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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 前編 「黒き魔獣」
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コンジュエ

【コンジュエ】


 コンジュエはユィンの中の変化に気づいた。

 ユィンの法術の才は天才的であり、その理解力と発想力は人の域を超えていた。

しかし、魔力制御においては先程までの闘気の制御と同様に、コンジュエから見れば今だ稚拙であった。だが、ユィンの体内で練られる魔力の質と量が、先程までとは比べ物にならぬほど格段に飛躍していた。

(魔力制御も同じだと気づいたか)

 そして、闘気と魔力の制御を掴んだユィンは、その恐るべき魔力を闘気と練り合わせ、両腕から漆黒の刃を発現させた。その漆黒の刃は、ユィンの闘気と魔力に呼応してその強さを高めていく様であった。

(遂に十数年前の異形の戦士の姿を取り戻したか……)

 コンジュエは強く拳を握り直すと、溢れる闘気を練ってより高め、体の筋組織全てに行き渡らせた。

 コンジュエは闘気によって身体能力を向上させると、異形の戦士の力に目覚めたユィンと激しい戦いを繰り広げた。

(闘気の封印を外した私と互角とは、私の目に狂いはなかった……)

 しかし、実戦経験の差は如何ともし難かった。力に目覚めつつあるユィンだったが、コンジュエには未だ一歩も二歩も及ばぬ様であった。

(ユィン、捨ててこそ拾える物もあるのだぞ……)

 激闘の中、ユィンの闘気の流れの変化をコンジュエは感じ取った。

 コンジュエの恐るべき闘気の一撃を凌ぐ為に、ユィンは今まで全身を闘気で覆い守っていたが、その闘気までをも右腕の漆黒の刃に集めだした。

(気づいたか……。賢い子じゃ)

「グオオォォォォー!」

 やがて、全ての闘気を右腕の漆黒の刃に集めたユィンは、その身に恐るべき殺気を纏いながら魔獣の様な雄叫びをあげてコンジュエに向かってきた。

(正面からでは無駄死にぞ!)

 コンジュエの正面から真っ直ぐ突っ込んで来るかに見えたユィンだったが、コンジュエの間合いを越える瞬間、何かの呪文を唱えて印を結び、驚異的な速度で法術を完成させた。

 そして、コンジュエと自分の周囲に氷の鏡を展開させると、今まで発していた殺気を全て消し、鏡に映った幾つもの姿にその身を同化してコンジュエの眼を惑わせた。

(凄まじい殺気をわざと発しておいて、それを消しての眼眩ましか)

 一瞬ユィンの姿を見失ったコンジュエの隙をついて、ユィンが渾身の一撃を繰り出し襲い掛かってきた。

 コンジュエはその気配に素早く反応し、己も全ての闘気を右拳に集めた。そして、それをユィンの心の臓を狙って放った。

 ユィンの右腕に生えた漆黒の巨大な刃がコンジュエの胸を貫く直前、コンジュエの右拳がユィンの右胸に先に届いた。

(ユィン、さらばだ……)


本日はもう一話アップします!

遂に、コンジュエとユィンの戦いに決着が!?


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