第25話「山中の大地震」
今日をどうやって過ごそうか悩んだ結果、またクレン山に登ることにした。
1日ぐらい休むというのも考えたけど、何もしないで部屋に籠るのは流石に退屈だ。
そんなのは雨の日だけでいい。
かと言って村を散歩しようにも、何週間も滞在してたらもう飽き飽きしてきた所だ。
だったらいつも通りに過ごした方がいいという結論になった。
「流石にキラーベアはもう居ないか」
キラーベアは数年に1匹出るかどうかという話なので、もうこの山には居ない
と言うのはわかっていたが。それでも少し不安だった。
しかしいざ登ってみると、やっぱりキラーベアは影も形も無かった。
「もうあんな化け物とは戦いたくないですよ……」
「そうだね、でも冒険を続けるならそのうちまた
キラーベアみたいな化け物と出会う事になるんじゃないかな……?」
今回はたまたま運よく助かったけど、次も助かるとは限らない。
それに、あくまでここに出るのが特別と言うだけで、場所によっては
キラーベアのようなモンスターが普通に生息している事もあるかもしれない。
リーナは心配そうに私を見つめてくる。
「もしそうなったら……また生き延びる事ができるんでしょうか?」
「戦うにしても逃げるにしても、もっともっと強くならないとね……」
「そうですね……」
「次の街に何かいい方法があればいいんだけどね」
そんな話をしながら山を登る。
「なんだか今日は珍しくモンスターと出会いませんね」
しばらく山を登っていたが、今日は珍しく、未だにモンスターと出会っていない。
いつもならもう1~2回は襲われてるだろうに。
「偶然じゃないとするのなら、キラーベアが出た影響とか?」
「うーん……ありえるかもしれませんね」
「まあ、モンスターが出ないのは、歩きやすくていいけどね」
「そうですけれど……何か嫌な予感がします」
「嫌な予感か……じゃあ、今日はもう山を降りちゃおっか?」
「……いえ、そこまでしなくても。きっとただの気のせいですから」
「……そう?ならいいんだけれど」
少しの不安を抱えながら、私達は山を登り続けることにした。
しかし、この時に山を降りる事を選択しなかった事を、私達は後悔することになる……
しばらく山を登っていくと
グラッ…… ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「!?何々!?」
突然地面が大きく揺れる。
「地震!?大きいぞっ!」
なんとか足を踏ん張り、倒れないようにする。
しかし、大きな音と共に地面に亀裂が入り、足元が崩れる。
「きゃああああああっ!!!」
「リーナッ!」
リーナがバランスを崩し、亀裂の中に落ちそうになる。
私はとっさにリーナの腕を掴む。しかしこの大揺れの中、
落ちそうになってる少女を支えるなんて事ができるはずも無く、
私も一緒に亀裂の中に落ちていった……