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異世界で英雄な俺。パート3


アリアが戻ってこなかったあの夜。

俺は勇者ルイスの素顔を見た。

その素顔に驚きすぐに兜を直したが、ずっと目に焼きついてしまっていた。

ついさっきアリアに鎮めてもらったはずのものが沸き上がった。


「「…お父様、だからと言ってお手を付けないように。」」


アリアの言葉でどうにか踏みとどまり堪えた。

こいつは俺の子供たちを拉致したやつらの手先であり、直接関与していないとしても関係者である事に違いはない。

呪いだかなんだか知らないが、憎むべき存在である事に違いはないのだ。


頭でわかっていればすべての生物は間違いをおこさない。

俺は間違いをおこした。


帰ってくると思っていたアリアに何かあったのかと不安になり、ルイスはいるが、一人の夜は久しぶりな気がした。

ここのところ夜は誰かと一緒だったからか、条件反射のようになってしまったようだ。


俺は怒りに任せて、いやむしろ罰をこの勇者に与えるべきだと思った。

都合のいい事をいえば、そんな言い訳があるが単純に俺はルイスの素顔が綺麗だと感じてしまったのだ。

今、俺の周りには咎めるものもない。


俺はルイスをめちゃくちゃにしたかった。



勢いに任せてルイスをとことん抱き、すべてをルイスに吐き出した。

好みの女を抱く満足感としてはいけない事をしている罪悪感と今この瞬間にかえってくるかもしれないアリアへの緊張感で、人生で一番の体験をした。


そして正気を取り戻した俺、いや、もとから正気であったので、大賢者となった俺は目の前の光景にぞっとした。


「もうこれは言い訳のしようもないな」


相手は終始気絶をしており、自発的に何かしたわけでもない。

これから自らを清める事も出来ない。

俺は急いで近くの水辺に行き、持っていた布を濡らしてルイスを拭いたが、そんな事でどうにかできる状態ではなかった。

いっそのことルイスをそのまま川へ突っ込ませた方が早いが、気絶しているため溺れてしまう。

俺が抱きかかえて一緒に入ってしまえばよいかと思ったところで気配がした。


「…お父様。なんて事」


アリアが帰ってきたのだ。


「これは、その」


俺は大パニックになった。

一緒に入ってしまえばいいと思い、俺も着衣を一切していない。

もちろんルイスもだ。


「…いえ、お父様を一人にしてしまった私が悪いのです」


「違う!アリアは悪くない。俺が、くっ」


情けなさもここまでくると泣けてくる。


「お父様、いいのです。察するにその雌顔はお父様の同郷に近いのでしょう。今まで申し訳ありませんでした、やはり近しい方がよいですよね」


「い…や、ちが…うぐ」


うまくしゃべれない。


「それにこの量。とても一晩とは思えません。となると困った事になりそうです」


アリアは俺の情けない状況に合わせてゆっくりと優しく語りかけてくれる。

それがまたツラくて俺の罪悪感が膨れあがった。


「そのまま聞いてください。これだけのマナを一度に受けたこの女は勇者の力を取り戻したかもしれません。いや、呪いの解呪すら可能性があります」


それは…


「じきに気絶から快復するでしょう。おそらく気休め程度になるでしょうが、私の拘束魔法を念入りにかけておきます。これは早くドワーフの里に入らねばならなそうですね」


「本当にすまない。俺はいつも状況を悪化させてばかりで」


「問題ありません。いつだってお父様のする事は正しいのですから」


俺は娘の寛大さに心を打たれたと同時に恐ろしくなってしまった。

この子は妄信的すぎる。

とにかくまだ気絶しているルイスを抱えてドワーフの様へ続く坑道を走った。



---アリア—-


お父様には絶対に言えない事がまたひとつできてしまった。

今回の情事は私の策。

このままにしてもルイスは荷物になるだけであり、ドワーフの里に何があるか知らないが邪魔になる事は必至。

