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戦士の宴  作者: 高橋 連
一章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之壱」
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ヴィンセント

【ヴィンセント】


  先王の国葬準備の指揮を取る為、カミーユに先だってエヴァンジル大聖堂を訪れていたヴィンセントの元に、〈片目〉が報告を持って駆けつけた。

 〈片目〉は部下に神殿周辺の警護を命じると、自身は近衛の兵に案内されてヴィンセントが待つ部屋へと向かった。

「そうか。では、カミーユは生きておるという事だな?」

 〈片目〉は事の一部始終をヴィンセントに報告した。

「ははっ、真に面目無き次第でございます……」

 任務失敗の報にも、ヴィンセントはいささかも動揺するそぶりを見せず、〈片目〉に念を押して問い質した。

「その偽体は、お主も初めは気づかぬ程に精巧に造られていたのだな?」

「はっ」

「そして、近衛の者達も、カミーユが死んだと思っておるのだな?」

「ははっ」

 それを聞いて、ヴィンセントは安堵した様に笑い声をあげた。

「ははははは! ならば良い」

「カミーユ様が生きていて良いのですか……?」

 己の失敗を申し訳なく思っている〈片目〉に、ヴィンセントは笑って答えた。

「良いのだ。カミーユが生きているか死んでいるかなどは、些末な事よ。様は、皆がどう感じ思うか、それこそが肝要なのだ。死んだと思っているのなら、そう発表して死んだ事にすれば良い。イディオタ伯も策に溺れたな」

 ヴィンセントはそう言ってから、独り言のように呟いた。

「それか……」

(もしや、死んだ事にする事こそが伯の狙いか……。襲撃の結果がどう転んでも良いようにと……)

 ヴィンセントは一頻り思案にふけっていたが、すぐにそれを頭から払いのけると、〈片目〉に言葉をかけた。

「アーナンドよ、ご苦労だった。この後は、計画通りに進める。お主には一族を率いて近衛と共に出征し、イディオタ伯軍の討伐に活躍してもらうぞ!」

「ははっ、今度こそは必ずやご期待に応えてご覧にいれます!」

 ヴィンセントは〈片目〉に労いの言葉をかけた後、十分に休養し、出兵に備えるように命じて下がらせた。

 それから、ヴィンセントはカミーユの死を発表し、先王と共にカミーユの葬儀をも執り行った。そして、葬儀後直ちに、カミーユ暗殺と謀反の罪によりイディオタ伯討伐の勅令を発布した。

 発布された当日に、驚くべき速さで討伐準備を整えた近衛軍はイディオタ伯領へと進軍した。諸侯の兵には一切出兵を命ずる事無く、近衛軍のみにての出撃であった。

 この戦いは、王位継承問題に端を発した内乱というだけではなく、王国の行く末を決める戦いでもあった。

 それと同時に、貴族を制して王家の力を強力なものとし、その絶対的な王権による統治体制によって王国を盤石なものにすると言う目標の為、ヴィンセントとイディオタが共に作り上げた魔導兵器の初陣ともなる戦いでもあった。


一章後編はこのお話で最終話です!

遂にヴィンセントが動き出しました。


明日からは2章が始まります^^


ただ、2章の前篇は、主人公である人物の半生を描いた物語です。


この一章後編である「シャンピニオン山の戦い」の物語は、

各章の後編で描きますので、1章後編の続きは2章後編となります。


長い物語ですが、お付き合いお願い致します^^



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