騎士、願う。
翌朝、なんかルウイさんが気になってうまく眠れなくて、
ちょっと寝ぼけ眼で下へ降りる。
ルウイさん、今日は元気かな・・?
なんか急に元気なくなっちゃうと、何か失礼な事しちゃったのかなって・・、気になって・・。裏口の方を見ても薄っすらと積もった雪景色しか見えない。
大きめのブランケットを肩に掛けて体をしっかり包むと、裏口を出て菜園を歩く。地面が凍っているので、ザクザクと音がする。白い息が出て、鼻がツンとする。
「・・・こんな寒い中、鍛錬してるのか・・」
そういって、川の方を見ると、長剣を素振りしてた。
すげ・・、鍛錬してるわ・・。マジか、騎士さん寒さって感じてる?なんかシャツ一枚だし、なんなら体から湯気出てる。
ルウイさんは、私の気配に気付くとそっと剣を下ろして、小さく笑って手を振ってくれた。よかった・・、今日は昨日よりも幾分元気かな・・・?そう思いつつ、慎重に川の方へ降りて行く。
「おはようございます!朝から、鍛錬すごいですね・・」
「はい・・、日課になってますから、苦でもないんですよ」
「・・・日課・・、すごいです」
そう言うと、ルウイさんは小さく笑って私をじっと見つめる。
「・・鼻が少し赤いですよ。ここは寒いですから・・」
「・・それ言ったら、ルウイさんも同じですけど」
「私は鍛えてますから・・・」
ま、それもそうか。
あまり鍛錬の邪魔しちゃ悪いかな・・、そう思って戻ろうかと思ったけど、なんか・・やっぱり昨日と同じで寂しそうな顔をするルウイさんを見て、なんだか胸が痛む。やっぱり、私なんかしちゃったのかな・・?
「ルウイさん、目玉焼き2個にしておきますね」
「・・え、はい・・?」
「なんか・・元気がないので。いっぱい食べておきましょう。今日はウチにいるんですよね?」
「・・・はい、ありがとうございます」
うーん・・、まだ元気ないなぁ・・。
ちょっと考えて、ルウイさんを見る。
「ルウイさん、ちょっとこう・・屈んでもらえますか?」
「・・・は、はぁ・・?」
ルウイさんが私の前に少し屈んでくれたので、ちょうどいい所に頭が来たので、両手で髪を撫でてみた。元気出ろ〜!今日は両手だぞ!ワンコを撫でるようにわしゃわしゃ撫でて・・、ルウイさんを見るとちょっと目元が赤い。
うんうん、照れるよな。
私も照れる。
「・・ルウイさんが元気ないと、心配です」
「・・・・心配・・・」
「いつもほら・・、笑顔だから・・その、気になって・・」
「気になる・・」
なぜオウムのように繰り返す・・・。
綺麗な顔をついでに両手で撫でてみた。今日もすべすべだな。でも、寒い所にいたから頬が冷たい。暖めるように両手でちょっと包んでみた。
「・・・・・ずっと、気にして下さい・・」
ルウイさんが、ボソッと呟く。
・・何を今更。
大型犬のようにいつも側にいて、嬉しそうに笑ったり、元気をなくしたり・・、こんなに気にしてますよ。これでも私は今まで、結構世捨て人のようにひっそり生きてたんですけど。そこを大分ルウイさん引っ掻き回してると思いますけど、自覚ないんですかね・・。
「・・気になるから、こうして心配してるんですけど・・・」
ブスッとした顔でルウイさんを見ると、ルウイさんは嬉しそうに見つめてくる。今日も綺麗な顔だなぁ・・。そっと手を離すと、ふふっとルウイさんは笑って立ち上がる。
「トーリは、優しいですね・・」
「・・・お褒め頂き光栄です」
ルウイさんを見上げると、いつもの笑みに戻っている。
・・良かった、ちょっと元気出たかな。
・・理性に、「あと3ヶ月だから」って心の中で言うと、「ま、3ヶ月だしな」みたいな返事を貰った・・と思うことにした。ルウイさんが手をそっと差し出してきたので、手を握ると嬉しそうに笑うから・・・。




