あとがき
この物語はフィクションです。けれど、その一部分を自分の過ごした時間のように感じていただける方がいるかもしれません。身と心を置いていた場所は違えども、不器用に生きる青い季節の情景はどこかでつながっているように思えるのです。
時代の流れの中で、心に温かく残る思い出の場所がその姿を消してしまうこともあるでしょう、遠く離れた場所にいてその事実を知らないままでいることもあるかもしれません。それは心の中も同じで、時を経て記憶が薄れたというのとはちょっと違い、記憶としては確かにあるのだけれど、そこへ辿り着くための道標がぼやけてしまったり、そちらへ気持ちを向ける機会が少なくなってしまったりしているというのが近いのではないでしょうか。
あの部室にあったコミュニケーションノート【リバティー】に記されていたタロの詩をひとつ思い出してみます。
「目の回るような温もりを抱きしめて」
出会いには
楽しさだけではなく
色々なやっかいごともついてくる
けれどそれを災いと感じ
逃れようとする者たちより
私は幸せだったと
今も幸せだと胸を張れる
静かで穏やかな温もりがあれば
賑やかで目の回るような温もりもある
そのどちらも愛おしいものだから
未熟さや弱さに翻弄されて
つながりを失うこともある
けれど必要ならば再び結びあえる
でかい声と下手な文字で思いを伝え合った
同じ熱に包まれた日々を忘れなければ
再び絆はよみがえる
どんな形であったとしても
拙いながら、あなたの胸に眠る黄金時代へのガイドになれたらとの思いで綴りました。あの場所へ行きたい、あの人に会いたい。そんな気持ちの着火剤になれたら幸いです。
どうか、お元気で。また、どこかで。




