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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様のナイト・エコラン 電動バイクレース

 

 海沿いの特設ピットには、数台の電動バイクが並んでいた。

 カウルは全て漆黒だが、各マシンにはそれぞれ異なる蛍光ラインが走り、夜間でも視認できるよう設計されている。


 三島が一歩前に出て、指で一台を示す。

「こいつが“Moto-Evo”。軽量カーボンモノコックフレームに、新型リニアモーター駆動を積んでいる。 カラー漆黒ベース+真紅ライン

 最高速は180km/hに制限してあるが、加速は化け物だ。0-100まで2.8秒」

 美奈子は無意識に足を前に出し、E-Motoのハンドルに触れた。

 鈍い金属色と軽量金属感に、彼女の口元がわずかに上がる。

 ”加速重視の設定か……面白そうじゃない”


 次に、長いテールを持つ独特な機体を指差す。

「“NightShark”。海沿いの直線区間向け。空力特化のフルカウルと回生ブレーキを最適化してある。風の影響はほぼ受けない」カラー漆黒ベース+金色ライン 雅はNightSharkの前に立ち、静かに跨った。

 視線だけで車体の重心を確かめ、コースマップの下りカーブを思い浮かべる。”こののテール、旋回には不利。でも……” 彼女は三島を一瞥し、意味深な笑みを返す。


 三島の説明は続く

「E-Mouse 超軽量チタン製の前後輪インホイール駆動。低重心設定のマシンだ。最高時速175kmだが....」今度は、梓が興味を引く。”前後輪インホイール駆動、これは私の走りに特化したコーナーリングマシーンだ” カラー漆黒ベース+紫外線発光パープルライン


「BlackSwan 剛性の高いアルミツインスパをカーボンでさらに補強してある。最高速度170kmだが、高効率回生ブレーキがついている。」

 彩が興味をもち跨る”これは、タフネスマシーンね。ピーキー感がないので扱いやすそう” カラー:漆黒ベース+蛍光ブルーライン


 次のマシーンの説明に入ったとき、宗子は驚きの声を上げた。

「なんでこのマシーンがあるのよ!この車両は、実験後解体されたはずよ」

 三島はニヤリと笑い説明を続ける。

「KidaFalconーP」マグネシウム合金製で前後モーター切替駆動。最高速度172km加減速レスポンが異常に高い。実験用パーツ多数搭載。プロトタイプ。

 アルテミス用の車体”KIDAーRS400ルナ”の実験実証車」 漆黒ベース+ネオングリーンライン


 みんながバイクを選んでいく。

 麗子 BlackHawk

 特徴:後輪ダイレクトドライブ 最軽量マシン 瞬発力とブレーイング性 の両方に特化され機動性にすぐれる。   

 特化 カラー:漆黒ベース+ワインレッドメタルライン


 エマ BlackShell

 特徴:アンチウィンドウジャイロ 電子トラクションコントロール 横風の影響をほぼ受けない。 空力特性に優れる。カラー漆黒ベース+シルバーライン


 琴音 Shadowbat

 特徴:アルミ+カーボン混成ビームフレーム 後輪モーター+低騒音設計

 イメージライトコントロール ステル形状と塗装 静音

 カラー漆黒ベース+薄金ライン


 あかね ChaserEvo

 特徴:フルカーボン・フレーム採用 次世代固体電池 前後独立ダイレクトドライブ・モーター 形式:次世代固体電池式夜間特化装備 赤外線ナイトビジョン搭載 

 カラー漆黒ベース+ネオンオレンジライン



 それらのマシーンを選んだのは君たちだ。ただし、マシンには、長所も短所もある。それをどう乗りこなすかは。お前らの腕だ




 夕闇が島を包み込み、ナイト・エコランの会場は発電用LEDの淡い光に照らされていた。ピットエリアには、アルテミスのメンバーそれぞれの専用電動バイクが並び、モーターの低い唸りが静かに響く。


