騎士、家事をする。
翌朝、目を開けるとルウイさんはいなかった。
その代わり・・、毛皮の上にこれでもかってくらいマントとかコートが掛けられていた。大丈夫だって・・。
こんな寒くても鍛錬を毎日欠かさないルウイさんらしいなぁ・・。
ちょっと笑いつつ起きて、自分の部屋で身支度する。
「・・・しっかし、あれは勘違いするわ・・」
思わずボソッと鏡に映る自分に言った。
鏡の前の小さいトレイに置いたルウイさんから貰ったリボンを取って、髪を結う。
一緒に眠りたいと思うのはトーリだけって・・。
昨夜のセリフを思い出して、恥ずか死ぬ・・。
あんなん前世の少女漫画のヒーローだって言った事ある???私が年頃の乙女だったら、裸足で逃げ出すわ。無理無理無理、恥ずかしくて無理って・・。
「やー、50近くて良かった・・」
精神年齢の話ですけどね。
うむ、今日もリボンは可愛い。私は、まぁまぁ可愛い・・・と思う。
そうして、階段を下りてキッチンで朝食の準備をする。
と、裏口の方で声がする。
・・あれ?誰か来てた・・?
裏口の方を見ると、オーウェンさんがルウイさんと立って話している。あ、こっちへ来てたんだ・・。じゃあ、朝食多めに作っておこうかな・・・。そう思って、ベーコンを取ると・・、
「ですから・・、このような場所でなくて、あなたにふさわしい場所へせめて移りましょう!」
オーウェンさん、声でっかいな〜。
うちが街外れで、近所がいなくて良かった・・。よし、あとはベーコン焼けばいいや・・。布巾で手をさっと拭いて、裏口から顔を出す。
「おはようございます〜。あの〜、外じゃなんなんで、オーウェンさん朝食一緒にどうぞ〜」
ルウイさんと、オーウェンさんが同時に驚いてこっちを見る。
あ、もしかして全然気付いてなかった?
ルウイさんは、少し眉を下げつつ私を見て・・
「おはようございます。オーウェン・・」
「は!では、お邪魔いたします!!」
ルウイさんは、そうじゃない・・と言いたげな顔になったけど・・、オーウェンさん気付いてない・・。大丈夫だよ、ちゃんとオーウェンさんの朝食も用意してあるから・・。
ちょっと笑ってから、裏口の扉を閉めてベーコンを焼く。
・・多分、ルウイさんと同じくめっちゃ食べるだろうから、分厚くしておこう。
少しすると、二人が入って来たので手を洗って貰って、カウンターに二人分まず先に出す。オーウェンさんは、目論見通りベーコンに目を輝かせていた。うむ、大変分かりやすい。
お茶を出して、私は自分のベーコンは少しにした。焼いてるの見ただけで、胸焼けしちゃったし・・。
嬉しそうに食べるオーウェンさんは、ルウイさんと同様、綺麗な所作だった。騎士さんって、綺麗に食べるのがマナーなのかなぁ・・。
朝食を食べつつ、仕事の算段をする。
「ルウイさん、今日は午前中ギルドに行くんですよね?じゃあ、お手紙をすみませんが途中、届けて頂いてもいいですか?」
「はい、もちろんです」
ルウイさんがにっこり笑ってくれる。
良かった・・、午前中どうしても済ませたい翻訳があるんだ・・。
が、オーウェンさんは目を丸くして、私とルウイさんを交互に見る。
「仕事を・・・ルドヴィク様にお願いする・・だと??!!」
「え、まずかったですか?」
「オーウェン!彼女にお世話になっているのに、何もしないなど・・礼を欠く行為ができるか?黙っていろ」
ぴしゃりとルウイさんが言うと、オーウェンさんは「・・・はい」って言うけど、めっちゃ納得してねぇ顔してますよ・・。食べ終わって、お皿を下げるとルウイさんはいつものように、
「あとは私が・・」
そう微笑むけど・・、ほ、本当にいいのか?
洗濯物もあったのでお願いして、その場を離れると・・オーウェンさんが「る、ルドヴィク様!!!」って慌てた声が聞こえた。・・・えーとやっぱり騎士団長様に家事をお任せするのは大分まずい行為だったのかなぁ・・?
なんか悲鳴みたいな声が聞こえるけど・・。




