第12話(5) フィナーレですわ!全員脱ぐの?
⑤ I Will Survive、全員合唱
遥が、凜花、恵美とアンヌに、「ねぇ~、みなさん、『この演出でやれ』って、真理子にこの演技の紙を渡されたけど、みんな……ほんっとに、これやるんですか?やるんですか?……もう、みなさん、お嫁にいけなくなりますよ!」
「……悠馬が見たいというなら……」
「ぼくは……凜花がやりたいなら……」
「悠馬が見たいなら……」
「おい!二人、ジャレつくんじゃない!」と恵美がアンヌの方を向いて、「アンヌ、あんた、これ、やるの?え?」
「まあ、あれだけさらけ出したら、私は、別にもう白の綿パンを脱ぐわけじゃなし、いいわよ、やっても」
「……もう、良いかぁ、どうでも……お嫁に行けるかどうかもわからないし……アラサーの色気で聴衆をぶっ殺すか?」
それを聞いていた真理子が、「みなさんだけとは言いませんことよ。私はもっとやりますからね!よろしいわね?以上」
《《演奏開始》》
ステージは一瞬、真っ暗になった。1500人の観客が息を潜める。
ゆっくりと、恵美のピアノだけが静かに響き始めた。Jennel Garciaのカバーのように、切なくシンプルな音色が会場を包む。
スポットライトが五人を優しく照らし出す。
全員が円陣を組んだまま、ステージ中央に立っていた。
衣装はこれまでのまま。凜花と遥は陸上部ハイレグユニフォーム、恵美とアンヌは女子高生制服、真理子は新体操の純白ボディースーツ。
汗で光る肌と、ハイレグのラインがライトに映える。
イントロが静かに始まる。恵美のピアノが、切なく響き続ける。五人が円陣を解き、ゆっくりと観客に向かって一列に並んだ。
真理子が最初に歌い出す。
「At first I was afraid…… I was petrified……」
彼女の声は低く震え、まるで本当の失恋を語るように。
ボディースーツの肩紐に指をかけ、ゆっくりと下ろし始めた。
白い肌が露わになり、観客の息が止まる。
Aメロ、「告白」の儀式
凜花が続きを歌う。
「Kept thinking I could never live without him by my side……」
彼女は女子高生制服のスカートを両手で持ち上げ、ゆっくりと捲り上げた。白いハイレグショーツが完全に晒される。凜花の頰が赤く染まり、声が少し震える。
遥も同じく、陸上部ユニフォームのショーツを指で摘まみ、下ろし始める。黒いTバックが露わになり、汗で光る太腿がライトに妖しく映える。
恵美は座ったままスカートを捲り上げ、赤いシルクTバックを晒す。
アンヌは無表情のままスカートを脱ぎ、白の綿パンを堂々と見せた。
観客は静かに、しかし息を詰めて見つめる。
スマホのフラッシュが控えめに光り、誰もがこの「告白」の儀式に引き込まれていた。
サビ前、決意の瞬間
真理子が声を張り上げた。
「But then I spent so many nights thinking how you did me wrong……」
彼女はボディースーツのファスナーを下ろし、肩から完全に脱ぎ捨てた。
純白のハイレグ下着だけになり、観客に向かって両手を広げる。
五人が一斉に動き出す。
凜花と遥はショーツを完全に下ろし、Tバックだけに。
恵美とアンヌは下着だけになり、ハイソックスを残して立つ。
全員がパンツ(または下着)一枚の姿で、観客に向かって一列に並んだ。
サビ、再生の叫び
五人が声を合わせて大合唱した。
「I will survive…… I will survive……」
真理子がマイクスタンドを倒し、みんなでそれを囲むように踊り始める。
汗だくの裸体に近い姿で、激しく腰を振り、両手を天に掲げる。
「Go on now, go! Walk out the door!」の部分で、五人が一斉に観客に向かって手を差し伸べるポーズ。
最後の「I will survive!」を長く伸ばし、真理子が叫んだ。
「あんたたちも、生き残るのよ!」
照明が一気に明るくなり、五人が汗だくで並ぶ姿が、再生の象徴として輝いた。
演奏終了。
会場は爆発的な拍手と歓声に包まれた。
総立ちの観客が「生き残った!」「最高!」と叫び、スマホのフラッシュが星空のように瞬く。
五人は息を切らしながら、互いに肩を組み、深々とお辞儀をした。
凜花がマイクを握り、小さく呟いた。
「……本当に、生き残った……悠馬、これでも、お嫁にもらってくれる?」
⑥ The Köln Concert
会場からは、アンコールの声と拍手の大歓声が鳴り止まない。
ステージ袖で真理子が扇子をパタパタと扇ぎながら、みんなを急かした。
「みんな……最後は、黒のゴスロリよぉ~!着替え急いで!」
四人は慌てて黒のゴスロリドレスに着替えた。フリルとレースが重なり、ヘッドドレスを整える。
真理子はため息をつきながら言った。「あら、でも、何をやろうかしら?もう、演出のネタも尽きたわねえ~」遥は内心で思った。これだけやれば十分じゃん……。
そこに、恵美が真理子に耳打ちした。
「真理子、私のわがまま、聞いてくれる?」
「良いわよぉ、ダメ押しの強烈なヤツぅ~?」
「いいえ……ピアノソロだけど……」
「良いんじゃない?何?」
「The Köln Concert Part I, Keith Jarrett」
真理子は少し目を丸くした。
「渋いわねぇ~。このアンコールに答えられる自信がお有り?」
「……私の死んだ友達へのレクイエム。でも……真理子にアイデアがあるなら……」
