1.暴食、異世界へ行く
初めまして千弥です
他の作品を見てくれている人はどうもです
今回は何と無く浮かんだんで何と無く書いてみたものです
この先どうなるかまだよくわかりませんが楽しんでいただければ嬉しいです
地球には表と裏の世界が存在する。
表は科学が広まり、裏には魔法が広まった世界。
その裏の世界には最強最恐と言われる7人の魔導師がいた。
裏の住人はその魔導師達を“7大罪魔導師”と呼んだ。
1人1人が1つの分野に特化し、それを極めるのなら手段を問わない。又、それを邪魔する奴は絶対に許さない。
色欲のスリーヴァ・トレント
強欲のイモニア・ダヴァンティ
嫉妬のファー・エスケイブ
憤怒のフェメル・オーガスト
怠惰のラサース・アドヴェント
傲慢のルーン・ジャルダン
そして最後に暴食。
奴だけはほとんど情報がないのだ。
さきほど7人の魔導師が”いた“、と言ったのを覚えているだろうか。そう、7人の魔導師が”いた“のだ。過去に。
暴食を除いた7大罪魔導師も暴食に興味を持ち、色々探り、ついに辿り着いた。
そして暴食に喰われたのだ。
暴食の事を探り、辿り着いたやつは両手の指では足りない程いたのだ。
死霊使いディゼール・オーダー、聖者シャサール・ラヴァー、予言者フェロット・マスカルピス等、こいつらはそのほんの一部でしか無い。だがこいつらも世界で7大罪魔導師達の次に強いと言われた魔術師だった。
それでも奴は喰ってしまう。
なんだろうが喰ってしまう。
例え神でも奴なら喰ってしまうだろう。
強者達が喰われていって段々と裏の世界に1つ、暗黙の条件が出来た。
暴食に手を出すな。
そうして裏の世界で暴食は絶対の存在へとなったのだった。
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「ふふぁ〜、あぁ寝み」
そんなことを言いながら1人の青年が廃墟街を歩く。
黒い廃れたローブを身に纏いブーツの踵を鳴らしながら歩いていた。
この青年はおかしい。なぜか銃弾が飛び交う廃墟街を欠伸しながらゆったりと歩いてるなんておかしい。その青年のおかしなとこはそれだけじゃ無い。青年の周りを覆う黒く薄い靄のようなもの。その現象もおかしいがさらにおかしいのは飛んできた銃弾が靄に当たった瞬間消えるのだ。
又銃弾が飛んできたがやはり靄に当たった消えてしまう。青年には1発とも当たらないのだ。
「あぁ〜まじぃ。鉄不味い。もうちょい魔力を帯びた鉄ならマシなんだがなぁ」
「な、なんなんだよ。なんで銃弾が効かないんだよ!」
武装した男が自分の持つ機関銃を手当たり次第にぶっ放す。
だが、その銃弾は青年に当たる前に消えてしまう。
「此処なら躊躇わず喰っていいと思ってきたのにあんまうまそうな奴いねぇなぁ」
この廃墟街はあるテロ組織の隠れ家があるのだ。そしておかしな青年を撃っているのがその組織のボスといえる存在だ。
何故、その組織のボスが直々に攻撃をしているかというと、ボス以外にこの青年を殺す存在がいないからだ。
それもそのはず。その組織のメンバーは既にこの青年に喰われているからだ。
「い、嫌だ…、くるなぁぁぁぁああ"あ"あぁああぁぁ…」
そしてそのボスもついに喰われてしまった。
「今回もハズレだな。どっかに何かすげぇ美味いもんないかなぁ」
そう青年がぼやいた瞬間、
「っつ、何だこの魔力の揺らぎ…」
青年の周囲の魔力が揺らいだ。
「あ〜、こりゃ呼ばれてんのか。異世界ねぇ。美味いもんあるといいがなぁ」
そう言葉を残して光に包まれた青年の姿が消えた。
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「さぁ皆さん、今日は従魔召喚の儀をします。HR終了後儀式の間に集まってください」
『はい』
此処はテュリアモナスと言う世界にある第7魔導学園、通称第7の学園の|エプタ・シックス(6年7組)である。
