26.スコッパー・モウルの挑戦
親類縁者に連絡のつかないまま、モウルは巨大都市ツーにいた頃の知り合いに協力してもらって、おじいさんの葬儀をごく簡単に済ませました。
ツーには色々な知識を持っている人がたくさんいるので、知り合いになっておくと、たいていのことには困りません。うかつに知り合いにならない方がいい怪しげな人もたくさんいるので、その辺は注意が必要ですが。
「これはほんの形だけだ。ちゃんとした葬儀をやるかどうかは、いずれ身内の人が現れた時、その判断に任せよう」
モウルはおじいさんのナーロ街の住居については、そのままにしておくことにしました。
「こうしておけば、今までこの街で発表された作品が削除されずに残る」
こうして準備を整えたモウルは、道半ばで倒れたおじいさんが、ナーロ街で発表した最後の作品、「風車小屋に咲くひまわり」を、プリンターからA4判の紙に次々と印刷し始めます。
モウルは、おじいさんが以前、
「ワシはこの作品を完結させたら、あの新人賞に応募するんじゃ」
と死亡フラグ、もとい計画を立てていたのを覚えていました。
「この作品の作者は、応募する直前に亡くなりました。故人の遺志に従い、代理で応募させていただきます」
原稿の印刷を終え、書類の備考欄にこう書き加えた後で、モウルは「風車小屋に咲くひまわり」を、おじいさんの代理でその新人賞に応募したのです。




