けになってしまう。
「そういえば、尊様は。奴隷の服からこの服に着替えた時も、私達の胸をご覧になっていましたね。」
「集落の男の人から、ジロジロ見られるのは嫌でしたけど。尊様が見てくれるのは嬉しいから、私は大丈夫ですよ。」
そんな風に言われて、”バレていたのか”と呟くと。”バレバレですよ”と2人に笑われてしまった。また2人の胸に目がいくと、2人の左胸の心臓当たりに10円玉ぐらいの大きさの、痣のような跡があった。
「聞いていいかわからないが、メイプルとミュートの左胸にあるその”痣みたいな跡”は何なんだ?。」
メイプルとミュートが自分の胸に目をやると、”奴隷紋のことですか”と答えてくる。
「そういえば忘れそうになりますけど、私達って”奴隷”なんですね。」
「これを初めて刻まれた時は、あんなに絶望したのに。今では私達と尊様を繋いでくれた、”ご縁”だと思うと複雑ですね。」
色々聞きたいと思ったが、2人の顔を見ていると何も言えない。するとメイプルとミュートが、俺の方を向きながら。
「尊様。いずれは私達のことは、必ずお話致します。ですが、今私達が幸せあることは自信を持って言えます、そのことだけは信じてください。」
「尊様。私達は、”奴隷”のように命じられてここにいません。自分の意思でここにいるんです、だから受け取ってください私達の気持ちを。」
俺はメイプルとミュートにベッドに押し倒されて、思うがままに夜の営み過ごした後。そして窓から入ってくる光を見て、朝が来たことを気が付いた。ふと左右を見てみるとメイプルとミュートが、俺の腕に抱きつて寝ていた。何もしなくても右腕にはメイプルの柔らかな感触が、左腕はミュートの大きな胸の谷間に収まり、温かくてすべすべした感触と共に俺は朝を迎えた。
俺が不意に体を動かしたせいなのか、メイプルとミュートが目を覚ます。
「悪い、起こしてしまったか。おはよう、メイプル、ミュート。」
「おはようございます、尊様。昨晩は、お情けをありがとうございました。」
「おはようございます、尊様。私の初めてが、尊様で嬉しかったです。」
そう言って、メイプルとミュートがベッドから出ていく。どちらを見てもメイプルとミュートの裸の後ろ姿が目に入ってしまい、今更ながら気づいてしまった俺の知るファンタジーの”獣人”と違う部分に。
「メイプル、ミュート。」
「「はい?」」
「この世界の”獣人”って尻尾ないんだな・・。」
俺は自分の中の”ファンタジー”の常識が通じないことに無言なり。メイプルとミュートは、俺の発言の意味がわからず無言になる。どうでもいい空気が、朝の清々しい空気を浸食した瞬間だった。
取りあえず俺達3人が着替えを済まして、朝の水くみと朝食を準備する。そして朝食を食べながら俺の知っている”獣人”の説明を、メイプルとミュートにした。
「まず俺の前世では”人族”以外の種族は存在しないんだ。だが物語の中にだけ、”獣人”や”ドワーフ”
や”エルフ”などが存在したんだ。」
「では尊様の世界?の”獣人”は、どんな姿だったのでしょうか。」
「色々な姿があったが、”獣耳”と”尻尾”は皆持っていたと思う。」
「でも耳はともかく、尻尾があるのは不思議ですね。尻尾なんかあると、普通の服は着られませんよ。それに、尻尾があったら椅子とか座りにくくて大変そうですね。」
ミュートの悪意のない発言で、俺の世界の獣人さんが否定されてしまっている。一応、フォローも入れておこう。
「元々作り話な部分があるが、”人”と”獣”の特徴を受け継いだ結果そんな風になったのかもな。」
「尊様、質問なのですが・・。”ドワーフ”や”エルフ”にも尻尾があったんですか?。」
「いや、そんなことはないな。”ドワーフ”は髭が多くて鍛冶や装飾品が作るのが得意だったり、”エルフ”は耳が長くて弓が上手かったり、魔法が上手かったりしたな。」
正しくはないかもしれないが、俺の知識にある種族の特徴を上げてみた。すると、メイプルが反論してくる。
「尊様の世界を知らないで上手くは言えませんが、私には不自然に聞えますね。
種族によって違いはあれど、”耳”は全ての種族に持っているのは理解できます。ですが”尻尾”は獣人だけが持っていている部分は、違和感を感じます。」
メイプルが言うには種族によって暮らしている場所が違うので、”進化”や”退化”はあれども皆が持っているのはわかるが、一部の種族だけ特別に持っている現象には違和感を覚えるらしい。
