第516話 死霊のナゲヤリィは、残機性ゲームだよ配信
「我は、偉大なる魔王ユギー様より【死霊】の二文字を頂きし、上級悪魔。名を、死霊のナゲヤリィと申す。先に戦闘を申し込んだのは、このナゲヤリィの方だ。順番は守ってくれたまえ」
馬頭の人形大男、ナゲヤリィは堂々とした口調にて、私達に向かってそう宣言してきた。そして、そんなナゲヤリィの姿をカナエマスは指差しながら、「ん。これなんですよ」と困った様子でそう言って来ていた。
「この人、五本槍候補としては珍しい、正々堂々とした悪魔なの。他の悪魔達は自分の未来の地位を目指そうと躍起になっていたから、相手しやすかったんだけど……」
「魔王様に『新たな五本槍となるため、カナエマスは倒しても良し』と言われている相手なれど、カナエマス様は五本槍としては先輩に当たる。そんな方に失礼がないようにと、他の悪魔達と違い、正々堂々と勝負を挑んだ結果、我のみが生き残っているという訳だ」
なるほど。話を整理すると、このナゲヤリィは、魔王ユギーに命令され、カナエマスを倒しに来た。恐らくだが、カナエマスを倒す事こそが、魔王ユギーの狙いなのだろう。どんな事をしでかしたかは知らないが、仕えるべき魔王様より抹殺を狙われているという事は、余程の事をしでかしたに違いない。
そして足元に転がっている仮面は、そんな魔王様の命令を忠実に実行しようとして、決闘を申し込みもせずに敗北を決定づけられた悪魔達。その敗北の証、と言うべきところだろうか。
このナゲヤリィだけは、カナエマスに対して最低限の敬意を払っていたため、敗北せずに済んだ。そういう事だろうか。
「そうして、我の前に居た最後の1人、【整備】が敗北したのを見て、ようやく我の出番かと思い、馳せ参じて、いま一度戦いを申し込みに来たのだが――」
「――その時間丁度に。ん。君達がやって来た、と言う訳です」
そう言いながら、カナエマスはディープフェーブル、そしてナゲヤリィを指差す。
「私は激突のカナエマス。相手の要望には、可能な限り叶えたい。ん。そういう気持ちは十分にある。しかしながら、同じモノが2つある、つまり重っているとどちらにしようか……ん。困る」
「つまり、同じ馬だから、どちらを先に相手するか悩んでいる、と?」
「ん。正解」
私がそう言った瞬間、ディープフェーブルとナゲヤリィが距離を取り、そして互いの得物を構える。
「つまり、なにかしら? この人形男をやっつけた後なら、戦ってくれる。そういう事で良いわよね?」
「成程。俗にいう、準備運動というヤツか。この馬娘をやっつけたら戦ってくれるというのなら、是非もなし。カナエマス様の前に、戦ってあげようじゃないか」
ナゲヤリィはそう言うと、懐から1体の人形を取り出す。そして、その人形を自分の胸に押し付けると、人形はナゲヤリィの身体の中に吸い込まれるようにして消えて行く。
「勝負しろ、馬娘。我とお前、どちらがカナエマス様との対決するに相応しいかを」
「敗北した方が潔く、この島から出て行く。一対一、お互いの尊厳を賭けた対決……そういう所かしら?」「あぁ、それ以上に追加すべき条件があるか?」
「……なるほど、その条件で受けましょう」
なんか、知らないうちにこの2人だけで、戦う事が勝手に決まってしまっているのだが……。
どうやらこの2人だけで、カナエマスとの対決権を賭けて、勝負する事がいまここで、勝手に決まったみたいである。そういう重要事項っぽい事は、勝手に決めないで欲しいのだけれども……。
というか、この状況で私達が横やりを入れると、厄介な事態になりそうだね。これは、黙って見守るのが得策、かな?
「話が早くて、非常に助かるよ。馬娘」
ナゲヤリィは感謝を述べると共に、懐からもう1体、別の人形を取り出していた。そして、その人形をポイっと、ディープフェーブルに向けて投げ渡す。
「おっと……」
いきなり投げつけられたディープフェーブルであったが、その人形をナイスキャッチして受け取っていた。
「あら? もしかしてくれるのかしら?」
「えぇ。他の者がどうなのかは知らないけれども、我は常に公平なる戦いを心がけている。互いに、どう条件でこそ、真の実力差が見えてくるというモノだ」
「悪魔にしては、殊勝な心掛けで……」
そう皮肉めいた感じに言われようとも、ナゲヤリィは説明を続ける。
「簡単に説明すれば、その人形は残機だ。たとえ死ぬほどの傷を受けようとも、人形が存在する限り、即死であろうとも、復活する事が出来る。我の勝負は、互いにこの残機を1つずつ獲得した状態から始め、先に相手の残機を失わせた方が勝ちだ。実に分かりやすい勝負方法だろう?」
「まさか……それだけ? 他に厄介な条件が、後から追加されるとかはないかしら?」
ディープフェーブルは怪しむ。私も、まさかそんな簡単な条件で、戦うとは思っていない。
悪魔の出してくる条件と言えば、いつもあちらさん側が圧倒的に有利であり、そんな簡単な条件なんて、あり得ないからだ。
「あぁ、条件はそれだけだ」
しかし、ナゲヤリィはそう答える。
残機をお互いの胸に入れた瞬間、試合は開始する。そして、残機はお互いに一機ずつであり、増やすつもりはない、と。
「言っておくが、人形は残機だ。どんな相手の傷も、死ぬほどの傷ならば一度だけ肩代わりしてくれる、魔法のアイテム。その残機を、先にゼロ――つまり、相手側の残機を失くした方が勝者となる。
我が名は死霊のナゲヤリィ。担当は、残機性ゲーム。さぁ、楽しい殺し合いを始めようじゃないか」
ナゲヤリィは長い槍を持ちだすと、ディープフェーブルに向かって突く事で、攻撃を開始するのであった。
死霊のナゲヤリィ、担当は残機性ゲーム!!
ゲームの中でも、マ〇オやカー〇ィなど
有名アクションゲームでお馴染みのゲームジャンルですね!!
さて、どんなチート能力が出てくるのやら……(?_?)