この学園では先に組を言い後に学年を言う仕組みになっている。全クラスで49クラスあり1学年7組あって、それが7学年までつずいている。ワン(1年)に5.6歳、ツー(2年)に7.8歳、スリー(3年)に9.10歳、フォー(4年)に11.12歳、ファイブ(5年)に13.14歳、シックス(6年)に15.16歳、セブン(7年)に17.18歳の生徒が在籍していて、
テュリアモナスには第1から第7までの魔導学園があり、セブンスはヴェーチェル王国にある。
そして今日エプタ・シックスでは従魔召喚の儀と言うものが執り行われる。魔導学園在住の生徒はシックスになると従魔召喚の儀をして、自分の相方となる従魔と残りの4年間を過ごすことになる。
「おーいルナリス。お前本気で召喚の儀する気かよ〜。絶対お前じゃ無理だから恥かかないよう辞退したほうがいいんじゃねぇかぁ?ギャハハハハ!」
「本当よねぇ。恥かくだけなのによくこれたよねぇ」
「……」
「おいおい黙ってないでなんか言ってみろよぉ〜ププッ」
今一部のクラスメートから嘲笑われている白髪の髪に頭とお尻から狐の耳尻尾を生やしておる少女、ルナリスは生まれつき魔力流操作障害を携わっている。
魔力流操作障害とはこの世界に生まれた者が必ず持っていると言われる魔力を自分の意思で操作することができなくなる障害だ。身体中に張り巡らされている魔力回路に不自然な魔力が流れ魔力回路の一部を塞いでしまい、魔力流が乱れ操作することができなくなるのだ。そのせいでルナリスは魔法を使うことができないまま学校に入学することになったのだ。
それをワンの頃から色んな人に弄られ笑わられながらシックスになったのだ。
魔導学園には魔法が苦手でも知識を学び、大人になった時国に貢献してもらうため義務教育となっているのだ。魔力流操作障害のルナリスもそれに当てはまり入学することになったのだ。
私をイジメている連中が高笑いしながら出て行くと、そのイジメをよく思っていないけど声をかけられずにいたグループが私の事を元気付かせながら教室を出て行く。
それとすれ違うように1人の女子生徒が教室に駆け込んできた。
「ルナ!さっきワイド達が下品な笑い方しながら歩いてたけどもしかして何か言われた⁉︎」
ワイドとはさっきルナリスを笑ってたグループのリーダー的存在だ。
「…ノワール」
駆け込んできた少女、ノワールはルナリスの親友で赤髪を持ち学園の中でもかなり上位に入る実力者だ。何時もは彼女がそばにいるためワイド達は表立ってイジメることができないのだ。
「ありがと、いつも心配してくれて。ノワールがいつも守ってくれるから大丈夫だよ。それなのにいつまで経っても自分のことさえ守れないなんてね。迷惑かけてごめんね」
「ルナは悪くないよ!なりたくてそうなったんじゃないんだから自分を悪く思っちゃダメなんだよ。それに迷惑だなんて思ってるわけないじゃん。私達親友でしょ?」
「…うん。ありがとノワール」
「いいって。それより早く行こ!授業始まっちゃうよ!」
「うん!」
私はノワールが差し出した手を握りノワールに引っ張られながら教室を後にした。
「此れからランキングでの上位者から召喚の儀を行います。ではクラス内で最も高い、6位ノワール・レイシア。前に」
召喚の儀を担当する男性の先生がノワールを呼ぶ。
「はい」
ノワールは学園内でのランキングで6位の実力を持つ。
ランキングとは魔導学園でフォーから参加することになる魔武決闘大会での順位の事だ。ルナリスは魔法が使えないがこれは規則なので出場することになっている。フォーからセブンで魔法が使えない者はルナリスしかい。魔武決闘大会では魔法以外の剣や斧などの武器も使ってもいい。だが武器を使うものでも身体強化魔法ぐらいは使えるため、剣が使えるがすべての魔法を使うことができないルナリスは必然的に最下位となる。
床に描かれている魔法陣の中央部分に立つ。ノワールは魔法使いタイプなので自分の杖を掲げる。そしていよいよ召喚の儀を行う詠唱を始める。