 他の参加者も準備を終えたようである。


 今回の参加者は、「ヴァルキリース」という北ヨーロッパのチームと「クロムファング」と言う北米からのチームが一緒に走るらしい。


 三島は「ヴァルキリース」はコーナーを得意としていて、「クロムファング」は直線での爆発的スピードは群を抜くと言った事しか教えてくれてない。


 コースマップはすでに全員の頭に入っており、誰もが罠の位置や難所のカーブを思い描いている。雅はコースを見つめ、無言で深呼吸し、あかねはブレーキとスロットルの感触を確かめながら心を整える。


 やがて、スタート信号が青に変わった瞬間——全員の右手が一斉にスロットルを捻る。高周波のモーター音が爆ぜ、マシンは暗闇を切り裂く光の矢と化した。先頭に飛び出したのは梓、そのすぐ後ろに雅とあかねが連なる。外側からヴァルキリーズのライダーが並びかけ、背後ではクロムファングのFang-EVが獣のような加速で迫る。


 第1コーナー手前、あかねは果敢にインを突き、わずかな隙間を抜けて雅の前に出る。タイヤが濡れた路面を噛み、水飛沫がライトに照らされて銀の弧を描いた。短い直線に入ると、各チームのマシンが瞬発力をぶつけ合い、疾走する光がまるで夜空を舞う蛍の群れのように瞬く。

 コース奥に迫るS字カーブ——ここから先が、本当の勝負だった。


 S字カーブに突入すると、路面は海霧でしっとりと濡れ、ライトの光が白い靄を切り裂いた。梓のE-Mousは低重心設計+電子制御トルクベクタリングを活かし、極限まで傾けても安定を保つ。だがその背後、ヴァルキリーズのSleipnir-EVが驚異的なコーナリング速度で迫り、まるで影のように張り付いてくる。


 そこへ、後方から美奈子のマシンMoto-Eが猛烈な加速で飛び込んできた。美奈子は湿った路面をものともせず、前のクロムファングを強引に外側から抜き去る。スロットルを握るその手は迷いがなく、攻め一択。

「こんなんじゃ足りねぇ…もっと飛ばす!」

 インカム越しに聞こえるその声は、他チームのライダーをわずかに怯ませた。


 外側のラインからは雅のNightSharkが重厚なトルクを活かして加速し、クロムファングのFang-EVを弾き出すように抜き去る。その瞬間、あかねはナイトビジョンに映る最短ルートを選び、コーナー出口で一気にスロットルを全開。前にいた梓とヴァルキリーズのマシンの間に割り込み、2番手へと躍り出た。


 直線区間——ここはクロムファングの独壇場だった。Fang-EVが獣のようなモーター音を響かせ、一気に3台を抜き去ろうとする。だが、あかねはその進路を絶妙なタイミングで塞ぎ、わずかな減速を強いた。後方からはライトが点滅し、他チームが焦りを隠せない。


 コース後半に差しかかると、人工的に仕掛けられた「ブラックゾーン」に突入する。ここでは街灯も反射板もなく、頼れるのはバイクのライトとナイトビジョンのみ。梓は視界の悪さを逆手に取り、減速せずに突き進む。あかねも負けじと追随し、その背後に雅がぴたりと付く。


 残り1.5km最後の高速直線と最終コーナー。

 ヴァルキリーズのライダーが再びインを狙ってきたが、雅が巧みにラインを塞ぐ。クロムファングは直線で勝負をかけるが、バッテリー残量を温存していた梓がレースモードを解放し、前後輪インホイールモーターで加速力を一気に引き上げた。

 終盤、最後のロングストレートに突入すると、全マシンが最高出力を解放。バッテリー残量と冷却効率の差が勝負を分け、彩BlackSwanが僅差で先頭を奪い返す。ゴールラインまで残り数百メートル各ライダーの呼吸は荒く、視界は一点に集中していた。


 最終コーナー、美奈子はあえて外側から膨らむラインを選び、後続チームを牽制しながら出口で再加速。あかねは一瞬のブレーキングでラインを内側へ寄せ、梓の背後にぴたりと食らいつく。観客席からは悲鳴と歓声が入り混じった声が夜空へと舞い上がる。


 ゴールラインまで残り100メートル梓とあかね、彩のライトの光が並び、そしてその横一車身後ろには美奈子が最後のスパートをかける。四条の閃光が同時ににゴールラインを駆け抜けた。順位は、計測結果が出るまで誰も分からなかった。




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