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第十一話後編:続・昏キ悪霊ノ森

なんか長いです。一万五千字もあるのでお暇な時に。


 なんか俺の弟子が、シュッシュとシャドーボクシング的な動きをしてすごく楽しそうにしている。


 「こうっ! こうっ、ですよね! お師匠さまっ!」


 「…………」


 ……え?

 なにそれ、あのときの俺ってそんな格好つけた動きしてたの? いや、確かに『もう死ぬわこれ』と思ってやけっぱちになってたけどさぁ。

 こうやって客観的にみせられる羽目になると、なんというかいたたまれねえわ。


 ……俺が思わず黙り込むと、シャルは何か勘違いしたらしくちょこんと首を傾げる。


 「あれ? 違いました? こうっ! こうっ、ですか?」


 シュッシュ、シュッシュ。

 シャルは難しい顔をしながら俺の心に追撃の拳を放ってきた。


 ……おーい、やめてくれませんかねぇ。

 これ以上続けたら泣くぞ? 泣くからな。


 「……そんな感じだ。シャルの記憶力にはつくづく感心するよ。うまいうまい」


 「えへへ。そうですか? やったぁ」


 苦し紛れに適当に褒めると、シャルはぱっと顔をほころばせて嬉しそうにする。

 一方、そんな無邪気な弟子に無自覚にイジメられた俺はとてもとてもつらいです。俺は前世で何か悪いことでもしたのだろうか。

 俺が密かに黄昏れていると、シャルがそういえばと話しかけてきた。


 「そういえばお師匠さま。あの時使っていたのって、誘導爆裂弾……ですよね? うちの工房にレシピがある」


 「ああ、そうだが……それがどうかしたのか?」


 誘導爆裂弾か。

 アレもそうだが、うちの工房にはなぜか……いわゆる”爆弾”のレシピがたくさんあったりする。それはもう、兵器工房の看板を背負っている所に勝るとも劣らないだろう数のソレが存在している。

 もっともそれらの大半は作成者の、本当に、本当に、はた迷惑な『とにかく作ってみたい!』という欲だけで生まれた”欠陥品”だったために、特に外部に公開されることもなく、また試作品以外は特に作られることもなかった死蔵物なのだが。


 こう……威力とか妙ちきりんな効果を追求しすぎて、とてもじゃないが常人には扱える代物ではなかったり、ひどいのになると製造した瞬間からカウントダウン(・・・・・・・)が始まったりするからな……。


 ……まぁそんなことはともかく……。誘導爆裂弾は珍しくも俺の懇願を聞き入れたやつが、フツウに運用可能に作り上げたブツである。確か、あの当時から組合にも公開してあったレシピだな。


 俺がそんなことをイヤイヤ思い返していると、何事か真面目に考え込んでいるらしくウーンと首をひねるシャルが言葉を続けた。


 「いえその、前々から気になってはいたんですが。あのアイテムではあそこまでの威力はでないはず……ですよね? どうやって、あんなにすっごい威力を出したんですか?」


 「あーそれはだな……」


 ……いや、そんなこと俺も知らねーよ。ライトウィスパー氏に聞いてくれ。


 とは言うものの……。一応あの時『なるべくワイらの存在は内緒にしてや』って頼まれたしなぁ……。でも、なるべくだし別にいいか……? もう時効じゃね?

 あーでも、実は他力本願でしたって知られるのはマズイか……? まぁマズイだろうな。期待に満ちたシャルの顔を見て、俺はそう考え直す。ただでさえ元々ない師匠としての面目が主にヤバイ。


 俺が悩んでいると、シャルはあっと声を上げる。


 「あ、もしかして! このっ、このっ、動きに何か秘密がっ!? あとは、爆裂弾の軌道が……お師匠さまの秘密の魔法紋様を描いていた……とかですかっ!?」


 だからそれやめいと。

 あーでも、その発想はなかったな……。もうそれでいいよ。

 面倒になった俺は投げた。


 「ふむ、よく気づいたな……。あれこそは我が最終奥義、この世で私しか使えない特殊な特殊なアイテム運用術……ありとあらゆる道具の効力を増すスペシャルな技なのだ。うむ」


 スペシャルな技なのだよ、うむ。なにせこの世に存在しないからな。スペシャルすぎるぜ。


 「わぁ、すごいですっ! ……あ、あの……頑張りますので、教えてもらえないでしょうか……っ!」


 上目遣いでお願いをしてきたシャルに、俺は自らの口に言いくるめを命じた。


 「……いや実はな。あまりにスペシャル過ぎて説明が難しいのだよ。それに無闇矢鱈と見せるべき技でもない。……だが! お前には既にあの時一度見せていることを忘れるな……。あの時のことをじっくり思い出して試行してみるがいい。自ら体得する。それがおそらくは一番の近道だろう。何事にも通じる、な……」