『大地よ空よ。今、我が血と魔力を対価に、異界の地へ道を開かん。我が呼びかけに応え主人の元に馳せ参じよ』
ノワールが懐からナイフを取り出し左手首を切りつけ魔法陣の中心へとかなりの量の血を垂らす。召喚の儀には自分の血と血に混じる魔力を代償に従魔を呼び出す。その為魔力を使えないが魔力を持っているルナリスでも召喚の儀を行うことができる。
『召喚の儀。承認せよ、我が名はノワール』
ノワールが詠唱を終了した瞬間魔法陣が赤く光り出す。その中央部分に立つノワールは、その美貌に拍車がかかり神聖さを醸し出す。
「…ノワール。すごく綺麗…」
すると魔法陣の中心の空間に切れ目が入ったと思ったら、その切れ目が割れ始め中から炎が噴き出してきた。その炎が強まって行くと切れ目の中に何かのシルエットが見えてくる。
シルエットはだんだんと大きくなり輪郭がだいぶわかるようになってくる。
『っつ!』
みんなが息を飲んだのがわかる。
それは当たり前と言って良いだろう。何せ中から出てきたものは、額に従魔の紋をつけ赤く輝く鱗を持ち、その大きな顎門から炎を吐き出す。瞳孔は縦に割れ巨大な翼と鋭利な牙と爪を持つ、
《レッドレッサードラゴン》だったのだ。
レッサードラゴンとはドラゴンより小さくドラゴンの劣化版のようなものだだ。ドラゴンという種の親戚のようなもので魔物の中では中の上といったレベルだ。
だがそれでも召喚の儀でレッドレッサードラゴンレベルの魔物のを召喚することは難しいだろう。
王宮魔術師団の中には本物のドラゴンを召喚する者がいると言うが、王宮魔術師団には入れる者は天才より天才と言われるほどなのだ。
それより劣るが十分凄いと言っていいレベルだろう。
「す、すっげぇ。ドラゴンだよ。でも少し小さいからレッサードラゴンか?それだとしてもすげぇよ」
「キャーーすごい!ノワールすごいわぁ!」
等クラスメイトも盛り上がる。
「いやぁ、さすがだねレイシア。まさかレッサードラゴンを呼び出すとは予想だにしなかったよ」
担当の先生もノワールを褒める。
「ありがとうございます先生」
その後ノワールはレッサードラゴンを後ろに引き連れ微笑みながらルナリスの元に戻る。
「おかえりノワール。それにしてもすごいねレッサードラゴンを召喚するなんて」
「私も驚いとよぉ。自信はあったけどまさかレッサードラゴンだなんてね」
「ノワールその子の名前もう決めたの?」
「うん!この子の名前はバーンっていうんだ」
「バーンか。いいね、かっこいいと思う!」
「ありがと!」
その後も召喚の儀は続き、一つ目悪魔、フレイムキャット、シャドーデビル、オーガ等色んな魔物が出てきたがやはりノワールを超えるものはいなかった。
そしてついにルナリスの番がやってきた。
「おいおい次はルナリスかよ。本当に召喚できんのかぁ?ギヒヒヒ」
ワイドが冷やかしてくる。
「うるさいわよワイド!」
「うっ」
ノワールの一言にワイドはおし黙る。
「ルナ、気にしないで頑張って!」
ノワールが応援してくれる。ワイドグループは何も言わなくなったがニヤニヤしながらルナリスを見ている。それ以外のクラスメイトは何も言わないが頑張ってという視線を送ってくる。
ルナリスは気合を入れつつ前に出る。
「それでは最後にルナリス。始めろ」
担任の「始めろ」と言う声を聞き魔法陣の中央に歩いていく。
緊張して手汗を沢山かきうるさいほど鳴る鼓動を深呼吸して落ち着かせる。
そして詠唱に入る。
『大地よ空よ。今、我が血と魔力を対価に、異界の地へ道を開かん。我が呼びかけに応え主人の元に馳せ参じよ』
ナイフを取り出し左手首に当てて引く。左手首に走る痛みを無視し魔法陣へと血を垂らす。
『召喚の儀。承認せよ。我が名はルナリス』
詠唱が終了した直後、魔法陣内に黒い靄が立ち上る。それは段々と濃くなりルナリスがギリギリ見える程の濃さになる。するとその靄が段々と渦を巻き始めながら中心に集まって行く。その時儀式の間に強い突風が吹き荒れる。
