はじめまして異世界
私は地球という惑星で生まれた、日本という国で育った女子高生。
天涯孤独の身の上で、趣味はネット小説を読むこと。
そんな私はある日、無差別殺人鬼と出会して幼い子供を守る代わりに命を落とした。
と思ったら、なんか知らん森にいた。
一体どういうことでしょうか。
『お教えします』
「え」
『私は…便宜上天の声とでもお呼びください』
「…天の声さん?」
『はい』
天の声さんは自分の素性は教えてくれなかった。
ただ、天の声さんによるとここは私からすると『異世界』らしい。
そして私は人間ではなく『魔族』の『ドッペルゲンガー』に転生したらしい。
ドッペルゲンガーは好きな見た目になれるらしい、今はただの影の状態。
ということで早速、好きなアニメのキャラクター…『タナトスとエロス』のタナトスに変身してみた。
「わぁ、本当にタナトスっぽくなってる…!」
近くの水辺で姿を確認するとたしかにタナトスっぽい、対魔剣タナトスもちゃんと装備していた。
ただしタナトスは男なのに、私は男装の麗人っぽい感じだ。
どうやら女性の体のままタナトスっぽくなったらしい。
ドッペルゲンガーといっても性別が女だからこうなったとは天の声さんの説明。
「なるほどなぁ」
とりあえず、強さまでタナトス級なのかどうか試してみることにした。
天の声さん曰くドッペルゲンガーはある程度模倣した人間の力を使えるらしいが、ある程度がわからない。
ということで、この森のこの位置からでも見える向こうのほうの山に向かって力をぶっ飛ばした。
「タナトス、私と同じ名を冠する剣よ。その力を今示せ。対魔剣、抜刀。タナトス!!!」
ぶっ飛ばしたら、魔力の塊が大量放出されて山が抉れた。
「やば…」
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
「え」
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
「ちょ」
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
―………
……
…
『パンパカパーン。ドッペルゲンガー・クイーンに進化しました。ご褒美に金貨一万枚が付与されます』
「わぁ」
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
『パンパカパーン。レベルが一上がりました』
―………
……
…
『パンパカパーン。ドッペルゲンガー・クイーン、カンストしました。これ以上の進化先はありません』
「はは、さすがタナトスに変身しただけはある…無茶苦茶だぁ」
どうやら山にいた魔物を殺し尽くしたらしい。
あっという間に進化して、あっという間にカンストしていた。
ステータスとかって見れるのかな。
『見れますよ、どうぞ』
【名称】タナトス
【性別】女性
【年齢】十八歳
【レベル】一万
【職業】なし
【称号】なし
【スキル】異世界語翻訳
アイテムボックス
アイテム・ドッペル
ドッペルゲンガー
転移魔法
鑑定眼
【その他】体力 一万
魔力 一万
攻撃力 一万
魔法攻撃力 一万
防御力 一万
魔法防御 一万
素早さ 一万
「なるほど」
模倣しているからか、ほぼタナトスっぽいステータスだ。
タナトスは女性じゃないのと、アイテム・ドッペルとドッペルゲンガーのスキルがなかった以外は。
『アイテム・ドッペルは物にたいして変身を行使できます。ドッペルゲンガーはそのまま種族としてのスキルです』
ものは試し、その辺のものにスキルを使って巾着を二つ作ってみた。
うん、ちゃんと巾着。
巾着の大きい方に金貨九千九百九十枚をしまってアイテムボックス送りにする。
アイテムボックスはタナトスのスキルで、要は四次元ポケットだ。
で、もう一個小ちゃい方の巾着に金貨十枚を入れておく。
「ちなみにお金の価値って日本円で?」
『金貨が一万円、銀貨が一千円、銅貨が百円です』
わかりやすいな。
ていうか一万円を一万枚ってすごくない?
『ドッペルゲンガーは進化しづらいので、進化報酬が多いのです』
ちなみにその金貨はどこから?
『天からです』
なんでもありだな本当に。
ところで心の中の声も拾ってくれるんですね。
『まあ、はい』
天の声さんの声は他人に聞こえたり?
『しません』
やはり。なんとなくそんな感じはした。
『ちなみに言い忘れていましたが、ドッペルゲンガーの変身は高位の魔法使いや魔術師には見破られ、月の光で強制解除されます』
え、やば。
『しかしドッペルゲンガー・クイーンの変身は誰が相手でも悟られることはなく、月の光でも解除不可。本人の意思なしでは解除不可です』
よし、心置きなく人間のふりできるぜ!
なんか知らないけど成り行きでドッペルゲンガーという魔族に転生した私。
でも人間として生活できるなら人間として生活したい!
ということで、『姫騎士』タナトスちゃんとして頑張るよ!
『パンパカパーン。職業が姫騎士になりました』
え、職業ってそんな感じなの?
自己申告制?
『ドッペルゲンガー特有のものです』
あらまあ。
まあいいや。
ところで一番肝心なこと聞いてなかったけどここどこ?
『魔界の孤島です』
人間界じゃないの!?
というか魔界なんてあるの!?
『はい、ですが転移魔法があるのですから人間界に転移できるかと』
よし転移だ今すぐ転移だ。