 いったい俺は何を言っているんだろう……。いつものことだが。いつものことだが。


 言いくるめスキルが上がっているようでさほど変わっていないような。昔と比べてスラスラ口は動くようになったけど、説得力が上がっている気はあんまりしない。

 まぁ良いか。元がただの無意味な何かなんだからどうせ再現とかできるわけないしな。難易度がどうこうとかいう問題ですらない。そのうち諦めてくれるだろう。


 俺のくっそ薄っぺらい言葉にシャルは力強くグッと手を握る。


 「なるほど……。わかりましたっ! 絶対に、お師匠さまの期待に応えてみせますっ!」


 「ふっ、お前にはたしてそれが出来るかな。ま、努力するが良い」


 「むぅ。で、できますからっ! 見ててくださいっ! ……でも魔紋学はそこまで詳しくないし、誰かに相談してみよう……」


 いやだから流石に無理だって。ほら……ゼロに何を掛けてもイチにはできないからな!


 ダメな方の自信に満ち溢れた俺は、心のなかでフッと静かに笑った。



§§§



 さて、話を元に戻すと。


 それは、例のすごーく強い、摩訶不思議な光柱攻撃の直後のことだった。

 俺は気づけば、精神だけ何者かに拉致られて謎のまっ白いワールドにいた。……こうやって思い返してみるところころ周りの環境が変わり過ぎだ。さながら俺は、激流に翻弄されるアワレな小魚かなにかである。


 まぁ落ち着いてそんなことを言ってられるのも今だからで、当時の俺は結構いっぱいいっぱいだった。


 そもそも精神だけ拉致るってなんだよ。意味わかんねえよ。


 もっともそんな拉致られた直後の俺の狼狽ぶりなぞ聞いても誰も得しないので省略して、落ち着いた後の出来事を振り返ってみることにする。


 簡潔に言うと当時の俺は……、無理難題を突きつけられてそれはもう嫌がっていた。


 「ええ……マジですか。それ本当に俺がやらないとダメ?」


 〈あんちゃん、頼むわ~。これはあんちゃんにしかできへんことやねん。巻き込んで悪いなぁとは思うんやけど、あんちゃんらもこっからはよ出たいやろ? もちろん、最大限サポートはするで?〉


 そう言って説得してくるのは、あぐらをかいて宙に浮かんだピンクのおっさんである。


 何がピンクって何もかもがピンクだ。


 ピンク髪でピンクの腰布一枚、更には両乳首にピンクの花びらをはりつけている。率直に言ってキモい。

 しかしこれがさっきのライトウィスパーの中の人らしい。

 まったく夢も希望もないぜ。こんな事実知りとうはなかった。


 ……ちなみにそんなキモいおっさんの後方には、異なるカラーではあるが同じ変態的な格好をした男女が忙しなく動き回っていて、きっと彼らが他の種族ライトウィスパーなのだろうと俺は思った。


 彼らはなんかその辺に漂う綿菓子みたいなのを掴んではコネコネしていた。

 正直意味が分からない。



 ――まあ、そんな変態どもはともかくとしてだ。


 俺が要求されていること。それは一言で言うと悪霊退治だった。

 それもさっきの木人たちの元締たる大悪霊を、らしい。


 そんなこと無理に決まってるだろ。あまり……俺を舐めるなよ?

 開き直った俺は、自信満々にそう主張した。


 〈大丈夫やて! おっちゃんらの秘蔵のブツを貸したるから! あんちゃんはそれでどうこうするだけでいい、ほらものすんごい簡単やろ?〉


 「簡単なら是非とも自分たちでやって頂けると」


 〈それがな~おっちゃんらには無理やねん……ってこのやり取りさっきもやったわ! も~しゃあないなあ。もっかい、一からていね~いに説明すんで。ほら耳塞がんと聞いてや!〉


 俺は耳を押さえて激しく抵抗した。


 やめろっ聞きたくない! クソがあ、俺は採取をしにきただけなんだ!

 悪霊なんぞ知ったことか!


 しかしながらこの場の俺は別に肉の身体を持っているわけではなく儚い精神体だったので、普通にキモいおっさんが説明する声が聞こえてきた。悲しい。



 ……まぁ不本意ながら聞こえてしまったので、内容をざっとかいつまむとこんな感じだ。


 この森には大昔に巫子の少女を人柱とした、なんつーかこう、ブラックな雰囲気がぷんぷん漂っている樹があって、ライトウィスパー達はその樹と巫子の御霊を慰める存在であるらしい。


 だけどそんな樹が突如として暴走を始めたんだと。

 それを聞いた俺は慰められてねえじゃないかと強く抗議した。だがおっさんは外部犯による犯行だったのだと主張した。

 本来なら隔絶された樹の存在する場所に何者かがいつの間にか侵入し、樹に謎の怪しい液体をふりかけたらしい。


 なに侵入されてんだよザル警備かよと再び強く抗議する俺に対し、ライトウィスパー達は一斉に『あー、俺/私、いま超忙しいわ―。滅茶働いてるわー』といういかにもな素振りで対抗してきた。


