第7回
埼玉文学賞落選作品(笑)
ー「2人でこのまま逃げちゃったらどうなるかな〜?」
同窓会が終わり、二次会の会場であるカラオケBOXへと向かう路上で、白矢風月は小悪魔的な笑顔で、突然、私にそう言い放った。
「...え?」
私達2人は集団の最後尾を歩いていた。立ち止まっている私達を誰も気づく事なく、前を歩いていた友人達との距離は離れていく一方だった。
「あっ!」
その時、前方を歩く友人達を気にしていた私の左腕が何かの力で強く引っ張られた。
「早く!」
その強い力の正体は、白矢風月の左手だった。私はその力の方向に引き寄せられるかのように駆け出した。逆方向を歩く友人達の姿は次第に遠ざかり、閉鎖されている銀行を私達が右側に曲がった際、それは完全に見えなくなった。
その場所に設置されていた一つのジュースの自動販売機の明かりに照らされながら、私達は乱れた息を整えていた。
「ハハッ」
私はその状況が急におかしくなり、思わず笑いをこぼしてしまっていた。
「フフフッ」
そんな私を見て、今度は白矢風月も笑いをこぼした。そしてその笑顔の分だけ、それは白い形のある物として中空を舞った。1月の夜の街は、とても寒かった。
「おかしいね」と白矢風月。
「おかしいよ」
私はそう返しながら、未だ残る白矢風月の左手の感触を気にしていた。
第8回へ続く...




