生徒会
「ミラ、お前も毎朝毎朝ご苦労なこったな」
「こうやって生徒の皆さんに挨拶するのも生徒会副会長の務めですから」
猫どころかキメラでも被ってるんじゃねぇかってくらいの笑顔を見せてミラはそう返す。
毎朝よくもまぁこんな風に正門に立ってられるものだ。
「そういや、アンナとザリは?」
「校内で喧嘩があったそうなのでザリさんはその仲裁に、アンナさんは生徒会として毎朝私とは別のお仕事をしてます」
「いつもべったりって訳じゃないんだな」
「でもお兄様はミリアーナ様の護衛では?」
まぁミラはアホみたいに強いし、あんまりべったりしてても目立つだろう。
「そういえば、ミリアーナさん。姉さんをご存知でしたが、姉さんはどちらに?学園に入って1ヶ月、一度も会ってません」
「まぁ、そうなのですかツルギさん。それでは一度会長にお会いしておいた方がいいですね」
「会長?」
「ええ。ツルギさんのお姉様、サクラさんはセリーア魔法学園の生徒会会長です」
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「こちらが生徒会室です」
私とツルギはアンナに案内されて校内のとある部屋に辿り着いた。
ジーナ、ラズ、ニアは先に教室に行った。
ていうかこのメイド、違う仕事をしていたらしいのだが、ミラが指を鳴らすとすぐに現れやがった。
一体どんな技を使ってるんだ?
アンナは生徒会室の扉をコンコンとノックする。
「生徒会長、アンナです」
「………はーい」
中からあまり元気の無い女性の声が聞こえた。
元気の無いというか……眠そう?
アンナが扉を開き、私達に中に入るように促す。
中は書類の山だった。
ゴルドの魔王城の魔王陛下の執務室程ではないが、一番奥の机に積み上げられた大量の書類。
あの時は陛下の他にも何人か文官がいたが、この部屋にいるのはたった1人だ。
その人物は書類の山に埋もれていた。
「あぁ……アンナ……もう朝か?」
その人物は少しだけ頭をあげ、目をこする。
切れ長の鋭い目だが、寝起きなのかぼんやりとしている。
「会長、お客様です」
「客……ハッ!?そういう事は早く言いたまえ!」
その瞬間、彼女は上体をガバリと起こした。
体の上に乗っていた書類が音を立てて崩れ落ちるがお構いなしだ。
「私が生徒会会長のサクラだ。君は初めてだな。っと……奥の彼は……」
「やぁ、久しぶりだね姉さん」
「っ!?ツルギ!?ツルギなのか!?会いたかった!!」
その女性は予備動作を一切見せずに机を飛び越え、ツルギにダイブし抱きついた。
またもや書類が宙に舞う。
「ちょっ!?姉さん!?」
「あぁ〜〜4年ぶりだなぁ〜〜〜会いたかったよぉ〜〜」
「姉さん、人前ではやめてよ!」
「はっ!?しまった、つい……」
ハッと我に返り、緩んだ顔を引き締め、彼女は佇まいを直す。
だがその腕はツルギに絡ませたままだ。
「改めて、生徒会会長のサクラだ。君は?」
「私はリースっていいます」
「おお、となると君がツルギの仲間の……!」
彼女、サクラは長い黒髪を頭の後ろで縛った、ジーナのように凛とした雰囲気の女性だ。
ジーナより少し身長が高いかな?
胸も……ほほう。
流石ツバキさんの娘ってところか……
「君の事はツルギからの手紙で聞いている。相当な使い手だそうだな」
「姉さん、そろそろ腕を……」
「むぅ……まだエネルギーを補給し足りないのだが、仕方あるまい」
サクラは頬を膨らませながらもツルギから離れた。
随分仲のいい姉弟だな。
少し一方的な気もするが。
「学園に来たのに一度も姉さんに会えてないから会いに来たんだけど……随分忙しそうだね……」
「ああ、まぁな。この広い魔法学園の自治を担っているんだ。当然だよ」
サクラは書類の山をポンポンと叩きながらそう言う。
セリーア魔法学園は生徒数や教師数などでは大陸でトップの規模を誇る。
その学園で起こる出来事1つ1つが書類となってこよ山を作り上げているのだ。
「サクラはこの学園の5年生だよな?女子寮で見たことないんだが?」
「当たり前だろうな。私は女子寮に帰ってないから」
「は?」
「サクラ様はご多忙故、ほとんどの日はこの生徒会室で寝泊まりされてらっしゃるのです」
「は!?」
ここで!?
この書類の山の中で!?
そういえば私達が入ってきた時も中に埋もれて寝てたな。
「姉さん、ちゃんと休まないと体を壊すよ!?」
「とはいっても寮に戻る理由も無いんだ。ここに寝泊まりした方が仕事も捗るし」
「こんなところじゃちゃんと休めないでしょ!」
「仕事をほったらかして量に戻る方が休めないぞ私は。あ、でもツルギの腕の中ならぐっすり眠れそうだから男子寮になら……」
「お断りです!」
「そんなぁ……4年前はしてくれてたじゃないか……」
「恥ずかしいからリースの前でその話はやめてよ!」
「やめないぞ。あぁ……あの時のツルギの温もりが忘れられない……」
「っ!!この……!!」
「ツルギ!暴力は良くない!姉弟仲のいいのが一番だぞ!」
「放してよリース!きっと姉さんは寝ぼけてありもしない幻想を口走ってるんだ!目を覚まさせてあげないと!」