 こいつら絶対余裕あるだろ。俺はイラついた。

 だがイラつく俺を他所におっさんの説明は続く。


 そうして暴走してしまった樹をおっさんらはそれはもう必死に努力して押さえ込もうとするも力及ばず、やがて瘴気に犯され悪霊堕ちした巫女少女が出現してしまったらしい。

 そしてその悪霊巫子とやらが、俺にどうにかしてほしい存在のようだった。



 おっさんは言う。


〈おっちゃんらにも詳しいことは分からへんねんけどな。あの子、な~んか特殊な概念結界纏っとるみたいなんよ。

 自分が”視”ている相手以外からのあらゆる物理的、魔法的干渉を拒絶する~~みたいな、一方通行の、やたら強力で隙がないやつ。それに多少目に止まっても、あんまり興味なかったらやっぱりほとんど何も通らんみたいでな。あの子、昔から天才やったが更に磨きかかっとるわぁ。何をどうしたらそないなことできるのかさっぱりや。

 まぁそないなわけでおっちゃんらは手出しできへんねん。およよ、悲しいことにおっちゃんらは飛び回ってるうざったい羽虫程度にしか思われてへんみたいでな。

 ――どういうわけか、あの子の目下の”焦点”になっとるあんちゃんらなら、いけるんやけどな〉


 そしてそこで一呼吸置き、


 〈頼むわ、あんちゃん。――あの子を助けてやってはくれんか〉


 そう、真剣な表情で懇願してきた。


 俺はニコッと笑った。



 「やはり他を当たって頂けると」



 〈そうかそうか、やってくれるか……ってなんでや!〉


 おっさんと、その背後でこちらをちらっちらっとめっちゃ見ていたライトウィスパー達は芸人のようにズッコケた。


 〈は~も~、今は情にほだされるシーンやったろ!〉


 へーそうだったのか。俺はジト目になった。


 つうかそもそもさっきも同じ話を聞いて、それで嫌がってたんだから結論が変わるわけないじゃん。思わず嘆息する。


 とはいえ、このままだと堂々巡りになりそうである。俺は諦めて仕方なく妥協することにした。さっき、出待ちとかクソなこと言ってはいたが、一応助けられた借りはあることだしな……。

 それに協力しないとあの訳わからん森から出られそうもない。


 全くどうして俺がこんな目に。金か、金がなかったことが、俺の運の巡りを悪くしたのか。

 はぁ、いったいどうしてこの世には貧富の差というものがあるのだろう。俺は世の理不尽を嘆き、そして恐らく人生初めての決意をした。



 ここから無事に帰れたら――俺、貯金する。へへっ、ちゃんと将来のために働くんだ。



 「わかった……わかったよ。協力しよう。――それで俺は具体的に何をすればいいんだ?」


 〈ま~簡単や。あんちゃんはあの子を煽ってくれたらいい。いや、もういっそとびっきり怒らせてやってくれや。そしたらおっちゃんらがあんちゃんを通じてどないかするわ〉


 ……? 煽る? そんなことだけでいいの?

 思っていたのとなんか大分違ったが、それなら確かになんとかなりそう……か?

 要はクソガキを泣かせろってことだろ。それならいける気がする。


 ……いやね? もちろんそんな可哀想なことをするなんて、心優しい善良な一市民こと俺にはひどくつらいことだよ。つらいことだけれども、悪いことをしたガキは叱ってやらないと。

 それが世の中の道理ってやつだしな。仕方ないことなのだ。



 うんうん……散々人のことを怖がらせてくれたことはともかくとして、ね。



 痛む胸を抑えつつ俺は悲しい微笑みを浮かべた。


「くくっ……、おうわかった。やってやろうじゃないか」



§



 大切なマイボディに帰還を果たした俺は、周囲をぐるりと見回した。木人の残骸たる三つの灰の山に、未だキラキラとした感嘆の眼差しを向けてきているシャルティアの姿。


 うーん、どうやら時間はほとんど経過していなかったようだ。

 結構話し込んでいたわりには。


 ナゾ現象ではある。

 だがもはやその手の現象に妙な慣れを感じてきていた当時の俺は、一つの境地に至りつつあった。



 そう――遍く森羅万象をありのまま受け入れる神の如き境地に、な……。



 まー、ストレスで頭がおかしくなってしまった、ともいう。


 「――なるほど……来てしまったか。この時が」


 可哀想に頭がおかしくなってしまった俺は、静かに目をつむると思わせぶりに呟いた。

 俺の……こうして回想することすら苦痛なイタい発言……に、シャルティアは大きく目を見開いてハッと息を呑んだ。


 「……!」


 その姿に何故か深い満足感を得る俺……と、その時。


 再び怪声が異様な森の中に響き渡り、まだ多少距離はあるようだが闇の奥の方でガサガサと悪霊達がうごめく音が聞こえてきた。


 そんな音を聞いた俺は一度フムと頷き、


 (出番っすよ、おっさん)


