騎士、雪まつり。
あっという間に雪まつり当日である!
ルウイさんは、見回りのためにお弁当を持って朝早く出かけていった。
私も家事をしてから、雪まつりにいこうと用意をする。
今日は差し入れとして、木の実が入ったケーキを持っていく。秋にルウイさんと拾った木の実だぜ。長持ちするから便利なんだよね。
まだ昼間だけど、すでに薄暗い。
緯度だか、経度のせいだって分かってるけど・・、前世の理科の授業内容忘れちゃったなぁ〜。そんな事を考えながらサクサクと雪道を歩いていると・・
「嬢ちゃん!これから街に行くのか?」
・・・あれ〜?この声は、本来ここにいるべきじゃない人じゃないか?
そろっと振り返ると、クレオさんが厚手のコートを着てこちらへ歩いてくる。
「・・こんにちは・・、先日はどうも」
「あっは!警戒してる〜!大丈夫だよ、怖くないよ?」
「・・・・そうですね、今日はからかってますね・・」
私がジトっと横目でクレオさんを見ると、可笑しそうに笑う。・・うん、やっぱり少年っぽい顔だ。クレオさんは、ニコニコ笑いながら・・、
「ルドと奴隷契約してるんだろ?なんでって聞いてもいい?」
「・・こちらへ来た時、奴隷にはなっていましたが、契約していなかったからです。そのままではルウイさんは危険だし、最短で安全に人間としての生活を取り戻せるように契約したんです。私を傷つける以外は、全部自由ですよ」
スラスラとクレオさんに話すと、ちょっと目を丸くする。
「・・嬢ちゃん、18だっけ?随分詳しいな」
「翻訳の仕事で、奴隷契約については詳しいです・・」
「翻訳の仕事かぁ・・、それにしたって落ち着いてるな」
・・・まぁ、あと私が貴方よりも精神年齢は上だからです。
絶対、言わないけど。
「ルド、いい奴だろ?」
クレオさんの静かな声に、頷くと・・ニコッと笑う。
「・・あいつ、ここが『安らぎの地』って言ってた」
「安らぎの地?」
「今度あいつに聞いてみ?」
ニコニコ笑って、クレオさんがそういうので・・、まぁ、それくらいなら・・と頷く。うーん、警戒した方がいいのか、信用していいのか、微妙だ。
街中へ入ると、お祭りだからか屋台も出てる。
美味しそうな香りに、ワクワクして周囲を見回すと、クレオさんが面白そうに私を見て・・、
「そういう所は、年相応なんだな!」
「・・・私は、一応18ですからね?」
「じゃあ、お嬢ちゃんに何か奢ってやるよ!あれとか美味そうじゃね?」
指差した屋台は、揚げまんじゅう屋さんだ。
あの中に、アンコ・・でなくトロっと煮詰めたお肉が入っている。控えめに言っても大変美味しい。私はクレオさんを見ると、ニヤッと笑って買ってくれた。わーい。ただ飯だー!
熱々の揚げまんじゅうをふうふうと息を吹きかけながら、食べつつ・・街の中心へ歩いていく。
「オシムは、本当面白い街だよなぁ!」
「そういえば、騎士団長さんなのにこんな所に来てて大丈夫なんですか?」
「あ〜、うち副団長が優秀だから!!」
・・副団長さんの苦労がなんか一瞬見えたんだが。
「・・・ほぉ・・?」
曖昧に返事すると、面白そうに笑ったクレオさん・・。
いや、騎士団長って本当に忙しいんじゃないの?
と、カイルが屋台でホットワインを配る仕事を手伝っていて、私を見ると驚いた顔をして手を振る。
「あれ・・??な、なんで・・クレオ騎士・・さん、こちらに?」
「ああ〜、メルクに書類渡しに来たんだ!ギルドにいるか?」
「い、いえ・・、今そちらに・・」
カイルが指差した方を見ると・・、メルクさんは真っ白い毛皮のコートを着てこちらへやってきた。今日はまだ一段とゴージャスですね?!そう思っていると、クレオさんが・・
「うっわ、怪物か・・」
小さく呟くので、私とカイルで同時に吹き出した。
そのメルクさんの後ろにルウイさんもいたけれど、雪まつりだからなの?真っ白い隊服を着て、こちらへやってきたけれど・・、あまりに似合っているし、なんていうか・・まんま、王子様だった。




