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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 前編 「黒き魔獣」
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ユィン

【ユィン】

   

「それが私の見つけた道だ。お前も己の道を見つけたくば、私を倒して行け!」

 ユィンはコンジュエの自分を見つめる優しい瞳と、その言葉に、心の中でコンジュエに答えた。

(コンジュエ様、俺は行きます……。俺の全てをコンジュエ様にぶつけて!)

 ユィンはコンジュエに折られた腕の回復を済ませると、冷静に現在の戦力を分析した。

(闘気術では未だコンジュエ様には遠く及ばない。だとすれば、法術を駆使するしか手はないが……)

 その時、ユィンは大事な事に気づいた。闘気を統べる術は、魔力にも通ずるのではないか……?

 ユィンは体内の闘気の流れと同じように、魔力操作に精神を集中した。魔力を循環させて増大し、収束させて凝縮し、それを爆発させる。

 驚く程に魔力が高まり、その魔力と闘気を混ぜて己の腕に注ぎ込むと、両腕の甲の辺りから肘にかけて、巨大な鎌の様な刃が形成された。

どうやら腕の骨に闘気と魔力が注ぎ込まれた事により、骨が形質変化して刃となった様だった。

 ユィンの腕に生えた骨の刃は、闘気を注ぎ込めば注ぎ込む程、堅く鋭く強大に、凶々しく変化していった。

(これならコンジュエ様の溢れる闘気にも負けないはずだ!)

 魔力の操作を会得したユィンの法術は、その威力も格段に上がっていた。

ユィンは新たに手に入れた骨の刃と、威力を増した法術を組み合わせながら、全ての闘気を解放したコンジュエと激しい戦いを繰り広げた。

 しかし、同等の武器を持てたはいいが、経験の差は大きく、いまだコンジュエとの間には越えられぬ大きな壁が有った。

(己の全てを一撃に掛けなければ勝てる相手ではない。死地にこそ活路あり……)

 ユィンは体内を循環させていた闘気を全て右腕の骨の刃へと注ぎ込んだ。体を防御していた闘気さえも骨の刃へと注ぎ、全力でコンジュエへと向かって駆けた。

「グオオォォォォー!」

 ユィンの魔獣の如し雄叫びが響き渡る。

 凄まじい殺気を放ちながら、ユィンは正面からコンジュエへと迫った。

 ユィンはコンジュエの間合いを越える間際に、恐るべき速度で法術を詠唱し完成させると、何枚もの氷の鏡を作り出した。

それをコンジュエと自分の周りに展開させると、先程まで放っていた殺気を消し、氷の鏡に映る姿に己を同化させてコンジュエの隙を伺った。

 先程まで放たれていたユィンの殺気が消え去った事で気配を掴み損ね、更には幾枚もの鏡に映るユィンの姿に惑わされて、コンジュエがユィンの姿を見失った瞬間、ユィンは全ての闘気を注いだ渾身の一撃を繰り出した。

 その気配に気づいたコンジュエも、全身から溢れるほどの闘気を右拳へと集めてユィンを迎え撃たんとした。

 どちらの一撃も必倒必殺の一撃であり、相手に先にその一撃を叩き込んだ者が最後に立つ者になるであろう事は間違いなかった。

 そして、ユィンの骨の刃がコンジュエの胸を貫こうとした時、コンジュエの右拳が、先にユィンの右胸へと届いた。


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