 すぐにぶん投げた。だってもうなんも装備持ってないしな。

 ぶっちゃけ、俺よりもカヤの符をまだ何枚か持ってるらしいシャルティアの方がまだ戦闘力は高いかもしれない。悲しいね。

 ここから俺が得るべき教訓はそうだな。アイテムは計画的に使おう!とか? …………当たり前すぎるわ。


 そんなことを考えてげんなりしていると、おっさんの場違いに朗らかな応答が脳内に挿入される。


 〈よしきた! でもまぁそんなことは気にせんとき。あの指パッチン、おっちゃんは良かったと思うで! 嫌いやないわ、ああいうノリ〉


 (そりゃどうも……)


 ……というか便利だから口を挟まずにいたが。ナチュラルに心の中読まれてるよなぁこれ。


 念話の方はこう、見知らぬ他人からぬるっとした手で触られるくらいの気分で一応済んでいる。

 だが流石に頭覗かれるのは、こっそり表紙をすり替えてしまってある娼館格付け手帳(著:俺)をうっかり客に見られてしまった1秒後、みたいな危機感が……。


 この得体の知れないナゾ生物はなんか何気なく行使していらっしゃるが、本来ならこういう念話や読心は滅多に経験出来るものではない。というかそもそも読心なんて魔法は、先天的な異能者くらいにしか行使できない類のやつじゃなかったっけか……。


 念話(テレパシー)の魔法の方は一応、軍の方で実用化されてはいたはず……だが、詳しいことは知らない。機密指定の魔法だしな。ただ、普通は初対面の相手に使える魔法でないことだけはわかる。


 こういった干渉系の魔法は通常、誰もが備える抵抗力に阻まれてしまうのだ。強化系や回復系はまだマシみたいだが、どれだけ受け入れ側が大丈夫だと口にしても、どれだけ受け入れる態勢を整えても、人はこの手の、特に精神に触れる魔法に対して半ばオートで強烈な抵抗力を働かせてしまうらしい。まー多分、”魂脈”の機能か何かなんだろう。知らんけど。


 軍じゃ専門に訓練された二人一組の通信魔法士同士が、これまた国お抱えの錬金術師が作った特殊な魔道具の助力を得て使っている~みたいな話は組合で小耳に挟んだことがある……。

 ……だが、俺はもはや万象一切を受け入れる破けたポケットみたいな男になっていたので、脳のスイッチを切ることにした。ライトウィスパーすごーい。


 俺が思考停止すると、仕事をしない俺の抵抗力さんを相変わらずスルーしておっさんが再び念話を送ってくる。


 〈ククク、もうええんか?〉


 待ってたのかようぜえ。ってかもう緊張感もクソもねえな。

 あ、でもそんなことはないか。さっきよりよほど近い場所でガサガサと音が鳴る。

 それに気付いた俺は、普通にビクッとなった。


 お願いですから早くなんとかして下さい。俺は下手に出た。


 〈ん~、どないしょっかな~。実はさっき話した大本の方針とは別に、手段としては考えとる方法二つあってな? ちょっと悩んどるねん〉


 何故か焦らしてくるおっさん。


 (いや、なんでも良いよ。なんでよりによって、危機が目の前に迫ってる時にそんなこと言い出すんスか〉


 ……もしかしてこの畜生ども、俺の反応眺めて面白がってないか。俺は疑った。


 さっきも出待ちとか言ってたし、なんつーかこう、こいつらノリで生きている感がひしひしと。

 まるで近所のゴミどもみたいな、とにかく人をおちょくらなくては気がすまないソウルを感じる。全く度し難い……。そんなことして何が面白いんだ。


 〈いやいやとんでもない。ま~ほんなら、おっちゃんと合体して――〉


 (――そっちじゃない方で)


 〈あ、さよか? しゃあないな、じゃあこっち使うか。ほないくで~。いっち、に~、さ~ん、ほれ指パッチン!〉


 (……おう)


 俺は言われるがままに指パッチンをした。もう何もかもが面倒になったのだ。


 すると突如として手のひら大の空間が白く染まり渦巻き始める。

 そしてその中から小さな人形っぽいのが、膝を丸めた姿勢でコロコロと転がり出てきた。

 それはすぐにパッと足を揃えて手を横に伸ばし、さらには一対の虫みたいな羽を広げ、宙に直立した。


 いや虫っつうか……天使がモチーフなのかこれ?