俺の常識とこの世界の常識をとやかくいっても仕方ないので、食事が終わると同時に気にしないことにする。
食事の後片付けが終わったのを見計らって、俺はメイプルとミュートに尋ねた。
「メイプル、ミュート。昨日も言っていたが俺は2人の意見を全く聞こうとせずに、方針を決めていた。
今日はスキル”料理”のLv上げと言っていたが、今更ながら他にやりたいことがあれば言ってほしい。
俺は2人の意見を優先したいと思っている。」
俺がそんなことを言うと、メイプルとミュートは”予定通りスキル”料理”のLvを上げましょう”と言ってくれる。
「いいのか。メイプルとミュートの、”やりたいこと”を優先してもいいんだぞ。」
「尊様は、私達のために市場の人達に頭を下げてくださいました。でしたら、私達もまずは尊様のために、行動したいです。」
「私も同じ気持ちです。それに尊様が言う”美味しい”食事は、私達も食べたいですからね。」
メイプルは優しく、ミュートはにこにこ笑いながら俺の我儘に賛成してくれた。俺は2人に”ありがとう”といいながら、3人でスキル”料理”のレシピ”ドライフルーツ”を確認する。
スキル”料理”
レシピ”ドライフルーツ” Lv1
材料 果物 ✕ 1 = ドライフルーツ
とあったため、アイテムボックスから適当な果物を取り出した。
「じゃあ、俺は”ぶどう”のドライフルーツを作ろう。」
「私は、”オレンジ”のドライフルーツを作ります。」
「私は、”桃”のドライフルーツを作って食べてみたいです。」
俺は”ぶどう”、メイプルが”オレンジ”、ミュートが”桃”を使ってドライフルーツをスキル”料理”で作っていった。メイプルとミュートが2~3個ほど失敗していたが俺は失敗するこはなかった、”装備の効果だから”と説明したがメイプルとミュートの俺を見る目が”ズルいです”と訴えているのがよくわかった。
俺達が”ドライフルーツ”を10個づつ作った所で、”パン”も作れるか試してみることにする。俺達はレシピ”パン”を、アイテムボックスから取り出しての内容を確認した。
スキル”料理”
レシピ”パン” Lv1
材料 小麦粉 ✕ 1 + 水 ✕ 1 + 塩 ✕1 + (菌 ✕1) =
”パン”の材料自体は、前に確認していたので問題はない。だがアイテムボックス内の”小麦粉”の数が心もとないため、買いに行こう思ったが帰ってからまたスキル”料理”を行うのは面倒臭い。
「そういえばティーさんからスキルの説明を聞いた時に、”小麦粉”を作れるスキルがあったな。」
俺はアイテムボックスの中から、貰ったレシピを取り出して探してみる。
「”小麦”の作り方、作り方・・。あった、どうやらスキル”アイテム精製”で作れるみたいだな。」
俺はスキル”アイテム精製”でレシピ”小麦粉”を使ってみた。
スキル”アイテム精製”
レシピ”小麦粉” Lv1
材料 小麦 ✕1
「メイプル、ミュート。小麦粉は”パン”や”お菓子”を作る上で必需品だ、だから今から3人でスキル”アイテム精製”で大量に作るが構わないな。」
「「勿論です、”デザート”のために頑張ります。」」
俺はアイテムボックスから”小麦”を200個出して、メイプルとミュートの力を借りながら”小麦粉”に変えていった。そして”小麦”200個分のスキル”アイテム精製”が終わる時には、テーブルや床を含めた台所のあらゆる所に”小麦粉”が散乱していた。俺はメイプルとミュートに手伝って貰いながら、パンに使う以外の小麦を全てアイテムボックスに収納した。
「メイプル、ミュート、ありがとうな。じゃあ改めて、”パン”を作ってみよう。」
俺はアイテムボックスから”塩”を1人3個分出して、メイプルとミュートは”小麦粉”と”水”の準備をしてくれた。
「じゃあ、”パン”を作ってみようか。」
「「はい、わかりました。」」
メイプルとミュートがスキル”料理”で、”パン”を作っていく。”ドライフルーツ”より数は少ないが、失敗することはなかった。
今度は、俺もスキル”料理”で”パン”を作っていく。そして最後1個を作ろうとした瞬間、自分で作ったドライフルーツが目に入る。”そういえば、前世にはドライフルーツ入りのパンがあったな”と思いながら作っていると、目の前の”ドライフルーツ”も一緒に消えてしまう。俺は驚いて3個目の”パン”を確認してみると、そこには前世で見た”ドライフルーツ”入りの”ぶどうパン”が出来ていた。
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