表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちくわ探偵【連載版】  作者: 堀吉 蔵人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/12

【ちくわ探偵】怪盗カニかまの赤い罠


大鍋(おおなべ)グランドホテル の最上階。今夜、この街の至宝である『深紅(しんく)の最高級イクラ』のオークションが開催されていた。

だが、会場の空気は張り詰めている。なぜなら、あの男から予告状が届いたからだ。

『今宵、最高の出汁が煮立つ頃、深紅(しんく)の至宝をいただきに参上する。――怪盗カニかま』

「ふん、出たな偽物のカリスマ(カニかま)め」

会場の隅で、琥珀色(こはくいろ)の外套を小粋にまとった私――ちくわ探偵は、自身の胸の空洞を通り抜ける夜風を感じていた。

「ちくわ探偵! 来てくれたのか!」

主催者の「高級大根」氏が、出汁を滴らせながら駆け寄ってくる。

「警備は万全だ。だが奴は、本物のカニに擬態して警備の目を欺く名手。どうか奴の正体を見破ってくれ!」

その時、会場の照明が突然消えた。

「キャーッ!」

白滝さんたちの悲鳴が響く。数秒後、非常電源が立ち上がると――展示ケースは粉々に割れ、イクラは消え去っていた。代わりに残されていたのは、一枚の赤いカード。

「フハハハ! 至宝(イクラ)は確かにいただいた!」

見上げれば、シャンデリアの上に立つ人影。赤と白のスタイリッシュなマントを翻す美男子――怪盗カニかまである。

「待て、カニかま!」

私が叫ぶと、怪盗は不敵に笑った。

「遅いよ、ちくわ探偵。私の華麗なステップに、君のその空っぽな身体では追いつけまい!」

怪盗カニかまが窓から飛び降りようとした、その瞬間。

私は懐から、ある「特殊な武器」を取り出し、全力で彼の足元へ投げつけた。

ドスッ……!

床に突き刺さったのは、怪しく光る一本の「(かま)」だった。

ただの鎌ではない。その刃の根元には、禍々しくも巨大な「カニのハサミ」ががっちりと取り付けられている。

「な、なんだこの不気味な武器は!? カニのハサミがついた(かま)……?」

足を止めた怪盗カニかまが、驚愕してそれを凝視する。その一瞬の隙を見逃さず、警備の巾着餅たちが奴を取り押さえた。

「くそっ、離せ! ……おい、ちくわ探偵! なぜ大事な捕物帳の最中に、こんな奇怪な(かま)を投げたんだ!?」

捕らえられた怪盗が悔しげに叫ぶ。会場の誰もが、なぜ探偵がそんなものを用意していたのか分からず首を傾げた。

私はフッ……と自嘲気味に微笑み、自分の空洞に右手を当ててビシッと怪盗を指差した。

「怪盗カニかま。私が投げたのは、カニのハサミがついた(かま)。……そう、『カニの(かま)(カニ・(かま))』。

――カニかまだけに。」

「「…………」」

「「…………」」

オークション会場に、本日一番の納得と、それ以上の静寂が訪れた。

高級大根氏の面取りされた角が、「なるほど……」と言いたげに深く頷く。

「……おい、さっきの『血鍬ちくわ』よりはるかに分かりやすいが、やっぱり語呂合わせのためだけにその物騒な武器を特注したのか?」

「カニのハサミを(かま)に合成する手間を、もっと別の捜査に回せよ……」

呆れ果てる一同を余所に、私は窓を開け、夜の出汁の街へと飛び降りた。

胸の空洞を、夜風が冷たく通り抜けていく。

私の名は、ちくわ探偵。

ダジャレのためなら、鍛冶屋に特殊武器の発注をも辞さない、孤独な練り物である。

(完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おい、へんな連載はじまってるんだがwww
これどうやって連載していくんだwww 捕まっちまったじゃねーかよ、カニかま
まさかの新連載!? そして出オチのカニカマでどうやって今後カニ推し活動をしていくのか!? 乞うご期待!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