【クラウド視点】二人目の『タナトス』
街に着いて、滞在先の宿で休む。
その間も頭を巡るのは、二人目のタナトスのことだった。
『そう。僕たちは同胞だろう?君だって気付いたはずだ。だから君は僕にとって数少ない、僅かにだが血の繋がった年下の女の子。妹も同然だ』
そう二人目のタナトスは言っていた。
見た目も男女の体格差などはあれどほぼ瓜二つ。
『同胞』『僅かにだが血の繋がった』と言うからには血縁者なのだろう。
しかし【タナトス】に面識はなさそうだった。
二人目のタナトスも、最初は少しよそよそしかったし。
「タナトス…一体彼は君のなんなんだ…?」
「いや…その前に、君はどんな複雑怪奇な事情を持っている…?」
あの口振りでは、【タナトス】にとって血縁者自体珍しいのだろう。
そして二人のタナトスはどちらもそれを受け入れている。
家出した貴族の女の子かと思っていたが、お家断絶されたとかかもしれない。
それであれば【タナトス】はどれだけ苦労してきたのか…。
「あの二人があれだけ強いのにも納得だな」
自分たちSランク冒険者パーティールーヴルナを圧倒したタナトス。
そのタナトスを圧倒した二人目のタナトス。
どちらも余程苦労してきたのだろう。
「次に会ったら…あちらのタナトス殿も労いたいところだな」
そして、タナトス殿に負けてしょげているタナトスのことも労ってやりたい。
「…また、美味い飯でも食べさせてやるか」
タナトスはどうも美味しいものが好きなようなので、雑な励まし方だがそれが一番効くだろう。
俺はタナトスを飯に誘いに、宿の部屋を出た。