 女性型で、ひとつひとつのパーツが驚くほどに精緻に作られている……。


 「ふむ……」


 ……好事家にでも売ったらめっちゃ良い値段になりそうだな。

 俺はいくつかの古物店を思い浮かべて早速検討に入った。


 〈いや、いきなり売る算段せんといてくれや……。あんちゃん、れんきんじゅつし? いうんやろ。もっと他に気になることあるんとちゃうんか。まぁ、リンクするで~〉


 呆れた声音のおっちゃんがそう言うと、天使の人形に桃色の光が降り注ぎ、人形の首元にパッと光が凝縮し首輪が現れた。そのすぐ後に俺の右手の中指にも同形の指輪が現れる。


 (なにこれ)


 〈制御のリングや。あんちゃんを通じて干渉せなあかんからな。動かす魔力はおっちゃんらが注ぐけど、あくまで起点の命令はあんちゃんにしてもらわなあかん。まぁ誤魔化しみたいなもんやけどな〉


 (へー。じゃあこれで敵をやっつけろと命令……)


 ガサッ。


 ……ほんのすぐ先のヤブに木人さんが何体か迫っていた。あ、どうもお疲れ様です……、


 「――殺れッ!」


 ビビった俺の叫びに人形は即座に行動を開始し、終了した(・・・・)

 すぐそこまで迫っていたはずの木人さんたちは知らぬ間にいなくなっていた。正確にはなんかぱっと赤く光ったかと思うと灰になった。完全に途中経過が抜けていた。


 まぁあれだ。俺の動体視力がついていかなかったのだ。


 俺はとりあえず天使さんに視線を向けた。


 するとその背にはいつの間にか、色とりどりに光り輝く六本の魔法剣が展開されていた。

 短剣ほどのサイズしかないにも関わらず、どれも凄まじいほどの魔力を宿し、強烈な重圧を周囲にはなっている。

 恐らくそのうちの紅く光る一本が木人さんたちを道すがらに消し炭にしていったらしく、すっと定位置に戻ろうとしていた。


 すげえな。


 それにいつの間にかカヤの結界が更新、魔改造されたらしくなにやら安心感が違った。

 

 いやほんとすげえな。

 あまりにもすごすぎて俺の中のボキャブラリーが減少してるわ。


 そんな馬鹿みたいなことを考えていると、そういえば居たシャルティアが俺よりは大分マシな感想を零す。


 「ふわぁ……。あかいせんが、なんぼんもまゆみたいにつつみこんで、ぱっとはじけたとおもったら……。その、こんなかんそう、へんかもですが……なんだかきれい、でした」


 へ、へー。あの短剣くん、そんな動きしてたのね。

 おかしいな……まだ老眼には早いはずだが……。

 いやまて、言われてみれば確かに赤く光った瞬間に、軌跡の残像みたいなのはあった気がする。なんだ、俺にも見えてたじゃん。よかったよかった。


 〈あんちゃん、聞いたか! キレイやと! いやあ~、今までずっと、何に使うのかさっぱり分からへんけどなんとなく溜めとった魔力がついに役に立ったか~。おっちゃん、感慨深いで。あかん、なんか遠吠えしとうなってきたわ。うおおおおおおおお~〉


 そしておっちゃんは何やらはしゃいでいる……。というか普通にうるせえ。

 脳内で脈絡なく騒がないでいただきたい。おっちゃんは俺の内心を読めているくせにそれを完全にスルーして遠吠えを続ける。


 〈うおおおおお~。あ、せや。言い忘れとったけどな〉


 (……なんすかね)


 〈おっちゃんらのことはそのかわいらしい子には内緒な。というかできるだけ人には言わんといてくれると助かるわ〉


 (まあ別にいいけど……なんでだ?)



 〈え……だってほら、恥ずかしいやん……。おっちゃんらが実はこんなんやって知られるの……〉



 ええ、そこ自覚してたのか……。俺は逆にビックリした。


 〈というのはま、冗談やけど〉


 (冗談なのか……)


 〈おっちゃんらみたいに既に一旦もろもろ終えた輩がな、今を精一杯生きとる人らと関わりまくるんはすこ~し違うというか、大人げないなぁとおっちゃんは思うねん。まだ一番外の結界は壊れとらへんから、バレてへんはずやしな。あんちゃんらはそっから更に内側に取り込まれてしもうたけど〉


 そこで一端間をおき、


 〈それに――出来ればあの子にも、あの子が好きやった静かな場所で眠らせてやりたいしな。酷な定めを背負わせてしもうたし〉


 (お、おう)


 急になんだか重そうなことをしんみりと言われた俺はキョドった。

 やめろよな~、そういう面倒な情報はいらないんだって。ただの極悪な悪霊でいいじゃん。ダメ?

