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「仲間にしてくれないかな?」
「仲間にして頂戴。」
「……。」
巨大な戦斧を肩に担いだブリキの全身鎧人間。
黒光りしている鉄爪をつけたオスライオン。
その2人を目の前にヘタリ込みブルブル震え涙目の少女ドロシー。
尻尾を隠し震えながらも主人を守ろうとドロシーの前に立ち吠えたてる犬トト。
「うわぁ強そうだねー。」と呟いている藁人形、案山子。
どう収集を付けたら良いのか分からない程混沌とした空気が4人と1匹の間に流れている。
カオスだ。
ドロシーは今すぐ逃げ出したい衝動を抑え恐る恐る口を開く。
「なっ仲間?」
「そっ。
俺は心が欲しくてね。
エメラルドの都に連れてってくれないかなと。」
「私は勇気が欲しいの。
一緒にいかせて頂戴。」
「ちょっちょっと待って下さいね。
私色々びっくりして混乱しているみたい。」
2人の仲間になりたい宣言にドロシーは片手を広げてストップの合図を出した。
状況を整理する時間を寄越せと言う事だろう。
「えっとまず…ブリキの戦士さん?」
「ブリキの木こりだよ。
見ての通り。」
「あっごめんなさい。
見ても分からなくて…。
えっと何故私達がエメラルドの都へ行くと知っているの?」
「風の噂でね。」
「そっそう…。
あとさっきから何か音がしているのはなあに?」
「音…?
ああ、これかな?」
そう言ってネロは鞄から例の1人音楽隊のロボットを取り出しドロシーに渡す。
ドロシーは全身鎧の戦士の鞄から取り出されたファンシーなアイテムに目をぱちぱちさせていた。
意味が分からないのだろう。
「あげるよ。」
「えっ…あっありがとうございます?」
絶対にいらないであろうに律儀に礼を述べてしまうドロシー。
そのファンシーなアイテムを困った顔をしながらバスケットにしまう。
そして自分の中で処理しきれないおかしなブリキの全身鎧は後に回す事にしたのだろう。
今度はビアンカの方へ向き直る。
「えっとそしてあなたは…。」
「ライオンよ。
臆病だから勇気が欲しいの。
エメラルドの都に着いて行かせて頂戴。」
「えっと…ゆっ勇気?
でもあなた既に充分強そうよ?
その…立派な爪もあるし…。」
「強さと勇気は違うわよ。
例え力があっても使えなければ意味をなさないでしょう?」
「そっそれはそうね…。
あとあなた鬣もあるし、その…男の子なのよね?」
「生物学上はね。」
「おっオネエさんなんですね…。」
ドロシーは頭を抱えた。
情報量が多過ぎたのだ。
キャラ設定の濃い2人組が突然現れたのだから無理もない。
幼い少女にこれを上手く処理しろと言う方がおかしな話だ。
バラバラに登場してやっても良かったのだが準備に手間取り、本来の木こりの登場場所である山小屋はドロシー達がとっくに通り過ぎてしまっていたのだ。
そこで苦肉の策としてライオンの登場場所で2人同時に登場したのである。
ドロシーからすればたまったもんじゃない。