「な、なんだこれ!」
「…すごい風」
その黒い靄は中心に集まり繭のような形になり風が吹き止む。すると繭なひびが入り繭が崩れた瞬間、その繭の中から先ほどよりも強い突風を吹き出す。
みんなが突風に煽られたおれているその中で、何故かルナリスだけは立っていた。
ルナリスは見ていた。黒い繭の中から黒髪黒眼の青年が出てくるとこを。
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光がやみ、光のせいでボヤけた視界が段々とと元に戻っていく。
視界が回復し始めに見えたのは白い狐の耳だった。
(白い狐耳?その下には白い髪の女の子?ん?こいつ……)
今俺の目の前に立っている何故か狐耳を生やした白い少女はぼーっとしながら俺を見ている。
(ん〜。この状況で分かるのはこの子が俺を呼び出した人か。それにしてもこの匂い……)
改めて周囲を確認する。
自分の足元には幾何学模様の図形が描かれている。
(これが召喚陣だろうな)
その中央に俺と少女は立っている。
召喚陣の外には色々な魔物と倒れた人間やこれまた獣耳を生やした奴がたおれている。
(あの魔物達はそこの倒れてる奴らの従魔ってとこか。何故倒れてるのかわわからんが考えるにこいつらは召喚の儀をしてた最中ってとこだな。魔物と倒れている奴らの数は1人倒れてる方が多いな。そいつは大人っぽいからこの召喚の儀の監督ってとこか)
自分であらかた予想をつけ答えを知るため目の前に立っている多分主に話しかける。
「すまない。呆然としておるとこ悪いが今召喚の儀をしていて君が俺の主でいいのか?」
狐耳少女は未だぼーっとしている。
「そろそろ起きろ。俺は現状の説明を求めたい」
少女の頬をつつきながら再度問いただす。
「はっ!」
やっと少女が起きた。
「すまないが現状の説明を頼む」
「だ、誰ですか?」
「誰だって、君が俺を呼んだのだろう」
「わ、私が貴方を呼んだ?」
「そうじゃないのか?」
「え、じゃ、じゃぁ貴方が私の従魔?」
「そっおゆう事になのだろう」
「……」
少女が黙る。
その間に倒れてた奴が起き始める。
「いてて、ん?おい、ルナリスそいつは誰だ?」
大人の教師風な男が喋る。ルナリスと言うのはこの狐耳の少女の名前だろう。
「せ、先生…」
ルナリスと思われる少女が教師風な男に向かって先生と言う。
(どうやら教師風ではなく教師のようだ。だったら周りのは生徒か)
「あ、あのですね。この人が私の従魔のようなんです……」
「何を馬鹿なことを…っつ、本当に従魔の紋が付いている…」
その周りの生徒も何が何だかわからないようにざわつく。
その中から、
「ぷっ、プギャハハハハハハハ!なんだよなんだよ大袈裟な出方をするもんだから何が出てくんだと身構えたが、ぷ、ぷふっ、まさかまさかそんなひょろっちぃ男が出てくるとわな!ギヒヒヒヒ、あ〜腹痛い。さすがルナリスだなぁ〜」
と、言いながら1人の男子生徒が大声で笑いながら喋る。
それを機に数人の生徒が一気に笑い出す。
「おいおいまじかよあいつ人間呼びやがったよ。ぷふっ。だっせぇ」
「本当ですねぇ、やっぱルナリスですもんねぇ」
「ルナリス程度じゃこれが限界かぁ。ふふっ」
生徒のうち半分ほどが狐耳の少女、ルナリスの事を嘲笑う。
もう半分は少し哀れむような視線を俺とルナリスに向けてくる。
「貴方達!黙りなさい!」
生徒の中の1人の女子生徒が嘲笑っている生徒に対して怒鳴る。
するとその生徒達はビクッと怯えるように黙る。
「な、なんだよ!本当のことだろう!」
男子生徒がどもりながら言い返す。
(この様子だとあの女子生徒が1番強いってとこか。ま、そっちはどうでもいいし俺の多分主の狐耳の少女に事情を聴くか)
俺の隣で悲しそうな表情をする少女に話しかける。
「なぁ狐耳の君。君の名前はルナリスであってるか?」
「え?えぇ、はい」
少女はビクッとして俺を見上げる。
少女の目は少し潤んで涙目になっていた。何故だ?