 泣かせてほしいんだろ~? あ、いや怒らせて、だっけ? まぁどっちでもいいが。



 先遣隊?があっけなくやられたことに怒ったか周囲の闇が不気味にざわめき出す。急速に闇の中で闇が膨れ上がり、俺たちの周囲をこれまでにない数が埋め尽くす。


 だが先程の攻撃で、どうやら俺の味方のライトウィスパーさんにとって木人はさほどの脅威ではないらしいことを知った俺は強気にでた。……別にいらん情報を忘れたいとか、そういう意図はない。


 「いくらでもかかってこい。貴様らごとき(天使さんの)敵ではないからなッ!」


 「ふわぁ……」


 シャルティアは虎の威を借りイキる俺をぽわっとした目で見つめていた。

 魔法剣が宙を乱舞する。多数、空間展開された魔法陣から無数の光条が放たれる。

 別に俺の力じゃないけどイー気分である。俺も遠吠えするかな。

 うおおおおお~~。


 俺が心の中で吠えていると、傍らにぴとっと引っ付いているシャルティアがくいくいと袖を引っ張って見上げてきた。


 「おししょうさまっ。その、ところでなんですが。これってしせんの……()のところに、むかってるんですか?」


 「うお」


 「うお?」


 「……いやなんでもない。ああ、そうだな。出来れば使いたくはなかったんだが、あー、この俺の切り札たる秘密道具――」


 〈シェキナイルトクルマな〉


 「シェ……キナを取り出してしまったからには、ふっ。俺はその元凶をどうにかすることができてしまうのだよ。逃げるのはもう――終わりだ」


 くそっ、名前言いにくい。てかもう名前忘れたわ。シェなんだよ。

 それに秘密にすることを意識しすぎて、くっそ下手なカッコつけをしてしまったわ。

 はーつれぇ。つれぇよ。この世界はかくも厳しく俺のことを追い詰めてくる。俺に優しい世界はどこにあるんだ。


 ……裏ではまだ見ぬ楽園を希求して黄昏れていた俺だったが、俺の口に出した方の言葉にシャルティアは大きく目を見開いた。


 「そう……なんだ。あの……いえ、なんでもない、です」


 なんだよ。言えよ。そういえばこいつの様子、ちょっとおかしいか……?

 さっきも”子”って言ってたような。そんな気がする。


 シェなんちゃらから指輪を通じて流れ込んでくる魔力が俺の思考とか第六感を活性化させているのか、何時になく俺は冴えていた。

 うーん、視線の方向についてもシャルティアは段々分かってきた~みたいなこと言ってたし、その延長だろうか。


 というかさ、その子……じゃない、例のやべー悪霊とやらが視ているのってさあ~。

 俺じゃなくてシャルティアの方なんじゃないの? その辺大丈夫なんすかね?

 俺はふと思いついた懸念についておっさんに聞いてみた。


 〈ああ、大丈夫やで。ちゃんとついでにあんちゃんのこともやったろ~って思っとるみたいやから。それでもおっちゃんらが直接アプローチするよりは随分マシやしな〉


 ちゃんとって。ついでって。嫌だよ、勝手にやったろうとするな。

 だいたい何でシャルティアなんだよ。歳が近いからとかか? ……いや、悪霊に歳とかないよな、うんうん。

 ……はぁ、どうせならその悪霊とやらのほうが何しても何とも思わずに済む系だったらよかったのに。おっさんと入れ替わらんかな。入れ替われよ。


 俺はさ~、思うんだよね。

 殴る相手として理想的な対象ってのはだな~、まず、自分が圧倒的に道徳的精神的優位に立てる奴でだな。尚且つ、殴った後に『ふぅ、それはともかく小便がしたくなったな』みたいに思える輩じゃないかってさぁ。


 ……あ、我ながらすげえ小物くせえな。


 まぁいいか。どうせ誰も聞いて――、



 〈くくっ、あんちゃんの内心って面白いなぁ。ぜんぜん飽きへんわ〉



 ……くそっ、こいつらがいたか。勝手に面白がるなよ。見世物じゃねえぞ。金とったろか。あん?


 口元を苦々しく歪めた俺を、シャルティアはじっと見上げていた。

 天使型の人形は生真面目にせっせと敵を駆逐していた。



§


 

 ――そしてしばしの後。


 深刻らしい状況と相反してどこか不真面目な空気の中、ぶよぶよした地面を踏みしめ、襲来する木人たちをひたすら天使さんに退けてもらいながら辿り着いた先に――ソレはいた。


 空気が一変する。


 小柄な影。

 赤黒く細い、無数の木の根と思しきもので人型を象ったその存在は、ただひたすらに(うろ)のごとき眼窩から底知れぬ憎悪を放射していた。


 凄まじい濃度の瘴気(ミアズマ)――通常の生命が魂脈に巡らせる命力(マナ)とは相容れないそれを、暴風のように身に纏っている。

 危険だ。そう思考すると、今までの結界が薄く虹色に輝く球形の結界に上書きされる。


 悪霊と化した古の巫女。

 その存在を目前にして、ひっと息を呑む音が横からする。

 俺も普段ならビビっているところだが……どういうわけかそこまで恐怖を感じない。というよりは無理やり抑制されている感覚があった。


 それはきっとシェなんちゃらが俺に対し、制心魔法(クリアマインド)でもかけているからなのだろう。読心や念話ほど高位の精神干渉系魔法ではないが、それでもやはり中位法術士が行使するクラスの魔法を片手間で展開している。


