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19.隠す気のない暗号
「なんの、ワシには新人賞への応募作品を含め、今まで書きためた作品は五百を超える。賞を取ってデビューした時点でストックは大量にあるんじゃ。毎月一冊のペースで刊行しても、四十年はもつ」
超高齢ワナビだけあって、おじいさんはモウルの言葉にもまったく動じません。
「仮にデビューできたとして、その作品全部が、すんなり編集会議を通るとは思えないけど」
四十年後におじいさんがこの世に存在しているかどうかを疑問に思いつつも、モウルは反論します。
「タイトルに流行りのキーワードを入れればいいんじゃろ? その位の手直しならすぐ出来る。『ありふれたオークが検挙をモットーに脱税をホライズン』とか、『クマ蜘蛛サモナーがステマだと俺だけが知っている』とか」
「何それ、すごく読みたい。僕が出版社の社長ならノーチェックで企画通す。だけどちょっと待って、おじいさん。いくつか流行りのキーワードじゃない危ないものがまじってる。色々怒られそうだから、この辺にしておこう。ここは巨大都市ツーじゃない」
おじいさんが言っていることは適当です。
良い子の皆さんは、決して深読みしてはいけませんよ。




