騎士、抱きしめる。
『契約者が命令すれば、奴隷が「欲」を持って触れても電撃は放たれない(ホルス国、トリス国、ガル国の奴隷契約以外)』
なんという事でしょう。
国によって、契約内容に差異がやはりありました。
わ〜〜〜、お仕事の参考になるぅ!って思ったけど、思ったけども!!
「なぜ今なんだ・・」
布団を頭から被って、もうすぐお風呂から鼻歌を歌いつつ、出てくるであろうルウイさんの顔がものすごく思い浮かぶ・・。
「絶対!言う!!命令してって、絶対言うじゃないかぁああ!!!」
どうしよう!
いや、絶対言わないけども!?
あの手この手を使ってくる!!ルウイさんのしょんぼり顔に弱いのも、きっと騎士団長様は分かっているであろう!持っているカードを余す事なく使うよ!絶対!
すると、階段を上がってくる足音が聞こえる。
き、来た〜〜〜〜〜〜!!!!
ホラー映画を見ているわけじゃないのに、胸がドキドキする。
こんこんとドアをノックする音が聞こえる。
「トーリ、入っても?」
「だ、ダメです!!!」
「・・奴隷契約の本はどうしますか?」
しまった〜〜!!!カウンターに置いてきた!
しかも!他にも何か書いてあったら、まずいかも?
慌てて来てしまったので、ちゃんと全部読んでなかったし・・、ルウイさんの事だからきっと熟読するだろう・・。
う、うううううう・・・・開けたら終わる。
でも、もし何かまずい事が書いてあったら・・・。
よし!さっと本を受け取って、パッとドアを閉めよう。
気合いを入れて、そっとドアを開けて、閉めるイメトレをする。よっしゃ、バッチリだ!!!
「い、今開けます・・」
そういって開けようとしたら、ルウイさんがガチャっとドアを開けた。
え?なんで開けちゃうの?
ルウイさんは、ものっすごいいい笑顔で私を見つめて部屋へ一歩入ってくる。
ぎゃあ!!ドアが閉められないじゃないか!!!
「な、なんで開けちゃうんですか!??」
「え、本をお返しに来ただけですが・・?」
「す、すっごい嘘だと思います!!!あと、部屋を出て・・」
ルウイさんが、私の顔にギリギリの近さまで近付けて見つめてくる。
思わず、ビクッと体が跳ねる。
「トーリ・・」
ちょっと熱っぽい目でこちらを見てきて、慌てて目を逸らすと・・ルウイさんの首元がちょっと開いていて、奴隷紋がピカピカと光って見える。
それを見ただけで、顔が真っ赤になってしまう。
「抱きしめて欲しいと命令して下さい」
「・・・無理です!!!」
「それでは、手を繋いで欲しいと・・」
「ルウイさん、人間です!!」
無理だよ〜!!
本当に恥ずかしすぎるし、命令は・・できればしたくない・・。
困ったように、ルウイさんの顔を見ると、ちょっと眉を下げて笑う。
「・・・恋人にお願いすると思って・・、お願いします」
「・・・うぅ〜〜〜」
これ・・、普通に恋人がする事じゃないよね?
命令するとかさ。
いや、そもそも普通という世界には生きてないから、これもありなのか?
私の横で理性が肩を叩く。「気にするなよ」っていや待てよ理性!
それをいうのは、横で惰眠貪ってる欲望じゃないのか?お前いい加減だな?って突っ込んでから、ルウイさんを見る。
理性が気にするなって言ったら、仕方ない・・のか?
赤い顔で、ルウイさんを見上げると、嬉しそうに私の言葉を待つルウイさん・・。くそ、覚えてろよ。
「・・・・だ、抱きしめて下さい」
「トーリ!!!」
ルウイさんは、嬉しそうにぎゅっと私を抱き寄せる。
うう、恥ずかしい!!ものすごく恥ずかしい!!
全く今世はなんて展開なんだ!!
命令して触れられるなんて、全くの想定外も想定外だ!!精神年齢50近いのに心臓がもたない!破れる!!
そんなことを考えつつ、ルウイさんを見上げると、ようやく触れ合えて嬉しいのか・・溶けちゃうんじゃない?ってくらい嬉しそうに微笑むから・・、ちょっと何も言えなくなって・・、胸元に顔を寄せて真っ赤な顔を隠した。