 この天使型の人形は空恐ろしいほど高性能で、そして恐らくその全てが本来の機能ではない。

 そのことがここまでの道中でリンクしているらしい俺にはなんとなく分かってきた。これはきっと本来は戦闘用の道具ですらないのだ。

 今の状況は、何千人、何万人分の思考力を合算しても届かないような”知性”でただゴリ押ししているだけに過ぎないのだろう。



 ……その、ね。はっきりいうと、数秒後の未来予想図とか見せられても困るんですわ。


 そして今、現実世界とダブるように俺の視界を占領している未来予想図のうちで、堕ちた巫女がゆっくりと手を上げて何かを口にしようとしている。


 ……恐怖の感情がすっぽり抜けているせいで、何かそういう出し物のようにしか見えない……。


 しかし俺はそれを見てピンときた。


 嫌がらせ……アレしかないな。ここ最近で一番俺がされてイヤだったアレだ。




 〈し――〉「ちぇすとおおおおぉおおおおおぅ!」




 ――俺は言葉の出先を奪うように特に意味のない奇声を上げた。


 俺の奇声は空気の読める天使ちゃんが俺の意思を読み取って拡声魔法を展開してくれたらしく、自分でもびっくりするくらいの声量になっていた。


 一瞬、周囲がびっくりするほど静かになる。


 悪霊巫女の後ろにゾロゾロといる木人たちも被害妄想ゆえか、お前マジかよみたいな目で俺を見てきているような気がした。

 隣にいるシャルティアは飛び上がり、まっすぐシャルティアだけを睨みつけていた悪霊巫女も第一声を邪魔されて苛立ったか、心なしか纏う瘴気の流れを早くしてちらっと俺を見る。


 俺は素知らぬ顔をした。


 気を取り直したか……、再び未来予想図で巫女がやり直すかのごとく口を開く。

 俺は間髪入れず再び妨害した。




 〈しね――〉「きえええいえいえいえええええい!」


  〈し――〉「うぴゃあああああああああああああ!」


   〈――〉「ちえすとおおうおおおうおうおおおおあ!」




 〈………………………………〉


 悪霊巫子はぷるぷると身体を震わせ始めた。


 その様子を見て俺は考える。


 わざわざ何かを言うということは、例え悪霊といえど伝えたいメッセージがあるということだ。それがどんな些細なメッセージであれ、人は伝えたいメッセージが伝えたい相手に伝わらないと不快感を覚える。


 それはつい数日前の俺が立証済みである。発言を妨害される。それはかなりのストレスとなるのだ……。なにせ”野次”というしょうもない行為がお偉いお歴々の間でさえ幅を利かせるこの世の中、こんなお子様が……ふっ、堪えられるわけがなかろうて。


 〈いやぁ……。それキメ顔で言うことやないと思うけど……〉


 うっせえわ。わかってるよ。俺にスマートなやり方を期待するな!

 しかしどうやら、俺の目論見はちゃんと(もしくは奇跡的に)功を奏したようで、


 〈ころす、おまえ、からころす……〉


 とか嫌な感じに殺意モリモリでつぶやき始めた。ひえ~。


 ……わーい、ターゲットが移ったぜ!

 というわけで後はよろしく。てか何秒か後の光景がヤバイ。結界の外見えねえ。


 〈ユニークなやり方とはいえ、あんちゃんはちゃんと役割果たしてくれたしええねんけどな? なんか釈然とせんわ……。おっちゃんが言うのもなんやけど、マジメな空気がほんと続かんなぁ。でもま、任せとき! あんちゃんは後はひたすら攻撃指令な。おっちゃんらが別の封印術式割り込ませるから〉


 へいへい。俺はおっさんに了承の返事を返しながら、そしてこちらを睨みつけてくる――もしかしたら、少しばかり風変わりなだけかもしれない少女にとぼけた笑みを向けながら、天使型の人形に指示を出した。