ヒューマンもこの女がオーデンガルドから出ればただの小娘になる事を承知している。

もう何の価値もないのだ。

でもどうか、この女が呪いから解放され、無限のマナの祝福を受けたとするならば、まさに天変地異。

おそらくこの女はお父様の同郷のもの。

そうでなければこれほどの力はありえないからだ。

念のため、お父様に気づかれないよう素顔も確認し、確信に変わった。

その瞬間、この計画を思いついたのだ。

お父様の事を思うと胸が苦しくなる。

それにわざわざ魔性の魔法まで使い、お父様が高ぶるようにした。

ドワーフの里に向かう道中、お父様とあの女の事を考えるたびに吐いた。

しかし私たちには後ろ盾もない。

必殺の切り札が必要だ。


何度もそう言い聞かせたが、想像をするたびに吐き気が止まらなかった。



---主人公—-


「アリア、イシスとは話せたのか?」


時間がたち落ち着いた俺は、ようやくアリアに言葉をかける事ができた。


「はいお父様。というより先日の御仁がすでに手をまわしており、私たちが来る事を想定していました」


「あいつ、いったい何者なのか」


「私にもまったくわかりませんが、いずれはっきりすると思います。今は目の前の事を確実に進めていきましょう」


俺はアリアとマナの循環をしながら、休むことなく走り続けた。

あんな事をした後なのでアリアとの事は気が引けたが、心なしかいつもよりもアリアが積極的だった気がする。


そうしてドワーフの里にまもなく到着するくらいで、ルイスの意識がもどった。


「これはいったいどうなっている!」


ルイスが暴れるので、俺は担ぐのをやめた。


「どこだここは、いや、何がどうなっている!説明をしろ」


俺が説明できずにいるとアリアが静かに説明をしてくれた。

昨夜の情事には触れないでくれたようだが、それではこのマナの量をどう説明するのかと思った時。


「あなたはお父様の寵愛を受けました。感謝をしなさい」


説明の最後にド直球をはなった。


「は?寵愛?なんだそれは!どういう事だ!」


混乱したルイスはより暴れはじめた。

一度つながったルイスのマナがよく見える。

膨大なこの坑道を埋め尽くさんばかりの激しい光を感じる。


「言葉を知らない下等なあなたにもわかりやすくいうと、お父様から可愛がられたのよ!」


「だから意味がわからん!」


通じないルイスにアリアもボルテージが上がってきたのか、今にも臨戦態勢だ。

俺、止められないよ。


「こいつ、脳みそまで筋肉になっていやがる。だから契りよ、男女の営み!既成事実よ!」


「何一つわからん!それはなんだというのだ!」


俺の記憶が確かならルイスは初めてではなかったように思う。

だが狂っていた俺の理性がどれくらいまともに記憶しているか自信はなかったが。


「もういい!お父様!昨晩の事をここでしてください!今!!!」


「はいいいい」


俺に拒否権はなかった。


ルイスはそれがなんなのか、今ここで見せてくれると少しおとなしくなった。

アリアからそのマナだとうまくいかないから抑えるように言われ、案外直に応じていた。

俺はルイスに向かいあい、両肩に手を置いた。


「あ」


ルイスはびくっと体を震わせ、しかしおとなしくしていた。


「ちっ」


うしろでアリアの舌打ちが聞こえる。しかも何度もだ。怖い。


「頼むから暴れないでくれよルイス」


「それは事によるが、まあわかった」


俺がルイスの鎧やら着衣を脱がせようとするたびに、「は?」「何をする!」とちゃちゃが入ったがそのたびに、「じゃあ知らないままでいいな」というと

「うぐぅ」と縮こまる。

なんだか新鮮な気分であり、つい先ほどの罪悪感が消え、加虐心が煽られる。


だがおかしい、さすがの俺もこんなあっさりと沸き上がるはずがない。

それにルイスの様子もおかしい。

さっきから?が見えるほどの顔を何度もしているのに、動きが自然だ。

慣れているのか?