「なぁ君」
「あ、あの、ルナリスで、いいです…」
「分かった。ルナリスは何故そんな泣きそうな顔をしているんだ?」
「え、そ、それは。…私、魔力流操作障害で魔法が使えないんです…。それで今まで虐められていていつもノワールが、あの怒ってる女の子が守ってくれてたんです。それで今回の召喚の儀は魔力操作が必要なく、私も出来て強くなれるかもしれない機械だったんですけど……」
魔力流操作障害ねぇ…
「やってみると出てきたのはこんなひょろい男だった、と」
「……すみません」
「いや、構わないさ。自分でも見た目は強そうに見えないことぐらい気づいてるしな」
「魔物を召喚するつもりがまさか人を召喚してしまうとは……。勝手に連れてきてしまいすみません…」
「いや、いいさ。丁度俺の目的似合いそうなものを見つけたから」
「目的?」
「俺は美味いものを探しているんだ」
「美味しいものを?見つけたってことは此処にあるんですか?」
「まぁな。だけどその前にその美味いもんがもっと美味くなるために手を加えないとな」
そう言って俺はルナリスの頬に手を当てる。
「な、なんですか!」
ルナリスは頬を真っ赤に染めながら俺の手から逃げる。
「急に何を……。あれ?なんか体がポカポカする…」
それを見届け俺は先程の男子生徒に近づく。
「な、どこに行くんです⁉︎」
ルナリスが後ろから付いてくる。
俺は構わず男子生徒に近づく。そして、
「おい餓鬼」
と、言う。
「な!何してんですか貴方わ!」
「お、おい。今お前俺のことを餓鬼と言ったか?」
「なんだ。言葉がわかんねぇのか餓鬼」
「てんめぇ。俺は餓鬼じゃねぇ!ふざけんなよてめぇも俺ととしかわんねぇだろぉが!」
「何言ってやがんだ餓鬼が。俺はこれでも348歳だ」
「はぁ?バカ言ってんじゃねぇよ。エルフでもねぇ人間がそんなにいけれるわけねぇだろぉが。バカじゃねぇの」
「バカは貴様だ。餓鬼」
「俺様が馬鹿だと!それに餓鬼じゃねぇ!」
「俺から見りゃ十分餓鬼だろお前」
「てめぇさっきから餓鬼餓鬼言いやがって…。雑魚のくせに調子乗った事思い知らせてやる!」
そう言って男子生徒が制服の中から手袋を出し俺に向けて投げつけてきた。
「ちょっと何してるの!って決闘⁉︎」
ルナリスが後ろからそんなことを言ってきた。
「なんだこれ」
俺は足元には落ちた手袋を拾い上げる。
その時生徒達がざわつき始めた。
「な!なんで拾ってんの!」
「ん?何かいけなかったのか?」
「何かって…。投げつけられた手袋を拾うってことは決闘を受けるって意味なの!」
「へぇ。んじゃ俺は決闘を受けたのか」
「貴方じゃなくて私が受けることになるの!」
「なんでだ?俺が拾ったろ」
「従魔が拾った場合その主人が決闘を受けるってことになるの!」
「んじゃ俺の主のルナリスが受けんのか」
「なんでそんなに冷静なの!絶対負けるよ……。ワイドには勝てないよ……」
そうルナリスと話しているとワイドと呼ばれる男子生徒が声をあげて話しかけてきた。
「おい、ルナリスの従魔!決闘は明日の昼、勝負内容は主人と従魔のタッグで勝負だ!勝利判定は相手に負けを認めさせることだ!いいな!」
「あぁ。わかった」
「なんで頷いてるの!」
「ふんっ。俺を餓鬼って言ったこと後悔させてやる!」
そう言ってワイドは取り巻きと従魔を連れて儀式の間を出て行った。
「あぁ。なんてことしてくれたのよ!私明日死んじゃう……」
「死なせねぇよ。……やっと見つけたご馳走をそう易々見逃すか。348年間探してようやく見つけたご馳走だ。それが更に美味そうになるのチャンス見逃すか……」
「今何か言った?」
「いんや何も」
「おいルナの従魔!なにルナを危険に晒してるのよ!」
「…誰だ?」
「ルナの親友のノワールよ!」
「そうか」
「そうかじゃないわよ……。決闘は受けてしまったら断れないわ…。貴方明日は絶対にルナを守りなさいよ!あなたが撒いた種なんだから!」
「当たり前だ」
「なんでそんな冷静なのよ…。あぁ私どうしたら……」
「もうしょうがないわ。ルナ、明日は危ないと思ったらすぐ降参しなさいよ」
「うん……」
それでその召喚の儀は終わりを迎えた。