騎士、ねだる。
ルウイさんと夕食を食べつつ、オーウェンさんの話を聞くと、「帰らない!」の一点張りなので、ギルドで働く代わりに寮を斡旋してもらえるので、そこへ置いてきた・・と教えてくれた。
・・・いいのか、ホルスから迎えに来たのに・・。
「・・大丈夫なんですか?オーウェンさん・・」
「いいんです・・。今は、ここにずっと1日でも長くいたいですし・・」
ルウイさんは、ニコっと笑って私を見つめる。
う・・、それを今言われると、ちょっと嬉しいけどさ。でも、いずれ出て行くんだ・・そう思って曖昧に笑った。
と、玄関の扉を叩く音がする。
私が返事をすると、ルウイさんが玄関の扉を開ける。なんかコンビネーションできてるな?
カイルが、いつものようにルウイさんにちょっと遠慮しつつ入ってくる。
家主にも遠慮しろ・・。
「カイル、どうしたの?」
「・・その、ルウイさんにメルクさんから言伝で・・」
「私にですか・・?」
カウンターの椅子に、カイルとルウイさんが座ったのでお茶を出すと、流れるようにルウイさんがお礼を言ってくれる。いかなる時もスマートやな・・。
「今日来たオーウェンさんと、これから冬の雪の季節、森の見回りをして欲しいって・・、それで明日、午前中話をしたいって・・」
「ああ、秋祭りの時に話がありましたね」
「え?そうだったの??」
メルクさん、いつの間に・・。
でも、ルウイさんはちょっとあまりオーウェンさんといたくないみたいだったけど、大丈夫かな?
思わずルウイさんを見つめてしまった。
ルウイさんは、ちょっと困ったように笑うと・・
「わかりました、9時ごろに伺う旨をお伝え願えますか?」
「あ、は、はい!!」
カイルがピシッと警備隊の礼をする。
へ〜、そんなのあったんだ・・。感心していると、カイルのお腹の音が思いっきり鳴った。
「・・・・とりあえず、何か食べてからまた言いに行ってね・・」
「わり!ありがと!!」
ニヤッと笑って、私のお皿のおかずを食べようとするので、サッと皿を取る。
「お肉焼いたげるから、勝手に取らない!!ルウイさんに止めてもらうからね!」
「お任せ下さい」
すかさずルウイさんが、ボキリと指を鳴らす。
おお・・、笑顔で見てるぞカイル・・。
カイルは、椅子に背を正して座ったので、私は自分のお皿を置いてから肉を焼いてあげた。・・・全く、ちゃんと食べてから来ればいいのに・・。
そうして、お風呂に入ってから寝ようとすると・・、ルウイさんが人の部屋の扉の前にやってきて通せんぼする。
「・・・ルウイさん、私は寝たいんですが・・」
「一緒に寝たいんですが・・」
あのですね・・、普通という枠からは外れていますが、お付き合いしてない男女は一緒に寝ません!そう言おうと思って、ルウイさんを見上げると、ものっすごく悲しそうに私を見る。
「・・今日、思いのほか・・ちょっと心が辛くて・・」
「え、いや、でもですね・・」
きゅ〜んって切なく鳴く犬のような目をして私を見るな・・。
騎士団長様ってのは、何故そういうテクニックを使うんだ・・・。
「・・・今日だけ、心配でしたら動くなとご命令して頂ければ、ただの枕になりますし」
「人間の尊厳!!!権利!!!!」
「・・・・お願いです・・・」
トドメのように、シュンとした顔になる・・。
分かったよ・・、分かりましたよ。
廊下は寒いし、せっかく温まった体を冷やしたくない。筋肉の塊のルウイさんと違うんだからね?
「・・・分かりました、今日だけですよ?」
そういうと、ルウイさんはパッと顔が輝いた。
おい、さっきの悲しそうな顔はどこへいった?
・・・私の理性が「おい、いいのか?」って聞くけど、この大型犬言うこと聞かないんだもん。それに、あと3ヶ月だ・・。あっという間にこんな日々は終わるでしょ。そんな事を考えているとは知らないルウイさんは、嬉しそうに自分の部屋へ招くのだった・・。