アリアも心配だ。

何度も姿を隠して何かをして、また戻ってきている。

もどってくるたびにげっそりとしており、見ていられない。


「アリア、先に君のマナの供給しようか」


アリアは一瞬パッと明るくなったが、徐々に沈んでいき、ルイスに集中するように言われた。


ルイスには悪いがさっさと済ませて、アリアの看病をしたい。

俺は手早く支度を進めた。


さすがにあらわな姿になった時ルイスは動揺をしていたが、抵抗はしなかった。

俺は不思議に思い思わず聞いてしまった。


「お前、今からする事がなんとなくわかるんじゃないか?」


「うん。たぶん魔力チェックだろう?それとさっきあの娘が言っていた事がどう違うのかを見ている」


魔力チェック。

おそらくそれは違う。

チェックと称してこの美しい肉体を弄んでいたに違いがない。

俺の元いた世界でも、聞いた事がある。

都市伝説並みではあるが芸能界とかな。

同じヒューマンとして反吐が出る。


俺はすっかりやる気がなくなってしまった。

アリアも近くにいないし、もう恥ずかしさもない。

このまま口頭で、出来るだけ淡泊に伝えよう。


「なんだ、ただの魔力チェックではないか、お前が私にして何の意味がある」


この子も被害者の一人だったんだ。

正確な年齢はわからないが、おそらく20才前後だろう。

魔力チェックは5年ほど前からされていると聞き、俺は吐き気を催した。


意図せず俺はそいつらと同じ事をした。

それも相手の意識がない事をいい事に、何度もだ。

俺は自分のした事の大きさに目の前がぐにゃりと歪み。

そのまま倒れそうになった。


俺を支えたのは、アリアではなく意外にもルイスだった。

アリアは俺たちが生まれたままの姿になってからずっといない。

遠くの方でかすかに声が聞こえる程度だ。

しかし何を言っているのかはわからない。


「大丈夫か」


優しくするな


「私のマナのせいなのか、すまない。これほどのマナは制御した事がないからな」


謝るな


「だが、魔力チェックとこのマナにどんな関係があるというのか」


平然とするな


「やはり、お前の魔力チェックは他のそれとは違うのだろう。」


苦しい


「うん、魔力チェックなら問題ないし、お前のチェックは興味もある。続きを」


俺は今度こそ間違えなかった。


ふらふらとしながらルイスから距離を取り、この吐き気を抑える事に必死だった。


「ダメか。が、こんな時がある事も知っている。調整が必要なのだな」


それでもルイスは俺にせまってくる。

俺はルイスが怖くなってきた。


「落ち着け、調整は得意だ。」


ルイスは俺の目の前で屈みこみ、躊躇なくはじめた。


「や、やめ…ろ」


だがルイスはやめない。

上目遣いで俺を見て、むしろ強く早くなった。


俺は抵抗ができる、が、出来ない。

それはルイスの力が強いとか、体調が変であるとか、ここにアリアがいないとかではない。

俺は自分の意志で抵抗をしていない。

ルイスの艶めかしいまでの表情とその御業。

文字通り骨抜きの状態になっている。

この快楽に抵抗できる男性などこの世にいるわけもない。

あくまでも自分の意志とは関係がないところで行為が進んでいる事に罪悪感の軽減を感じ、俺は終局を迎えた。


「…なんだ。調整はできているじゃないか。」


「これは…調整なんかじゃない」


「うん?名などどうでもよい。それよりもチェックだ。このマナの正体が知りたい」


俺が動けないところをみて、ルイスは覆いかぶさった。


「お前はこっちか。それも得意ではある」


俺はまたも流れに身を任せてしまった。

ほんの数秒前に終焉を迎えたはずのそれは、瞬く間に息吹を吹き返し降臨する。

その様子にルイスは少し驚きながらも、笑みを浮かべ、再度舞う


その美しい舞に見惚れていると、一点に力が集まってくる。

一度の終局を経て、簡単に倒れる事がなかったそれは、今度こそフィナーレを迎えた。


「ん?おおおおおお、なんだこの力は!」


もう抑えられない程に溢れ出るマナが当たり一面を照らした。

その一瞬、物陰で泣きながら吐しゃしているアリアが見えた。


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