12話 圧倒的な邪悪
高田健志は、インドを滅ぼされた怒り、そして、おまおじを殺された怒りに燃えていた。
対して、ダーク高田健志は微笑する。
「残念だが、高田健志よ。今のお前では絶対に俺には勝てん。」
「何……?」
「実力の差がありすぎるのだ。ハァッ!!」
ダーク高田健志は神の気を纏う。空気が湾曲する。
ダーク高田健志の圧倒的な力に、高田健志は思わずたじろぐ。
「な、何だと……!?」
「驚いたか、本物。俺の纏う神の気はお前のそれとは違う。独自に編み出した『邪悪な神の気』だ。普通の神の気の何十倍も強力で、凶悪なのさ。」
ダーク高田健志の言う通り、纏う気はとても強烈だった。
(なんてヤツだ……俺の持つ神の気とは違って、戦闘のためだけにある力のようだ……)
ダーク高田健志はおもむろに手を伸ばして、高田健志に右の手のひらを向ける。
「『ダークドンモー』。」
ダーク高田健志の手から、ごく小さな気功波が発射される。その気功は、いとも簡単に高田健志の心臓を貫いた。
「ぅあ……ッ!」
高田健志は一瞬、何が起きたのか分からなかった。そして理解した。ダーク高田健志の強大さを。
(ま、まさかここまで強いとは……)
高田健志は力なく、インドがあった場所に墜落する。
「ハハハ……ロンドンで待っているぞ。」
その言葉だけを残して、ダーク高田健志は西の方角へと去っていった。高田健志の怒りの力も虚しく、クレーターの中で意識を失った。