§§§



 ――そして事はあっさり終結を迎える。


 本当に、特筆すべき困難はなかった。


 言ってみれば俺はただ採取の途中で妙な事態に巻き込まれ、否応なくスイッチを押すことを求められた運の悪い通りすがりの人間でしかない。

 そんな俺がやったことといえば、数多迫る攻撃を受け止めるための結界とお転婆な少女へと向ける攻撃をひたすらにオーダーしただけ。


 確かにその場では、大国同士の大規模な戦地で飛び交う数多の魔法すら児戯に思えるほどの、まさに神話的ともいえるほどの膨大な魔力が交わされていたのかもしれない。


 しかしそれは例え渦中にいたと言えど、ただのスイッチ係りの俺にとっては所詮、他人事に過ぎず、それ故に感想としてはただ『あっ、終わったの?』程度のものしか抱けない。

 裏でどのような攻防が行われていたとしても、それは凡人でしかない俺の関知するところではなかったのだ。そしてまた、好んで関わりたいものでもなかった。


 ただ、それは俺にとってはそうだったというだけで。


 あの異界の森に飛ばされてからというもの、なにやらずっと悪霊巫女と”視線”を交わしていたシャルティアにとってはそうではなかったらしい。


 俺には二人の幼い子どもたちが一体何を感じ合い、そしてお互いにどういった感情を向けていたのかはわからない。


 だからあの時、全てが終わった時。

 シャルティアが取った行動だけを振り返ってみることにする。


 といっても、あまり語るべきことはないのだが。


 シャルティアは崩壊しつつある巫女少女に俺の制止も聞かず駆け寄って、そして彼女を抱きしめた。

 そして巫女少女もまた、崩壊してただの寄り集まった根っこと化しつつある両手を絡ませて、シャルティアに応じた。


 ただそれだけの出来事だった。


 ただそれだけで、俺には……そしてライトウィスパー達にも、本当の意味であの時の彼女らの行動の意味など分かっていないだろう。


 ただ、彼らはある程度、あの彼女らにしか共感できない”救い”を想定していた節がある。

 心を読めるはずの彼らが、あえてシャルティアを外し俺をパートナーとして選んだのには理由があると見るべきだからだ。今思うとそう考えるのが自然だろう。


 彼らは常におちゃらけていたが、大事な大事な”巫女”があんな目にあって何も考えていなかったとは思えない。本来なら是が非でも事態を解決したかったはずで、あの状況でシャルティアではなく俺を選んだのはどう考えても非効率だ。

 ならばシャルティアを外した、つまり意図的に情報の蚊帳の外においたのは、ありのままに交感してほしかった――その結果、俺にも彼らにもできない何かをシャルティアに成し遂げてほしかったのだろう。


 的外れかもしれないが、俺はなんとなくそう思っている。物事には時と場所とそれに相応しい人物がいると俺は勝手に思っているが、彼らはシャルティアをそうだと見込んだとそういうことなのだろう。


 全く人の弟子を好き勝手に使ってくれるとは、今からでも礼がほしいくらいだ。


 俺はそんな事を考えながら、菓子をつまむとシャルの口元に差し出した。


 「ま、あの時はいろいろと大変だったな。ほら、口を開けろ。美味いぞ」


 「! あ、あーん」


 ぽいとシャルの口の中に菓子を放り込む。

 リスの様にモゴモゴと薄赤い頬を膨らませる我が弟子を見て、俺は肩をすくめた。













◇◇◇













 ――実のところ、今の世でライトウィスパーと呼ばれる彼らは激怒していた。


 三日前に不届きにも彼らの聖域に入り込み、そして巫子を狂乱させた薬物を樹に投与した存在に対してだ。唯一とも言っていい彼らの逆鱗に、その存在は触れてしまったのだから。


 その存在は高度な認識阻害の効果を有する衣服に身を包んでいた。

 しかしその隠蔽もあると分かれば、彼らにとって地脈を通じて位置を特定するのは、困難こそあれ可能な部類の行為だった。


 確かに、気の遠くなるほどの年月を使って蓄えた魔力の貯蓄はほぼゼロと化してしまい、彼らの行動は著しく束縛されていた。


 ――だがそれは彼らにとって全く大した問題ではなかった。


 なぜならばまだ魔力ならばある。自分たちを構成する魔力が。自分たちのいくらかを犠牲にする。

 たったそれだけで不届き者たちに粛清を下すことが出来るならば、なんと安い代償だろうか。

 彼らは当然の様にそう考えた。


 王都より東に遠く離れた獣道で彼らは顕現する。


 その場にいたのは、問題の衣服を纏った者に加え複数の人影。

 彼らは、自分たちの突然の顕現に慌てふためくその全ての人影をことごとく敵とみなした。


 桃色に輝くライトウィスパーがまず真っ先に脈動し、そして他の数百もまた呼応するように光を強くする。まるで太陽が顕現したかのような白光が地に満ちる。


 僅かな時を経てその光が収まった時――。

 まるで先程の異変は夢幻であったかのごとく、獣道からはライトウィスパーも、そして人間たちも姿を消していた。






六本の短剣は農作業用。

天地を自在に操ることで、地平線の果てまで芸術的な畝が作れます。

種まきも風属性の短剣であっという間に終わります。ただし魔力バカ食いする。

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