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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 前編 「黒き魔獣」
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コンジュエ

【コンジュエ】


 コンジュエが崇山寺に戻ってから四年の歳月が流れた。

「タオジンよ、ユィンの様子はどうだ?」

 僧兵管長室で様々な書類に追われているコンジュエを手伝いながら、タオジンは嬉しそうな声で答えた。

「私の見るところ、武芸は既に武術房管長にも匹敵する域かと思います。本人は謙遜しておりますが。それに、法術は武術よりもさらに素養が高いように見受けられます」

「ほう!」

 ユィンの話となると、話すタオジンも聞いているコンジュエも自然と満面の笑みとなっていた。

「さらには、法術の素養が高い事に気づかれた法術房管長様の推薦で、最近は遺房の研究の手伝いも始めたようです」

「遺房の研究をユィンが? 遺房は発掘された遺物の調査や、古代文字の解読をする所であろう。その様な事をユィンが手伝えるのか?」

 ユィンが才能溢れる子であるのが自慢であるコンジュエも、タオジンの言葉にはさすがに驚いた。

「はい、私も驚きましたが、ユィンのお陰で遺房の調査研究が飛躍的に進んでいると、遺房管長様も驚いておりました。」

「ほほぅ! そうか。ユィンにその様な才があったとはな。武術の才は見抜けたが、学才までは見抜けなんだわ。ははははは」

「ははははは」

 タオジンもコンジュエと一緒になって、ユィンの才が伸び誉められることを我事のように喜び笑った。

(タオジンもユィンを我が子の様に思ってくれておるのだな。ユィンは幸せ者だ。いや、ユィンの様な子に恵まれた私やタオジンの方が幸せ者か……ははははは)

「タオジンよ、明日はお主とユィンで付近の村々へ托鉢に出てもらう。ここはもう良い故、明日の用意をユィンと共にするがよい」

「はい、ありがとうございます!」

 崇山寺付近の村々へ、年に数回托鉢僧が回る事となっていた。コンジュエはタオジンとユィンに毎回その任を申しつけていたのだ。

「崇山寺は平和そのものだが、ここ数年、外界は朝廷内の争いや天災、北方民族の襲撃などで治安が乱れておる。十分に気をつけてな」

「はい、わかりました。ですがまだこの寺の付近は比較的治まっているようです。今回は村の収穫祭の時期ですから、村人達も手伝いが欲しいでしょう。ユィンを馬車馬の様に働かせて参ります」

「そうか。はははははは」

「では、私は明日の出発の準備をしてまいります」

「うむ」

 タオジンはそう言うと、コンジュエの部屋を退出した。

(しかし、ユィンに古代文明の文字や遺物を研究する才能があったとはな……。もしやユィンの出生と何か関わりがあるのやもしれんな……)

 コンジュエは頭の中の考えを中断させた。

(しかし、タオジンもよく見ておるわ。ユィンの武術の腕前は武術房の管長などとっくに越えておる。そろそろ金剛掌を伝授しても良い頃か……)

 ふとコンジュエはおかしくなって一人笑いだした。

「はははははははは」

(儂もタオジンも親馬鹿だな)


今後ともよろしくお願い致します!

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