騎士、精進。
ルウイさんは、契約内容を全部知っていた訳ではないらしい。
ただ私を助け出す時、命令されて触れた時に何もなかったので、もしかして・・?と、思い、私が買ってきた奴隷契約の本を見て、確信したらしい。
・・なんという思いつきの良さ。
いや、その力・・もっと別の所に使おうか?
ルウイさんは、私を嬉しそうに抱きしめながら解説してくれたけど・・、恥ずかしいのでそろそろ離して欲しいんですが。
「・・ルウイさん、そろそろ離しましょうか?」
「そうしたら、またしばらくお願いをしてくれない気がして・・」
さすが、よく分かってますね。その通りです。
無言の私を見て、察したのか・・ルウイさんは私を抱きしめる腕の力を緩める気配がない。
「・・・分かりました・・、1日1回で」
「キスですか?」
「・・・ハグです」
「嫌です」
騎士団長様ーーー!!!!
オーウェンさんをここに呼びつけたい。
誰だっけ?控えめって誰だっけ??って、改めて聞き直したい。
ジトっとルウイさんを見て・・、
「今、離さないと一週間、もう絶対何もしません」
「・・・・トーリ・・」
こら、そこ!キューンって鳴く犬みたいな顔をしない!!
はぁ・・っと小さくため息をついて、ちょっと私も抱きしめ返す。ついでに背中も撫でる。ルウイさんは苦しそうな顔をしつつ、そっと腕の力を緩めるので、頭も撫でておく。よしよし、偉いぞ。
ルウイさんは、ちょっと残念そうに笑いつつ私を見つめる。
「・・トーリに常に触れていたいと思って頂けるように、精進いたします」
「ううん??!何も聞こえないな?!」
全力で誤魔化した。
当たり前である。私は、今世はただの・・ド田舎に住む可憐な少女なのだ。可憐ったら可憐なのだ。鳥とか捌いちゃうけどね。
と、玄関から声がする。
「トーリ?大丈夫?」
「あ、キリルの声だ・・、はーい!今行くー!」
ルウイさんが、ちょっと無表情になる。
私としては助かるけれど、ルウイさんは私といたかったのは分かる・・分かるから、ちょっと表情直そうね?
「頭、撫でさせて下さい」
そういうと、ルウイさんの顔がパッと明るくなるので・・、ちょっと優しく撫でてから下へ降りて行く。・・うむ、これで多分大丈夫だ。
キリルは、保護した子が無事だった事と、親御さんがお礼を言ってたことを伝えてくれた。
カウンターの椅子を勧めると、もちろん座った。
「キリルもお仕事帰りだったのに、わざわざありがとう。お茶飲む?」
「飲む〜!今日は、本当に冷え込んで寒かった!!あ、ルドヴィクさんもお疲れ様でした!」
頭を撫でたおかげか?機嫌は良さそうなルウイさんが、キリルに笑いかける。
さっきルウイさんが淹れてくれたお茶を温め直す。
キリルと、ルウイさんには新しく淹れてあげよ。
「もう川も凍りそうだと思ったけど、まだまだだね・・」
「そうだな〜、でも、あと2・3日で凍りそうだよ?山の方の湖は凍ってたし」
「山は寒いからね・・」
スケートが好きな人は、湖まで行って滑ってくる。根性がすごい!!
お茶を受け取ったキリルが私を見て、
「明日には、街の方のスケート場できるんじゃない?カイル作ってたろ?」
「そうだね・・、あそこなら危なくないか・・。ルウイさん、明日お休みですよね?一緒にスケート滑りに行ってみますか?」
ルウイさんは、一も二もなく笑顔で頷く。
小出し・・、小出しで触れる機会を作っておけば、ちょっとは抑えてくれるかな?という、作戦である。自分の命は、自分で守る!!
目指せ、命大事に!!である。
・・横で、「ガンガンいこうぜ」モードのルウイさんに笑いかけられ、私は慌てて目線を逸らすのだった・・・。




