騎士、動く。
「口説いてます」
と、前世でも言われた事のない言葉に驚いて・・、足を止める。
ルウイさんも、私もお互い顔が赤い・・・。
「・・・えっと・・・」
な、なんて答えればいいの?これ・・。
ルウイさんは私の握っている手をちょっとギュッと握って、少し辛そうな顔をする。
「・・・貴方には、好いた方がいるのでしょうけれど・・」
「好いた方・・?」
「・・・その、キリルさんが・・」
なんでそこにキリル??
私は、盛大に疑問符を飛ばしたのだろう。ルウイさんも、あれ?といった顔になる。
あ、そんな顔をすると、20代らしい若者の顔だ。
いや、私は10代だけどね・・。
もしかして・・ルウイさんは、大きな勘違いをしているのではないか??そう思って、ルウイさんを見上げ・・
「・・えっと、キリルは・・」
「ルドヴィクさん!!!」
聞き覚えのある声にハッとして、振り返るとカイルがこちらへ走ってくる。
慌てた様子に、ルウイさんも何かを察したらしい。
「どうしました?」
「ネイトの奴が、店で騒いで・・、行商の人間が勘付いたらしくて、今逃げようとしてます!!キリルと、オーウェンさんが向かって行きました!」
なんつー事を、この短時間でやらかすんだ・・あいつ。頭が痛い・・。ここは結構ギルドの警備隊が強いからいいけど、隣町なんて危ない。やられ放題だ。
ルウイさんは、カイルに「トーリを・・」と言うと、ちらっと私を見る。
「気をつけて下さい!!」
そう言うと、ルウイさんは手をさっとあげて走って行った。
「だ・・、大丈夫かな?」
「大丈夫だろ・・、ルドヴィクさんと、オーウェンさん強いし・・」
「カイルはいかないの?」
「俺は、弱いからなぁ〜」
「・・・あんたね・・」
ギルドでは、メルクさんがネイトさんを叱りつけている真っ最中だと言うので、カイルは私を家まで送ってくれた。なんならついでにお茶までしていった・・。仕事しろよ。
そうして、時間はあっという間に過ぎ・・、
夜も更けてきた。
時計の針を見ては、大して進んでいない時間にちょっとため息をつく。
・・こういう時、何かできる力がないから、もどかしいな。
そう思って、時計を再び見ると、玄関のドアが開く音がする。
パッと立ち上がって、玄関へ走っていくと・・、ルウイさんが入ってきた!あ、良かった。怪我もなさそう・・。
「ルウイさん、お帰りなさい!」
「トーリ、ただいま戻りました」
ルウイさんの明るい顔を見て、解決したのかな?
と、思って側へ行くと・・
突然、ギュッと抱きしめられた。
「・・?る、ルウイさん・・??あの、行商の人は?」
「ああ。すでに幾つか盗みを働いていたので、私達が現行犯で捕まえる事ができました。牢屋に入って貰ってます」
「そっか、それは良かった・・。怪我人は?」
「大丈夫です。誰もいません・・あ、なぜかメルクさんがカイルにゲンコツを・・」
それは身から出た錆かもしれない。
いや、メルクさんには明日にでも、説明はしてあげよう。
流石に送って貰ったし。
「・・じゃあ・・、解決したって事でいいんですか?」
「・・・いいえ」
「え?まだ何かあったんですか?」
慌てて顔を上げると、ルウイさんの手が私の頬をそっと撫でる。
あ、あれ・・・??
ルウイさんが、ちょっと期待に満ちた目をしている・・・?
「貴方を送る際に、聞きたかった事を聞いても?」
あ、そういえば言いかけたね・・。
小さく頷くと、ルウイさんは私をじっと見つめて・・、
「・・・あの、私が貴方の心に住まわせて頂く事はできますか?」
「・・・住む?」
「・・好きになって、欲しいのです・・」
好き・・?!!!
私が?ルウイさんを???目を丸くして、ルウイさんを見る。
ルウイさんは、私をじっと見て・・、言葉を待っているようだ。え、ええ・・っと?前世での、そんな経験が皆無だった事が大変悔やまれる。
精神年齢50近いのに、どうすればいいの??!
理性をチラ見したら、私の肩に手を置いたかと思うと、ルウイさんの前に押した気配がした。




