22話 背中
俺はこのまま死ぬべきなのかもしれない。
高田健志はそう思い、静かに思考を止めた。
「……。」
そのときだった。
高田健志の脳内に、誰かの声が聞こえた。
──しっかりしろよ、高田健志。──
(……! 誰だ……?)
そのとき、高田健志の心臓が大きく、ドクン、と脈うった。
生命の音。高田健志に、わずかに命が戻る。
──立てよ本物。それでも俺のモデルか?──
「っ、その声は……!」
力なく倒れる高田健志。ふいに、背中を押された。温かい手、そして、力強い手だ。高田健志はその手に背中を押されて、無理やり立たされた。
──俺もできるだけ頑張る。踏ん張れよ?──
「……あぁ!」
わずかに戻った命。
おまおじのユニコーンがもう間近に迫っている。
ここで高田健志は、再び焚きつけられた。
俺は神なんだ、俺の命は、俺だけのものじゃない。俺の後ろにいる『コイツ』の想いも背負っているんだ。
当然、地球に生きる全ての想いも。地球で散ったものの想いも。
生まれ落ち、死んでいく。全ての命がやがて経験する螺旋の中、みんなが想いを持っている。
ここで自分が死んだら、その想いも、何もかも、宇宙の塵になってしまう。
「……負けてたまるかっ!」
高田健志は、手からドンモーを放った。スーパー高田健志ではなくなった彼のドンモーは、とても弱々しい。
──ダークドンモーッ!──
高田健志の後ろから、追随して気功波が放たれている、気がした。
おまおじの必殺技ユニコーンの進行が、少し遅くなる。しかし、止められない。
「クソ! ダメか!」
ユニコーンの力は凶悪で、絶大。高田健志の今の力など、蚊ほどにも過ぎない。
──諦めるなっ、それでも神か!──
「諦めてなんかねぇよッ!」
高田健志は身体中の全ての気を使い果たす勢いで、気功波を放ち続ける。
「うおぉおおおぉおッッ!!」
高田健志は諦めなかった。
最後まで、一切諦めずに行動した。
その結果、奇跡が起きた。