「……超意外な選曲ね。でも、『アルファ』との契約は60分以内。『The Köln Concert Part I』は30分弱じゃなかった?」
「Part Iの原曲の8分ぐらいから、20分までを編曲でアレンジしてすっ飛ばす。それで、最後の21分になだれ込ませて10分プラスでまとめられるわ」
「そっか、思い入れがあるみたいね?佐藤さんがどう思うか知らないけど、どうぞ、存分におやりになってぇ~」
真理子が「みんな……」と言って、凜花、遥、アンヌに立ち位置を指示した。
ステージは再び暗転。
恵美だけがグランドピアノの前に座り、スポットライトが彼女を照らす。
他の四人は、観客から見える右の舞台袖に立った。
全員黒のゴスロリで、神殿巫女のように何もせずに立ち尽くす。
視線は観客席の空中を見て、無表情に目を見開いている。両手は胸の前で交差している。
恵美の左手が、低く反復するベースラインを奏で始めた。
A音が静かに響き、深く沈むような重さで会場を満たす。
右手がゆっくりとアルペジオを紡ぎ出す。音の粒が水面に落ちるように広がり、静かな波紋を呼ぶ。
左手は同じフレーズを繰り返し、執拗に低音を刻む。
右手が徐々に旋律を探し始め、同じモチーフが何度も回る。
やがて、突然、和音が大きく開いた。
豊かな響きが会場を包み、残響が天井まで届く。
恵美は感情を抑えながらも、指先が鍵盤に沈むたびに、微かな震えを帯びていた。
原曲から飛ばし展開を凝縮して、最後の情熱的なクライマックスへなだれ込む。
左手が激しく低音を叩きつけ、右手が高速のアルペジオと和音の奔流を繰り出す。
音の奔流が頂点に達し、しかし決して崩れず、徐々に穏やかで美しいイ長調の響きへと収束していく。
右手が高音域の和音を優しく奏で、左手が最後のAの音を静かに響かせた。
豊かな残響が会場に広がり、ゆっくりと消えていった。
恵美は立ち上がり、四人の傍へ歩み寄った。
五人は観客席を見下ろし、恵美が静かに微笑んだ。
深くお辞儀をする五人。
照明が徐々に暗くなり、頭を下げたままだった。
聴衆は、盛大な拍手で応えた。
緞帳がゆっくりと下り、コンサートは静かに終わった。
《《明美?》》
まあ、アラサーでも受けたわよね、アンヌ~!という声援も多かったわ。でも……
ケルン・コンサートの余韻は、まだ会場全体に残っていた。1500人の観客が帰りそびれ、拍手が何度も波のように戻ってくる。最後のピアノ曲が、あまりにも静かで、あまりにも重かったせいだろう。
誰もが「あの曲は何を言いたかったんだろう?」と首を傾げながら、立ち去れないでいる。
私も同じだった。あの残響は、まだ胸の奥に沈んでいる。
私はステージ袖の暗がりに立っていた。
真理子が、珍しく客席の方をじっと見つめている。
普通の真理子なら、こんなところで観客の反応など興味などないはずなのに。
彼女は悠馬を呼び寄せ、小声で話しかけていた。
【注意・免責事項】
※本作に登場するすべてのキャラクターは18歳以上です。
※制服・学生風衣装・部活動ユニフォーム等の描写は、すべて演出上のコスプレ要素であり、現実の未成年を描写したものではありません。
※本作に登場する事件・設定・団体等はすべてフィクションであり、実在のものとは一切関係ありません。
※第4章以降では、過去の出来事や医療・倫理に関する重いテーマが語られますが、描写は簡潔に留めています。
※性的・暴力的要素を一部含みますが、過度に詳細な描写は行っていません。
※本作は特定の思想・行為を推奨するものではありません。
※苦手な方は該当章の閲覧をお控えください。
※飲酒・喫煙の描写が含まれます。
【新宿コンサートの楽曲 1】
① Don't Stop Believin'、悠馬+凜花
Arsenal & Various Artists - Don't Stop Believin' ("Rock of Ages")
https://youtu.be/oIIXA1I8pg4
② 残酷な天使のテーゼ、遥のソロ
『残酷な天使のテーゼ』/後藤真希が歌ってみた
https://youtu.be/0Pz9kQv9XrE
BABYMETAL SU METAL 魂のルフラン
https://youtu.be/8NVdK6GRTP8
【新宿コンサートの楽曲 2】
③ Eye of the Tiger、バンド紹介曲、ウクレレ、真理子
Best "Eye of the Tiger" Cover Ever?!
https://youtu.be/acXjUPrZ9Pk?list=RDGMEM6ijAnFTG9nX1G-kbWBUCJAVMacXjUPrZ9Pk
④ I Don't Want to Miss a Thing、悠馬+凜花
I Don't Want To Miss A Thing - Aerosmith (Jennel Garcia ft. Boyce Avenue cover) - Aerosmith Cover
https://youtu.be/QQps-I4xCFY
⑤ I Will Survive、全員合唱
I Will Survive - Gloria Gaynor (Jennel Garcia piano cover) on Spotify & Apple
https://youtu.be/u1ii9CSyEgk?list=RDGMEMpBkrRsgmbnoWVzfUhAA61gVMu1ii9CSyEgk
⑥ Keith Jarrett
The Köln Concert [Full Album 1975]
https://youtu.be/skkiVoI7sBk




